Z世代にきらわれない法

ネットウロウロしていたら「中高年男性が、こんなことをやったらZ世代に嫌われる!」という記事があった。
ひととおり読んでみると、「知識でマウントを取ってくる」、「若い頃の武勇伝を語る」、「(若者が女性の場合)なれなれしく〇〇ちゃん、と『ちゃん』付けで呼んでくる」など、別にZ世代でなくても、いつの時代でも若者が嫌いそうなことばかりで、あきれて笑ってしまった。

ちなみに書いている人も中高年男性。若い人が「こういう中高年が嫌い」と、直接訴えかけているわけではない。

そんな「こうしたら嫌われる」という項目が十個くらい並んでいたが、こんな細かいことを、項目立てても何も意味はない。
それらをすべてやらない、と決めても、中高年男性はやっぱり若い世代から嫌われるからだ。
細かい項目立てがあるのは、「何をどう努力しようが、嫌いなものは嫌い」という若者からのメッセージである。
それよりも「おれはZ世代に気に入られている」と信じている中高年がいること自体、信じられないし、そんな輪の中には入りたくないものだ。

さらに言えば、五十代半ば以上だと若い頃に「バブル」を経験しているから、その辺の昔話を若者が聞かされることも多いだろう。
しかしバブル崩壊以降は「失われたウン十年」と言われ、就職氷河期が続く。そのことだけでも五十代半ば以上の中高年、壮年は若い世代に恨まれても仕方がない。土台、仲良くやって行こうと思うこと自体がオカシイのだ。

私が読んだ「Z世代に嫌われない法」のテキストが、「別に嫌われてもいいじゃないか」という論陣を張っていないのも興味深い。
「何が何でも若者に好かれなければいけない」と、暗黙のうちに煽り、中高年の読者に不安を与えているのだろう。
あくまでも「中高年男性」が標的で、「中年女性が若い人にどう思われているか」が触れられていないのも作為を感じる。ま、母親のことを若い女性がどう思っているのか知らないが、職場の上司や先輩が女性だったとしても、権力を持っているというだけで若者から嫌われてもおかしくないんですけどね。

で、最近はどうか知らないがひと昔前の保守系の論客だったら、
「若者に好かれる必要はない、嫌われるのも大人の仕事」
みたいなことを言うんだろうが、それはそれで私は気に入らないのだ。

なぜなら、「若者に嫌われてもいい」と開き直れるのは、「大人」と「若者」の線引きがはっきりしており、なおかつ若者が必ず、現状の「大人」の立ち位置を将来的に確保できる場合だが、今はそれほどはっきりした線引きがある方が少ないからだ。
社会は「部活」じゃないですからね。

私だって若者に敵意を向けられたら面白くない。しかし、もしそんな敵意を持った若者が目の前にいたら、転んだふりをして体当たりして、谷底に突き落とし、そのうえからヘドロをぼんぼん投げ込んで、軽やかに立ち去る。

ただし媚びを売ってくる若者がいたら、ミニ牛丼の一杯でもおごってやる。

おしまい



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