極東や東南アジアのバランシング
これ、一番の事実誤認は「日本は邦人救出をしない」ということだよね。
かつてのイランイラク戦争でも、戦争勃発時の危険な地域に日本のフラッグシップの航空会社は避難のための救援機を飛ばさなかった。トルコの航空会社が飛んでくれたおかげでイランにいた邦人を救出できたという話がある。
もし、中華が台湾侵攻を行なった場合、中共は日本が救援機を出そうとすれば必ず、「日本が救援機など出すのは内政干渉にあたる」といって拒否してくるだろうから、日本は台湾の邦人救出などせずに、ただ指を咥えて中共の台湾攻撃を見守り、邦人に犠牲が出ても「遺憾の意」を示すだけで中共の行動を正当なものと認定しかねないと思うのである。
日本企業の中華依存度は高い。経済界も中華ビジネスを失うよりは台湾に犠牲になってもらった方がいい。別に台湾人がウイグルのような目にあっても日本人は関係ない。台湾に残っていた邦人については「遺憾の意」だけで無視していればいいじゃないかというのが本音ではないか。
のような記事もあり、米中の経済摩擦の問題ということになれば、これはもっとややこしい。
日本も日本車の問題やオレンジ・牛肉の自由貿易問題という経験があるように、経済摩擦問題では米国は本気で中共を叩きにくるであろうことは間違いない。
軍事力のない日本は全面降伏したことで衝突を回避したが、コンピュータの世界でも、独自仕様の日本のコンピュータ製品は全部Windowsを載せたIBMのコピー商品に置き換わってしまった。Windowsが嫌いな人はもうアップルくらいしか選択肢がないのである。どちらも米国のメーカーである。Googleも米国の会社である。日本の電化製品は組み立て工場を中華や韓国に持ってゆかれて、日本は部品生産のみになってしまった。サンヨーはパナソニックに吸収される羽目になり、そのパナソニックも低迷を続け、ソニーもハードウェアというよりソフトウェアの方が有名になったのではないか。日本の経済成長はそこでストップして、20年ばかりの長期停滞に陥ってしまったわけである。
そういう体験をしているので、もしハルノートを飲んで日本が米国に妥協していれば、1941年に日本は氷河期を迎えていたであろうことは間違いないであろうし、中共も日本の前例から大東亜戦争か氷河期のどちらを選ぶか悩んでいるということであろうと思う。
日本の左派は、反米を口にしながらもそういう点では従米なので、「平和のためにはハルノートを受け入れるべきであった」と平気で言うのだが、もしかすると、左派でも氷河期で煮え湯を飲まされた人はすでに左派からネトウヨに転向しているのかもしれない。
もちろん万物は流転する。かつての日本と今の中共に似ている点はあるが、異なる点もある。ハルノートの時には中華は首都陥落でプレゼンスは低下していたが、今の日本も台湾も世界の中でプレゼンスは低下していない。ハルノートの時には純粋に日米のニ国間で問題解決が図られることになったが現在の極東では米中だけではなく、日本や台湾、また、南シナ海のフィリピンやベトナムなども加えて、多国間でのバランスが必要になるだろう。そういえば韓国もいたっけ。
それ以外に印豪日米のクアッドもある。
いくつかの枠組みにおいてバランシングが目指され、適切なゴールに向かわなければならないと言うことではないか。この中で日本の立ち位置も変化してゆくであろう。これ以上書いたら改憲にも踏み込まざるを得なくなるので左派リベラルが暴れてきても困るのでこの辺にしておこう。
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