世界最長の鉄剣(蛇行剣)~富雄丸山古墳(奈良市)出土~
2024年3月30日(土)~4月7日(日)の間、奈良県立橿原考古学附属博物館特別展示室にて富雄丸山古墳(奈良市)出土の「蛇行剣(だこうけん)」が特別公開された。公開最終日の4月7日(日)一見の価値あり!と意気込んで見学したので感想を述べてみたい。
この「蛇行剣」、日本最大の円墳(直径109m)である富雄丸山古墳の造出し(墳丘の出っ張り部分)の粘土槨(木棺を粘土で覆う埋葬施設)から出土したもので(他に類例のない鼉龍文盾形銅鏡・だりゅうもんたてがたどうきょう、と共に出土した。)全国ニュースとなって久しい。
先日、ある食事会で沖縄出身の方と隣席することになった。「蛇行剣はご存知ですか?」「何ですかそれ?」「今、本土で話題騒然の世界最大の鉄剣ですよ。奈良県橿原市の考古博物館で明日まで見学できます。是非!」それは「富雄丸山古墳という日本最大の円墳から出たもので全長が237㎝もあるんです。」「それがどうしたのですか?」と無感動だ。それもその筈、沖縄には古墳は無いのだ。(詳しくは13.にて)話題を振ってしまった自分が無知であった。
先週、知人の方々(もちろん本土)から「蛇行剣を見に行きましたが2時間待ちでした!」「息子と一緒に行きましたが、余りにも人が多く引き返しました。」との情報を得ていた。今日は最終日なので、さぞかし多かろうと思っていた。2時間待ちを覚悟して、時間オーバーの場合、見学できるのかと、あれこれ考えながら会場に到着すると、それは杞憂に終わった。(15時頃入館) ご覧の通り特別展示にしては少なかった。とはいえ続々と後ろから見学者が来るので、ゆっくり立ち止まって写真を撮ることは困難であった。(したがって写真にブレ、ピンボケがある。ご容赦お願いしたい。)
前にいる見学者が立ち止まって熱心に写真を撮っている。全長237㎝の鉄剣を1枚で収めようと必死だ!「ハッキリ言って、かなり後ろに引かないと無理ですよ!(会場の状況②のように)」と言いたかったが、そうすれば人物が写り込む。私をチラチラ見ながら写真の構図を模索している。研究者ではなさそうだ。カメラマン風の望遠レンズも持参している。(研究者であればガラス越しの写真を撮る必要はない。)早く先へ行ってほしいと念じながら自分がいざ「蛇行剣」と対峙すると、やはり難しい。定番の斜め撮りと部分撮りをした。(上写真①~⑥蛇行剣)僅か3分程度の”蛇行剣との対面”であった。
全長238㎝の世界最長の鉄剣。先端部分の把(つか)と刀の鞘(さや)部分を装着すると何と!285㎝になるという。こんなに長い鉄剣は戦闘用ではない。誰が考えても儀礼用である。また「石突(いしづき)は、剣を立てて置いたときに鞘尻部分(剣の先端部分)が直接地面に触れないようにするためのもの。(写真⑥)」らしい。剣は刃の部分が6回折れ曲がっており、蛇行する状況から「蛇行剣」と名付けられた。銘々の意味は難しくない。いつもの如く詳細は述べないが、錆びた鉄剣を見てあまり感動は無かった。異常に長い!それだけである。難しく考える必要はない。実物を見るだけで良いのだ。今後は保存処理が行われ数年は見学できないという。見学時にはレプリカで石突を下にして高さを強調する展示を希望する。
当時は鞘(木の部分)を装着し上空に向けて高々と立てたのか?盾形銅鏡との関係は?どのような祭りをしていたのか?剣が蛇行したのは長すぎたからか?何故、237㎝で終わったのか?長さ、尺度に意味があったのか?等興味は尽きない。富雄丸山古墳の墳丘主体部(主)に対する造出し埋葬施設(従)の位置から出土した、とてつもない遺物。日本最大の円墳が秘める謎は深まるばかりだ!
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