音と声(1)〜キミのリズム〜

はじめに
今回執筆の経緯にあたり、大層な意志を掲げて私が学んできた事を発表する訳ではなく、自身が婚活する為のメモ書きを発表しているという点を理解して頂きたい。
そして、この「ウソと欲望とカオスに満ちた婚活の嵐」を一緒に乗り越えられたら嬉しい。

執筆 2021年10月25日

1.相手の音を受容する

まず音楽療法の理論を用いる為に、有名な事を1つ否定しなければならない。

「氷の結晶が崩れる音楽は体に良く無い」

一般的にショパンなどの調を水やお米に聴かせるといい状態になるのは事実であり、研究データや写真が気になる方は調べて欲しい。

音楽療法は医療・心理・福祉の三つ巴の領域を利用する。故に、心理療法の「受容:相手を受け入れる」という「ロジャースの三原則」が用いられる。
昔、恩師から教わったケース。
「『某有名な米ハードロックバンドを聴かないと安眠できない』というクライアントに、『身体に悪いからクラシック聴きなさい!この氷の写真を見なさい!』と押し付けてはいけない」と。

「クライアントが好きな音楽が、本人にとって1番いい音楽である」と受容する所から、信頼関係の形成が始まるのである。

2.一人ひとりの固有リズム

人間は本来アナログである。メトロノームは正確と言われるが、ゼンマイを巻くアナログは勿論、デジタルでさえコンマの世界で揺らぎがある。取扱説明書にもズレの交差が記載されている。
心拍数も平均値のテンポであって、例えば心拍数90が血圧計で出たとして、実際に90.00-90.XYのズレはあるだろうし、それを許容して私たちは生きている。
故に「個人のテンポは様々で然り」と理解できるだろう。

3.キミのリズム、ボクのリズム

あなたが太鼓を誰かと叩くと想定する。
まず、セラピストに「自由に叩いてください」言われ叩き始めた時、場内は人数に応じたリズムのズレが生じる。駅構内の人が歩く音を想像すれば難くないだろう。
次に「この音に合わせて叩いてみましょう」と言われた時、今までの経験という引き出しを使い、人は自然に合わせる事が出来る。軍隊の行進の足音を想像して欲しい。余談だが、ベートーベンの「トルコ行進曲」は、当時、トルコ軍の行軍足音から出来ている事は有名である。奏でる際に規則正しい音で演奏されるのはその為である。
尚、稀にリズムを揃えることが出来ない方もいるが、リトミックのトレーニングか医師と相談してみると良いだろう。

雑多なリズムの中に暮らしていても、人が生きて行く為には合奏の様に個々のリズムを調整し同じリズムで進んで行く機会の方が多い。例えば仕事。
幼少期から培われた「みんな一緒」の刷り込み教育から、「自分と違う者がいる環境を排除」しようとするのでは無いだろうか。優劣をつけたい動物感情だけでなく、それもイジメの原因だろう。
だからといって、振り子の原理の様に最後に足並みを揃えては成長できない場合も多いし、個性が失われる。出る杭も突出してしまえば、叩く側が低すぎて相手にも成らないが、幼少期のどんぐりより少し高い上位では、ジャンプして叩き落とされる。これが幼心についた傷となり、大人になるにつれ広がり、前に進めなくなるのだろう。

集団的音楽療法の場合、セラピストが学ぶ技法に「平均値を探す」がある。グラフの分布図から平均値を導き出す様に「聴いたリズムから、平均リズムを割り出す」能力を見つけ出す必要がある。
一方、個別音楽療法の場合、ロジャース三原則「傾聴」の技法を用いて、相手のリズムを掌握し演奏する。
「傾聴」には「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」が構成要素である。
時折、相手を楽しませる為にテンポをセラピストから提示する場合もあるが、基本的に受け身である。

4.キミのリズムを教えて

最後に。
お相手に「自分の事を知ってほしい」と思うのが男の性(さが)であり、「自己アピールをする人が多い」とツイートする女性も一定数いる。
セラピストに置き換えて考察すると「自己主張が強くラポールの取れないセラピスト」と烙印を押される場面である。
異性との会話に慣れない部分は私自身にもある。しかし、こればかりは場数だと言われ、腑に落ちている。
初めてお会いした方との話は正直難しいし、苦手な人が大多数と私は考える。ただ、お会いした時の為に要点を述べると、

・会話のリズムを探す
・会話を一度受け入れる
・会話に同調する
・会話にリズム変化を促す

大人の事情で条件が合わない場合や、お相手が自身の会話のペースを変えない人も居るだろう。
今出ている状態が、本質で人として変えられない部分である。ただ、会話慣れしておらず、無音空間が苦手にあるケースもあるので、ご理解頂きたい。

ただ、今後一緒に暮らす上で会話の「調律」が出来ないのであれば、「自己一致」が困難となり歪みも生じる可能性もある。

そんな場合は無理せず心で呟けば良い。
「ご縁がありませんでした」と。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?