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春疲れ

 あぁもうダメだちょっと休みたい。何もかも疲れてまーすマジ無理ちょっと待って…の時期がやってきた。

 スヌーズは通常期の倍鳴らして何とか起き上がり、やるべき作業も中途半端でひたすらやる気が出ないのに、SNSでちょっと粋なこと言ってるアカウントは眺めていられる。1時間は余裕で見ていられる。そして、何かを知った気になって、世の中を理解した気になって、でも自分の言葉じゃ何も言えないので、やたら疲れてモヤモヤする。

 頭の中は確かに情報や言葉でいっぱいになっているのに、気分は中々晴れない。不思議なのは、小説や映画に没頭して1日終わったあの日やこの日と打って変わって、SNSを見ているとなんか無駄にしたな、という思いがものすごく強いこと。

 そうこうしているうちに夕方になってしまい、慌てて仕事を片付ける。ヘトヘトであるが、またスマホを開いてしまう。そして、朝っぱらから巡回してきた他人たちが「今日も頑張った自分えらい!」みたいな投稿を繰り出してくるが、素直にいいねが押せない。私も一応仕事したんだ。いつも通りやる事はやったはずだし、頑張らない日がだったとしても人間なんだから当たり前のことなのに、自分に中身のないウニを投げつけてるみたいでいやになってくるが、SNSは止められない。

 気づけば夜9時過ぎ。虚無感マックスの時に聞き流していた音楽からふと耳に入った「若さはあっちゅうま」という歌詞が刺さって起き上がる。台所に立つと、ポリ袋に小麦粉、卵黄、バター、オリゴ糖を適量入れて無心で混ぜる。最初こそ、同じクラスだけどずっと席も背の順も名簿も遠くて話したことない人たちに似た混ざりにくさがあるが、バターが温まってくると実は家近かったし好きなバンド一緒で盛り上がった時くらい上手いことまとまる。型抜きなんて無いので、適当にちぎって成形し、トースターにぶち込む。

 焼きあがったそれは、10秒も持っていられないほど熱いし、本当は少し冷ました方が美味いことに後々気づいたのだが、この時点ではしっとりと砕ける焼き立てならではの食感が、文化祭大成功した後のクラスみたいな感じがして止まらない。結局すべてを食べつくし、風呂に入るとさっきまで私の右肩らへんにぶっ刺さっていたウニはとっくに抜かれているし、ボディクリームがガッツリ塗られて傷跡なんてなかったことにされ、せんべい布団でいつも通り爆睡する。

 ここ数日、ひたすらクッキーを焼いている。某凄腕クッキー職人おばあちゃんに勝るとも劣らない勢いで。この時期になると冬のストレス・疲労感大処分セールの如く、SNSに依存して1日を無駄にしてはその罪悪感から現実逃避に走るのだが、歴代の行動のなかでも昨年のギターに次いで比較的平和だと思っている。

 年明けは1年頑張るぞ!なんて息巻いてたんだけど、やっぱりこの時期は疲れてしまう。花粉症や季節の変わり目で体調がすっきりしないが、今年はコロナ云々もあって例年以上に面倒なことになっている。いつもこの時期にやるべきことは最低限でやって、やりたいことを思う存分やっておくと、GW明けくらいから一気に捗ることが多いので、そんなに気にはしていないけれど、昨日勢いで大量の小麦粉を買っちまった。

 ギターは現在実家に預けているが、目の前にある5㎏の小麦粉はそうはいかないので何とかして使い切らねばならない。実はクッキーはすでに若干飽きてきたので、次はパウンドケーキかうんどんにするか。

 いずれにせよ、標準体重までの道のりは険しいぞ。

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