ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド見た：クリフは奥さんを殺したか？リックに尽くすのは何故か？
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』見ました。
タランティーノの新作を見に行って、
こんな……こんなキャラ萌えすることに
なると誰が思いまっか？
びっくりしすぎて顔が山ちゃんになってしまった。噂は聞いていましたが、リックもクリフも最高やね～～～～～～。
しかしこの映画、本当に説明的なシーンが少ない！ そんなことよりリック、クリフ、シャロンを始めとする昔むかしのハリウッドの人々の、人生の中のとある数日をジックリ見てくれ～という贅沢かつ上品な作りで、そのお陰で正直「エッここは何なのどうしてなの」って疑問が沸かないワケではなかった。しかし情報チラ見せ余白たっぷりの本作は「オタクたちよ！！！ 勝手に妄想して考察しろ！！！！」と言ってくれているような気がする……なので勝手に妄想して考察することにした！！！（毒電波受信ネキ）
私がワンハリ内で「エッここは何なのどうしてなの」と思った点、ほぼほぼこの人、クリフ・ブース周りです。
ブラピのサービスショット！「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」肉体美収めた本編映像 #ワンスアポンアタイムインハリウッド https://t.co/RCCzPeHKZg
— 映画.com (@eigacom) September 14, 2019
カッコいい（とはこういうこと）かよ。
このあと、当然のごとくネタバレしながら話していくので、たぶんいないと思うけど未見の方は絶対見てきた方がいいですよ！ こんなネットの片隅に蠢くオタクのnoteを脳に摂取したせいで、このウルトラゴージャスな名作に変な先入観がついちゃったらサイアクだからな……！！
タイトルにも書いていますが私がクリフに対して感じた疑問は２点です。
①クリフは奥さんを殺したのか？
②クリフはどうしてあそこまでリックに尽くすのか？
まぁここ読んでる人でワンハリ見てない人はいないと思うんで説明はいらないかもだけど、（未来の自分が記憶を失うかもしれないので）一応ざっくり書いておきます。
クリフは元スターで現在は絶賛人気下り坂の俳優・リックのスタントマン。２人は８年前にチームを組んで以来ずっと一緒に仕事をしているのですが、リックが落ち目ということもあり、スタントの仕事も減って今はリックを現場に車で送ってあげたり、家のテレビのアンテナを直したり、荷物を運んであげたりなど、ほとんど雑用係みたいな生活をしている。
しかしクリフの仕事が少ない原因はリックの人気が衰えている為だけではなく、過去、大スターブルース・リーを現場でボコったというトラブル＆クリフが自らの手で奥さんを殺したという噂があるせいなのでもありました……というワケなのですが、結論からいうと私はクリフ、奥さんを殺したと思ってます。（毒電波受信ネキ・セカンドシーズン）
クリフは「戦争の英雄」（元軍人）であり、作中、これでもかと描かれている通りハチャメチャ強い。アンテナ修理の為にノーハンドジャンプで屋根に登れるレベルの身体能力もさることながら、他人へ暴力を振るうことへの躊躇いがゼロ！ その点においてはほぼサイコパス級！！（と思わず決めつけたくなってしまいますが、これは戦場帰りのせい？ それともやっぱり生まれつきサイコな面があったのか？ 個人的には元々素質はあったけど、目覚めたのは戦争がきっかけぐらいの前者だと思うけど……）
あと、普段飄々としている＆別にキレてなくても暴力を振るう（例：対ブルースリー戦。あれはキレてなかったよな？ 面白がってたよな？）ので若干見分けがつきにくいけど、ムカつくことをされたら普通に怒る人でもある。（例：リックの車のタイヤにナイフをぶっ刺された時）
だから、船の上、目撃者は誰もいない、殺して海に捨てても居なくなったのに気付かなかったと言えば恐らく罪には問われないという状況下、本当に頭にきて許せないと感じたら、奥さんを殺すことも大いにありえる男として描写をされてないか？ と感じるのです。
そしてクリフは奥さんを殺した、と仮定することが、②クリフはどうしてあそこまでリックに尽くすのかという疑問の説明にも繋がるのではないかと……よっし、ここから妄想のギア上げてくからお前ら振り落とされないようについて来いよ！！！！！！（※ついて来なくても大丈夫です）
OK、じゃあクリフは躊躇いなく暴力を振える男。何なら奥さんだってカッとなって殺しちゃう純度１００％のサイコパス野郎……では、ないですよね。作中のクリフの優しさ、気遣い、温かい眼差しを見てたらさぁ……クリフが人を愛し、慈しむことができる男なのは確定的に明らかでしょ！！？（毒電波受信ネキ・シーズン３）
だからクリフは暴力何とも思わない人間だけど、ちょいとサイコパスだけど、奥さんは愛していたのだと思う。だから他の人には失礼なことを言われても笑って受け流せるのに耐えられなくなったんじゃないかな。（奥さんのセリフ、彼女がだいぶ前からクリフを罵倒したり生き方を否定していたことがうかがえましたよね。『あの日』限界が来るまで、クリフはずっと我慢してたんじゃないかと）だから今も――奥さんの好物だったのか、元々クリフが好きで奥さんも飲むようになったのかは分からないけど――奥さんが海で飲んでたものと同じカクテルを飲み続けているんじゃないか……。
↑予告編より。これ！ このセロリみたいなのがぶっ刺さってるヤツ！！ あえてこんな目立つヤツなの、神（タランティーノ）の意志感じるじゃん！
クリフはサイコパス気味な一面がある一方、今も昔も人を愛すことができる男でもある。だからクリフという人は真っ二つに引き裂かれている。愛する人を愛しているという気持ちと、ムカつくヤツはブチ殺してもヘーキヘーキという気持ちと。
クリフが奥さんを殺した罪を償っていないのは、クリフのサイコな面が「だってムカついたんだもん、ムショなんて行かなくてもヘーキヘーキ」と判断したから。逆にリックに尽くし、雑用を押し付けられても楽しそうに一緒にいるのは、愛する人を愛したいと願っている、サイコじゃない方のクリフが望んでいること。何故なら、リックは完全にクリフの無実を信じているから。
リックがクリフと親しくなってから奥さん殺しの噂を聞いたのか、噂を知ってて親しくなったのかは不明ですが、いずれにせよリックは作中でクリフを嫌う監督に言い放ったのと同じように、ただの噂だろ、お前はそんなことをするヤツじゃない、とクリフに伝えたのでしょう。そして、マジのマジにリックはクリフをひと欠片も疑っていない。リックと一緒にいれば、クリフはかつて愛していた奥さんを殺していない自分として存在できるんです。
正直、クリフが奥さん殺しに罪悪感を覚えているかはわかりません。個人的にはギリギリ、感じてないかもなーと思います。クリフが一部サイコパスなのは（あくまで私としては）疑いようのないことなので。
しかし罪悪感という形ではなくても、「愛する人を愛したい」と望む、もう一方の自己に背く行動を取ったツケやひずみは、確かにクリフの中に生まれていたのではないかと思います。だって奥さんを殺したけどそれを隠し通した（もし殺していないとしても、「妻を殺した男だと疑われている」）男やもめのスタントマンとして１人で平気に生きていけるなら、リックとつるむ必要なんてないんですよ。お給料も大してもらえてないみたいだし（作中で繰り返し描かれた２人の経済格差よ！）、リックはすぐ泣くし甘えん坊だし、派手好きそうな女性と結婚はするのにお金がないことを理由にクリフとのコンビ解消しようとするし……でも、クリフにはリックが必要だった。リックは既にクリフの一部だった。クリフが完全なサイコにならず、人を愛せる人間で居続ける為に、リックの存在がなくてはいけなかった。
そして（ここまでも妄想ですし、ここからも完全なる妄想ですが）クリフは恐らく、リックに出会って再び「人を愛せる自分」として生きるチャンスを得たことで、もう二度とサイコな衝動に支配されて大切な人を傷つけまい、と誓ったのではないでしょうか。だからクリフはリックにとても優しいし、リックがクリフに別れ（コンビ解消）を告げても、変わらぬ友情を捧げ続けたのだと思います。リックが無邪気に「お前はいい友達だ」と呼びかける時、クリフはいつも「努力している」と答えます。そう、クリフは常に努力しているのです。リックが信じてくれている自分で居続けられるように。リックがいなくなったら、きっと、クリフは私たちが画面を通して目撃したクリフ以外のクリフになるに違いないから。
ま、ゆうてもクリフはやっぱりアレな人なので「いや分かるけど、さすがにちょっとやりすぎじゃない？」ってやり方でマンソンファミリーをブチ殺しているワケですが……でもマンソンファミリーは別にクリフの大切な人じゃないからねぇ！！！ 燃えちまえナチども～～～～～～～～～！！！（火炎放射器ボォ～～～ッッ）
ワンハリ、リックとクリフどっちと付き合いたい〜？私はリック！と答えるなどのキモオタムーブをかましております ちなみにリックがいい理由は共感できるし泣き顔が可愛い、クリフはかっこ良すぎるし暴力に躊躇いがなく存在がエッチすぎるので少し近寄り難い
— ニッチモ・サッチモ (@sattimochan) September 21, 2019
付き合いたいのはリックなのに、心が好きと叫んでいるのはクリフだからクリフはずるいな、恐ろしい男だ
— ニッチモ・サッチモ (@sattimochan) September 21, 2019
ワンハリ鑑賞直後、堪え切れずこんなキモい呟きをしてしまったのですが、ほんっとうに、クリフは、良い………………（クソデカ嘆息）クリフの存在がこんなにもエッチな理由、それはやはり自己が引き裂かれているところではないでしょうか。一歩間違えばとんでもない悪になりかねない特性（暴力に躊躇いがない）を持ちながら、泣き虫、差別主義者、甘えん坊なリックちゃんの隠しきれない純粋さと善性に惹かれ、自らも善、そして他者への愛が存在している側にしがみつこうとする、そのアンビバレンツな魅力が……くぅ～～～！！！！ エッチエッチ！！！！
あ！ でも最後に言わせてください！ そんなワケだから、リックとクリフは例えこの後、シャロン→ポランスキーにパイプが繋がってリックが映画スターとして返り咲き！ みたいなHappyEndが待ってなくても、普通にずっと友達だし何だかんだ言って一緒にいると思う！ 何故ならクリフ→リックへの執着はコンビ解消したくらいで消えるものではない永遠のものだと思うし、リック→クリフへの依存もたぶん新しい奥さんとの仲が冷め次第復活する（そして物語終了時で既に奥さん＜クリフになってそうだから心配することはない）んじゃないかな、と……！！ ハイ！ 私の中ではそうなりました！！（毒電波受信ネキ・ファイナルシーズン）
（２人が永遠に……永遠に幸せでありますように……）
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