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マンジャロってなんじゃろ?

2022年 9 月 26 日 にマンジャロ皮下注(チルゼパチド)が承認されました.

承認に関連する臨床試験は以下の通りです.

SURPASS J-monoi

Lancet Diabetes Endocrinol. 2022 Sep;10(9):623-633.PMID: 35914543
【論文のPECO】
P:日本人 2型糖尿病
E:チルゼパチド5㎎、10㎎、15㎎
C:デュラグルチド 0.75㎎
O:52週間後のベースラインからのHbA1c変化の差
【結果】
5㎎:-1.1(95%CI:-1.3 to -0.9) P<0.0001
10mg:-1.3(-1.5 to -1.1) P<0.0001
15mg:-1.5(-1.17 to -1.4) P<0.0001

SURPASS J-comboii

Lancet Diabetes Endocrinol. 2022 Sep;10(9):634-644.PMID: 35914542
【論文のPECO】
P:日本人の2型糖尿病
E:チルゼパチド+経口血糖降下剤
C:プラセボ+経口血糖降下薬
O:52週間の安全性と忍容性
【結果】
<有害事象>5㎎:74%、10㎎:74%、15㎎:84%
<体重変化>5㎎:-3.8kg、10㎎:-7.5kg、15㎎:-10.2kg
<HbA1c>5㎎:8.5→6.0% 10㎎:8.6→5.6%、15㎎:8.6→5.6%

SURPASS-1iii

Lancet. 2021 Jul 10;398(10295):143-155.PMID: 34186022
【論文のPECO】
P:食事・運動療法のみで改善しない2型糖尿病
E:チルゼパチド
C:プラセボ
O:40週のベースラインからのHbA1c変化
T:random
【結果】
5㎎:-1.87% (20mmol/mol)
10㎎:-1.89% (21mmol/mol)
15㎎:-2.07% (23mmol/mol)

SURPASS-5iv

JAMA. 2022 Feb 8;327(6):534-545.PMID: 35133415
【論文のPECO】
P:血糖コントロール不十分な2型糖尿病
E:チルゼパチド(+インスリン グラルギン)
C:プラセボ(+インスリン グラルギン)
O:40週のベースラインからのHbA1c変化
T:random
【結果】
10㎎:-1.53%(97%CI:-1.80 to -1.27)
15mg:-1.47(-1.75 to -1.20)

日本人対象で試験も行った上での安全性、有効性、忍容性が認められて承認に至ったようです.

では、心血管イベントの抑制率や死亡率はどうなのでしょうか?

Nat Med. 2022 Mar;28(3):591-598.PMID: 35210595
7つのランダム化比較試験を統合したメタ分析によると、
4-MACE(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、入院中の不安定狭心症)の結果は
HR:0.80(0.57-1.11) と有意な差がみられませんでした.

個々のアウトカムを見てみても差がありませんでした.
・心血管死亡率 0.90(0.50-1.61)
・心筋梗塞 0.76(0.45-1.028)
・脳卒中 0.81(0.39-1.68)
・入院中の不安定狭心症 0.46(0.15-1.14)
更に全死亡率 0.80(0.51-1.25)

今回のチルゼパチドの対照や併用として用いられていた薬剤は、インスリン グラルギン、インスリン デグルデク とインスリンが含まれており
また、それぞれの SURPASS では、心血管アウトカムが主要アウトカムとして分析されていません.

結論

日本で承認されたので、これから心血管イベントに対する結果が増えてくるのでしょう.  もう少し評価は待っても良いかもしれません.

まさに、マンジャロってなんじゃろ?でした
それにしてもコーヒー飲みたくなりそうな、名前ですね

参考

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