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キスの小骨と深夜の死闘

皆さん一度は経験があると思います。
小魚の骨が喉に引っかかったことが。
あの嫌なチクチクする感覚は、大抵の場合放っておくと取れますが、稀にガッツリ刺さってしまってずーっと喉に不快感を与え続けることがあります。
そんな体験をした話です。


1.悪夢の始まり

2020/5/11(月)
社会人になって初めての一人暮らしを堪能していた僕は、自炊にハマっていました。その日の夜も、前の週からイトーヨーカドーで半額で購入していた魚のキスを使い、素揚げして夕食を作りました。
キスの素揚げの他に前日の余り物を一人の食卓に並べ、夕食が終わった後、

あれ、なんか喉がチクチクするなぁ…

と、例の嫌な感覚を感じていました。
が、「その内とれるっしょ!」と思い、放置したままにしていました。

3時間後…
もう22時を過ぎていました。

全く取れる気配がありません。
寝ようにも、不快感のあまり寝ることも出来ません。
ここからキスの小骨と僕の長い長い戦いが始まります。

2.作戦① ネットで調べる

焦って、Googleで「魚 骨 喉 取る方法」と検索すると
「足のツボを押すとよい」
「米や水を丸のみするととれる」

などの怪しい感満載の方法が出てきましたが、藁にもすがる思いの僕は一通り試してみました。しかし、全く効果がありません。

インターネットはこういう時に役に立ちません。ネットのガセ情報に踊らされる奴みたいでかなりダサいですが、そのときの僕は片っ端から調べて試してみるしか対処法が考えられませんでした。

そうだ!知恵袋で調べようと思ってさらに調べていくと、同じような境遇にあったであろう人からの助けを求める質問がヒットし、回答にはこう書いてありました。

「放置すると化膿して高熱が出る」
「無理にいじらず、病院へ行った方が良い」

「ご飯丸呑みするとさらに悪化する」

………

いや、怖い!こわいこわいこわい!
怖いって!!!!!!
というか発熱の原因がキスの小骨は意味分からんくて恥ずかしすぎるって!
しかもさっき別のサイトの情報信じて、ご飯丸呑みしちゃったし!


ホントかウソか分かりませんがとにかく怖いので、近くの耳鼻咽喉科を調べみました。しかし、明日(火曜日)からも仕事のため診察できるのは最短でも土曜の午前中。1週間もこの状態が続くことになります。

もう、これは医者じゃなくて自分で解決するしかない

そう意を決して医者にはかからず自分で解決することにしました。

3.作戦② 箸でつついてみる

まずは骨がどこに刺さっているのか確認するため、鏡の前に向かいます。鏡の前で口を開け、右手でスマホのライトを口に照らし、左指で口の奥を広げると、、、、

奥〜の方にかすかに骨らしき白いものが見えます!
でも、よく見ると舌の筋のようにも見えます。
どっちなのか確信は持てませんでしたが、おそらくこれが元凶です。

まずは箸でつついてみて、とれる気配がないか様子を見ようとしましたが、
ここで問題が発生します。
さっきは、右手でスマホを持って口内を照らし、左手で口の奥を広げていたので骨らしきものが見えたのですが、今回は右手→スマホライト、左手→箸を持っているため、口の奥を広げるための手が足りないのです!!阿修羅なら余裕でしょうが、どうやっても腕が2本しかない以上、無理なのです。

23時前にライトのついたスマホと、箸を1本持って一人暮らしの男が呆然としている姿が、目の前の鏡に映っていました。

しかし、僕は考えました。

そうだ!最近壁にポスターを貼るために100均で買った、「壁を傷つけずに絵を飾れる粘土」を使って、鏡にスマホをはりつけよう!
そしたら右手が解放される!!!!

名案です。すぐに鏡にライトつけっぱのスマホを貼り付けて、口の中を見ようとした瞬間…

ガン!!!

と音がして、スマホが洗面台に落ちました。粘土が少なすぎてスマホの重みに耐えられなかったようです。スマホを拾うと、保護フィルムにヒビが入っていました。もう散々です。子供だったらとっくにギャン泣きしてるわ。

もう一度、粘土多めで鏡に貼り付けて口内を見てみます。骨らしきものを箸でつつきましたが、「引っかかっている」というより「ガッツリ刺さっている」らしくビクともしません。

いよいよ困りました。
ジャンプ漫画の主人公もこのくらい追い詰められたことはないはずです。

どうにか引き抜くしかありません。
でも、うちにはピンセットがありません。
追い詰められた僕は、なぜか助けようがない宮崎にいる母親に電話で状況だけ話して、とりあえず落ち着こうとしました。
そして、独断でピンセット代わりにハサミを持ち出しました。

4.作戦③ ハサミで引き抜いてみる(?)

作戦はこうです。
骨らしきものハサミで切らずに、挟んで引っこ抜く。それだけです。
よし!この骨らしきものを挟むぞ!そう思って挟もうとしましたが、本能的に手が止まりました。

よく考えてみてください。
僕が今挟もうとしている、あるいは切ってしまうかも知れないこの「骨らしきもの」はあくまで「骨らしきもの」なのです。
もしかしたら、舌の筋かもしれないのです。
「キスの骨だ」とは確信が持てないのです!
もし、万が一、これが舌の筋で切ってしまった場合、取り返しのつかないことになるかもしれません。その恐怖が挟む瞬間に襲ってきたのです。

危ない危ない…

もうめんどくさいとか言っている場合ではありません。近くのスーパーの営業時間を調べて、まだギリギリ営業していた1キロ先のイオンへピンセットを買いにチャリを飛ばしました。23時半のことでした。

5.作戦④ ピンセットで引き抜く

イオンでもピンセットをなかなか見つけられず、イライラしながらやっと購入しました。レジの店員さんは気のせいか、閉店間際に駆け込んでピンセットだけ買っていく僕を不思議そうな目で見ていました。

爆速で帰宅し、最後の挑戦。
口を開け、骨らしきものをピンセットで掴もうとします。なかなかつかめませんでしたが、やっとキャッチ!そのままスルッと見事に抜けました!
それと同時にのどの違和感も全く無くなりました。
時計を見るともう日付が変わっていました。

しばらく大好きだったキスを食べるのは控えようというか、もうトラウマになりました。

皆さんも僕のようにならないために魚を食べるときには注意してくださいね。

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