夏の報せ

カーテンを透き通る風は夏の匂いがした。
昼食を買いにコンビニへ、気候も良く歩いて行くことにした。
強い日差しに照らされて、じりじりと道の端の影をなぞる。
道中、駅前の居酒屋が数件、テナント募集の看板が貼り出されていた。
きっとコロナショックの影響なのかもしれないと思った。
コンビニに着くと、外に置いてある電話ボックスで老婆が喋っていた。
何故か卑猥な単語を連呼しているがどうでも良い。
今時、使う人もいるもんだ。
店内に入ると、空調が効いていて涼しい。
なんとなく、熱い麺類が食べたかったのだが、
もう冷えた麺類しかなかったので冷たいうどんを手にレジに向かった。
綺麗で人当たりの良さそうな女性店員さんに商品を渡した時、
警察の方、数人が店内に入って来た。私が来る前にこの店で何かあったみたいだ。
けれど、どこかみんな冷静で「箸をお付けしますか?」としっかりとレジ対応をしてもらい、店の外に出ると電話ボックスの前に一台のパトカーが止まっていた。「とりあえず、防犯カメラでも見ますか」と警察官が言っていたので、
強盗にしては冷静だし万引き紛いのことなのかなっと思った。
ふと電話ボックスにいた老婆が警察を呼んでくれたのかもしれないと思い
さらには卑猥な単語を言っていたの思い出した。
なるほど、そういえば、市内放送で変質者の目撃情報を聞いていた気がする。
さすれば、もうお分かりだろう。私はレジ袋を手に商店街を抜け、家帰り、昼食を済ませた。そういえば、レジ袋が七月から有料になるらしい、夏と同じで避けられぬ運命だね。

byebye.

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