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落花生の島におじゃましました 長崎県北松浦郡小値賀町納島を訪ねる

お久ぶりです。
広島商船高専 海洋空間利用工学研究室メンバー (専攻科生)です。

 今回のnoteは先日投稿した「離島」研究の活動報告noteになります。これを書くために前回のを書いたと言っても過言ではないので、もしよろしければ最後までお付き合いください。

1.はじめに

前回のnoteに書いた内容と被る部分もあるのですが、「離島研究」のゴールは離島の持続可能な暮らしの実現です。 昨年度の株式会社エイトノットとの実証試験の後、試験に協力してもらった生野島の方々に試験の感想や日常生活の不便な点などを対面形式でヒアリングさせてもらいました。ヒアリングから離島における不便・問題点を知るきっかけをいただき、現状維持が精一杯という現状を知ったので少しでも離島の暮らしの改善をできないかということで一応自分の専門分野である交通・物流の観点から離島の暮らしを持続可能で豊かなものにするための研究をスタートさせました。

2.初期にやってみたこと

 法律面で離島を見た際、以下のように区分することができます。

スクリーンショット (3) トリミング
(国土交通省 国土政策局離島振興課 第8回離島振興対策分科会資料より)

他にも離島振興対策実施地域内で外海離島内海離島などの区分や人口による区分など様々な区分をすることが可能です。ですが、いざ自分たちでモデルケースを作って当てはめようとすると、何かが違いモデルケースごとに区分できたかと言われれば整理前と同じような整理する前と変わらないものになってしまっていました。加えて、各離島が抱える問題も離島によって異なっているということにより離島のモデルケースの当ては失敗に終わりモデルケースの当てはめで分かったことは「離島においては人口減少、高齢化が他の地域と比べて進行している。」というような大切なことではあるが当たり前にわかっている事例しか見つけることができませんでした。
 この失敗から離島問題を解決するためにはいきなり今わかっている数字のデータと整理してもどうにもならないことがわかり、日本全体のマクロ的なことを調べるよりもミクロ的な部分の真因課題を発見し、それに対する研究をすることが最終的に離島問題の改善につながると考えたので、研究はミクロ的な事例の整理から始める方向に固めました。やはり何事も小さいことからコツコツとです。

3.やったこと

 データ整理の失敗から、まず自分が持っている一番身近なデータは何かと考えると生野島でヒアリングさせていただいた島民の皆さんの本音が今自分の持っているデータの中で一番価値のあるものだと感じました。
 このデータのを生かす方法を考えた結果、人口規模、地理的条件の近い二次離島でさらにヒアリングのデータを集めてそれらの比較を行うことで身近な問題の発見を行うことができるのではないかと考え今回は鹿児島、沖縄を除いた有人離島でかつ二次離島でありさらに人口規模、一次離島から二次離島までの距離が近しいものを探しました。すると、外海性離島、内海性離島という点を除けばほぼ同じ人口規模、ほぼ同じ地理条件の島が見つかりました。その島は長崎県の五島列島の上の方にある小値賀(おぢか)島の二次離島である納島でした。

 そして今回は納島に自分で直接アポイントメントを取って実際にその島にヒアリングに行ってきました。

4.お世話になった方の紹介

 今回、納島でのヒアリング活動を行うにあたり大変お世話になった人がいるので納島の紹介を書く前に紹介させてください。
 その方は、納島でヒアリングを行いたいという旨を小値賀島町役場に連絡した際に、紹介していただいた納島で活動を行っている地域おこし協力隊の橋本さんです。

地域おこし協力隊とは
 総務省の制度で人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに答えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度です。
(地域おこし協力隊のHPより)

 橋本さんは地域おこし協力隊の活動のために納島に住まれていて地域の方と共に暮らしながら古民家をゲストハウスとしてリノベーションして納島に宿泊施設り、それをきっかけとして納島の魅力を様々な人に知ってもらおうという活動をやっておられます。また、橋本さんは大阪にある株式会社HAKUTAIという会社に勤めながら地域おこし協力隊として地域活性化のために活動されているらしく会社のHPのコラムで納島での暮らしについて書かれて島の魅力や暮らしについて沢山書かれているのでもしよければそちらもご一読ください。

5.いざ納島へ

 前置きがとても長くなってしまいすみませんでした。ここからは、納島への行き方、納島での活動、小値賀島での話をできたらなと思っていますのでぜひ最後までお付き合いください。
 納島に行くためにはまず小値賀島に行かなくてはいけませんでした。小値賀島へ本土から行く手段は福岡の博多港から五島を北から南へ下るフェリー「太古」に乗っていく手段と、長崎の佐世保港からフェリー「いのり」もしくは高速船に乗っていく方法がありました。
 「太古」は博多港23:55発 小値賀島4:40着
 「いのり」は佐世保10:35発 小値賀島13:45着
  高速船は佐世保8:40発 小値賀島10:50着
となっていて、小値賀島から納島へ渡るための定期船「さいかい」は
  6時便
  8時便
  12時便
  15時便
  18時便
の5便しかなく、ヒアリングの時間を確保するには午前中には納島には着いておきたかったので今回は博多港から「太古」に乗って納島を目指しました。3月18日の23:55分発の「太古」に乗って納島を目指ました。

博多港

蔓延防止が解除された最初の3連休、春のお彼岸と重なって船内はすごい込み合っており、自分は船に乗るのが遅かったので、荷物を置く場所がないなーと船内を見回っていたところ案内の方に普段は解放されていないリラックスルームに案内されました。リラックスルームの後ろで仮眠をとったのですが日本丸で実習をしていた時のボンク(ベット)を思い出すくらいには狭かったです。

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3月18日のお布団

 「太古」は博多港→宇久→小値賀→青方→奈留→福江の順番で五島列島を北から南に下る航路だったので宇久で寄港した際に起きて小値賀までの40分間でシャワーを浴びるなどできて、かなり充実した船内生活ができました。
 小値賀島フェリーターミナルには仮眠室があったのですが先方に8時便で納島に行きますと伝えていたので寝過ごすのが怖くて気合で起きていました。起きていてよかったこともあって、小値賀島フェリーターミナルに「おぢか未来会議」のワークショップで作成された色々な方の意見が書かれたシートが置かれていて、そのシートには島の問題、参加した方の意見、改善するためになどの意見が書かれていて全部読んでから全部写メしちゃいました。
 地方あるあるのバスの行先がいまいちピンときていなかった問題など多少のトラブルはあったのですが何とか納島に予定通りに行くことができました。

6.納島上陸

 納島に着くと地域おこし協力隊の橋本さんが船着き場まで来てくれていて、どういう順番で回るのがおススメかなどをレクチャーしてもらい、橋本さん同行で一軒一軒納島の方々にヒアリングをさせていただきました。

島民の方の自家用船と若宮神社

 皆さんが自分用の船を持っているので、定期船の利用頻度の違い外海性離島の暮らしなど、生野島のデータとは違っている点も多くあり、離島の利便性についてこれからさらに考えていかなければならないと思うお話を沢山していただきました。ヒアリング以外にも、島の奥側や港などを案内してもらったりして、納島の写真をいっぱい撮らしてもらいました。

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筆者が気に入っている綺麗に石の積まれた用水路の写真

 その後、帰りの船が来るまでの間、橋本さんのお宅で島に住んでみてといった話を聞かせてもらったり、資料の整理をさせてもらいました。その際に、ヒアリングさせてもらっている方からいただいたおはぎや納島の落花生を食べたのですが落花生がこれまで食べた落花生の中で断トツで美味しかったです。(社会人になったら毎年買います!!!)

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 島の方々も休日なのにも関わらず、親切に対応してくださって歴史や考えなど真剣に教えてくださりとても自分の中に深く残り、帰路では自分の研究の重さについて深く考えさせられました。生野島の時もそうだったのですが、島の方と関わらさせてもらうと皆さん本当に親切で優しい方ばかりで心があったかくなります。

7.おまけ 小値賀探索

 小値賀島から島外に出る船の便は最終が13時55分の船なので今回のスケジュールでは納島か小値賀島に一泊しなければならず、現在のところ納島に宿泊施設はないので(納島には古民家再生のゲストハウスができるらしいです。)納島から小値賀に帰って一泊しました。自分は旅行する際に旅館でご飯を食べず外に出るタイプの人間なので宿は夕食抜きで予約していて、睡眠時間4時間だったこともそっちのけでウキウキで小値賀ディナーを求め散策に出かけたのですが、何故かその日は色々な店が閉まっていて、夜ご飯は泣く泣くカップ麺になりました。(コロナ渦なんだから人に迷惑をかける可能性があることはするなということなんですかね(´;ω;`))美味しい夜ご飯は逃してしまいましたが、得るものもあり、夜ご飯に振られて立ち寄った島の商店では食材や日用品がいつも自分が買い物をしているスーパーと比べて平均して10~20円ほど高くなっていました。広島商船のある大崎上島のスーパーではそこまで値段が割高とは感じないので、内海離島と外海離島の違いを実感させられました。カップ麺を食べてシャワーを浴びるとすぐ寝てしまい、次の日は帰りのフェリーが13時発でそれまで時間があったので、小値賀町歴史民俗資料館にお邪魔させてもらい、納島、小値賀島や周辺の島の歴史について勉強しに行きました。

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お刺身定食

 その後、前日の夜に敗走から立ち直ってお昼ご飯はKONNE Lunch&Cafeさんにお邪魔させていただいたのですが、値段もこれだけお刺身あって799円とお財布に優しく、味もめっちゃ美味しかったです。

8.最後に

 ここまでお付き合いくださりありがとうございました。今回、納島、小値賀島に訪問させていただいたことで本当に貴重な経験ができたと感じております。これからも離島の研究を続けていくので、離島に興味が少しでもあるって方は引き続きお付き合いいただけると嬉しです。どうぞよろしくお願いいたします。
 最後になりますがコロナの禍中、今回ヒアリングに協力してくださった橋本さん、納島の皆様本当にありがとうございました。

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