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大岡裁きはあるか

これ、子供の姓は揉めそうだねえ。まあ、憲法24条で夫婦同権を宣言しているわけである。伝統的には父方の姓を受け継ぐことが習慣だった訳だけれど、夫婦別姓にして夫側と妻側を拮抗させると、両者の祖父母が孫の分捕り合戦を始めそうである。

まあ、これまでもそういう事例はあったかもしれないが、その場合は妻側が一応外孫として一歩引くのが慣習であった。もちろん夫側が婿養子として来た場合には立場は逆転しているわけだが。

夫婦別姓では夫と妻の立場は同等である。つまり、妻側の祖父母や親族は夫側に圧力をかけると天秤を揺らす可能性が出てくる。もちろん、夫側の祖父母は我が孫を奪われまいと抵抗することになる。かわいそうなのは出産したばかりの母親と両腕を引っ張られることになる赤子であろう。

いや、9割以上の家族ではそういうことは問題にならずにすんなり名前が決まるだろうと思う。けれども、抵抗すれば抵抗できると考えた祖父母は自分の家の名字をつけなければ出生届を出すなと言い出すかもしれない。出生届を出すにも期限がある。それを過ぎると無戸籍になる。

そりゃ常識のある人ならそんなことしたらみんな困るじゃないかというだろうけれど、そういう無茶をいっても「無理が通れば道理が引っ込む」を実践する人も一定程度存在することは確かである。

DINKsの夫婦やそもそもお一人様のフェミニストたちにしてみればそんなことは想像の外かもしれない。自分たちに子供もいないのに子供の姓なんてどうでもいいじゃないと思うことだろう。もしくは封建的な結婚制度を夢見ている人も当然子供の姓は父方のものを受け継ぐのが当然じゃないかと思うかもしれない。

大岡裁きに実の母と偽の母が子供を取り合って子供の腕を引っ張り合うという話がある。引っ張られて泣き出した子供につい手を離した方が実の母親であるという裁定が下された訳である。

両方の祖父母は血はつながっているけれど、母親より縁が離れているわけである。ここで一つ頑張れば孫に自分の家の姓を継がせられると思う祖父母はたとえ孫が大泣きしたとしても、赤子の腕が抜けても勝ちたいと両側から引っ張り続けるかもしれないのである。


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