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赦し【MIU404 #8 君の笑顔】

あまりにも考えさせられる内容で、あまりにも辛い回でした。
次回予告を見てなお、伊吹のことが心配すぎて辛い1週間になりそうです…。



◎お引っ越し


隊長の自宅で発見された盗聴器。
思えば給湯器が壊れたことも、盗聴器を仕掛けるための罠だったのかもしれない…
その場で立ち会っていた志摩は「目を離した時間があった」と言うしかありませんでした。
それはちょうど、伊吹が志摩の過去を紐解くタイミングだったのですから。

そう、誰も悪くない。

ここにいるのは危険だと、ハムちゃんとゆたくんは官舎へ行くことに。
不安な顔を隠せない志摩に、伊吹は「そんな顔するなよ」と笑顔を見せます。
メロンパン号で自宅を後にするゆたくんも、顔を曇らせています…。

が。

2ヵ月後、元気にお友達と傘チャンバラで元気に学校へ行くゆたくんw
子どもの順応力は素晴らしいです。
引っ越しが夏休み前だったので、新しいお友達とたくさん遊んでからの2学期はちょうどいいタイミングだったようです。
(盗聴機事件の発覚は2019年7月頭、という計算になりますね)
しかしそれは、2ヵ月経っても「エトリ」に繋がるものが発見されていない、ということでもありました。
登校確認後のメロンパン号で喧嘩する伊吹×志摩、可愛かったですねw



◎見つかった連続猟奇殺人事件


そんな中、変死体が発見されたとの通報が入ります。
現着して死後1ヵ月の死体を開くと、鼻のいい伊吹が顔をしかめるのが細かい。
そんな臭気でもしっかり手を合わせるんですよね、伊吹は。
死体は十字架をかけ、多数の刺し傷、そして指が3本(人差し指、中指、薬指)切り落とされていました。

その現場に、ナイトクローラーchのカメラ小僧がうろうろと。
登録者数40万人超、撮影のバイトを雇い救急車やパトカーを追いかけているというのです。
ナウチューバーがバズると羽振りも大きくなるのでしょう。

現場に到着した捜一の2人、そこになぜか見覚えが…と思ったら、伊吹に「相棒殺し」という言葉を聞かせた張本人、刈谷でした。
あの一瞬、通りすがりの刑事的に終わるのかと思ったら、まさかの再登場!w

いきなり暴言を吐く刈谷に「香坂の件は勘違いだ!」と食ってかかる伊吹。
それを「いいよ、話すな。いいよ」と優しく宥める志摩。
”お前が知っていてくれればそれでいい”という空気があたたかくて、そこだけで泣きそうになりました。
それを全くきにすることなく、機捜ではなく捜一に情報をあげろ!と大声で叫ぶ刈谷の感じ悪いことったらないですw
志摩はそんな刈谷にも慣れているのか、相方の刑事に「到着が早い、初動捜査すっ飛ばして」と聞くと、意外な言葉が返ってきました。
これはただの殺人事件じゃない、未解決の連続猟奇殺人だと。

20年前、千葉の海に上がった遺体、そして15年前m荒川区の自然公園で見つかった遺体。
それぞれ胸をめった刺しにされ、両手の中3本が切断。
荷札には中国語で「獣」という意味の文字。
その情報は開示しておらず、模倣犯は考えにくい。

「大発見!俺達持ってるわあ」と叫ぶ伊吹は「同じ茨城出身、俺と同じ!」とドヤ顔w
そこじゃねえ。

そして、よりによって刈谷の手伝いに回されてしまった4機捜。
お前らはアッシーだと叫ぶ刈谷に伊吹は「古っ!」と悲鳴をあげますが「口を慎め。古い世界に生きているんだ」とフォローに見せかけて更に傷口に塩を塗りこむ志摩。
「聞こえる嫌味を言うな!」と叫ぶ刈谷。
うん、それは刈谷に嫌われるだろうな…w



◎アンナチュラル勢、大歓喜


そして、ここでUDIの登場です…これは「アンナチュラル」を見ていた人には嬉しすぎる画です!
不自然死究明研究所、通称UDIラボ!
ここで5時間はかかるであろう解剖に立ち会うことは許されず、待機を命じられるチーム404。
しかし鼻のいい伊吹は刈谷が置いていった資料を発見!
「ばれないように戻せよ」と黙認する志摩に「合点承知の助ー!」と元気に答える伊吹がほんといつも可愛いですw

そして、そこにフローレンスとともに現れる坂本さんー!!!
UDIでおなじみ、坂本さんがメロンパンにつられて出て来るとか!!!
坂本「1個でいいんです」
志摩「1個もないんです」
坂本「ピスタチオ…」
志摩「ピスタチオないんです」
坂本「奥の職人さーん?」
テンポよすぎて脳みそがピスタチオですよ!それ側の人のネタじゃないですか!!!w

そんな中「志摩!俺達、持ってるわあ…」と叫びます。2回目。
捜査資料を見ていた伊吹が見たのは、当時の担当者氏名。
そこには伊吹の恩師、ガマさんの名前があったのです。

行ってしまったメロンパン号を見送りつつ坂本さんが「お口がメロンパンになっちゃったよ」と呟く可愛らしさに再度キュルンですが、直後にかかってきた電話口からはまさかの「クソがあっっ!!!」の叫び声!
な、中堂さーーーん!!!w

ガマさんの家に行くと、ちょうど留学生が帰国するところでした。
一旦留学生受入をやめるというガマさんは「サビてんだよ、身体も、ここも」と頭を指します。
霧がかかったみたいになると呟くガマさん。

殺された堀内のことは覚えていたようで、ガマさんは当時のことをあれこれ話してくれます。
さすが茨城のグレートデカ。
しかし肝心なことは思い出せない。
そんなガマさんの飲んでいる薬を、志摩はチェックしていました。
それは志摩のおじさんが飲んでいた脳血管型認知症の薬と同じだったのです。
奥さんを事故で亡くし、子どももいないガマさんにとって、認知症の進行は深刻な問題です。
これ以上進行すると、一人暮らしも難しくなってしまいます。

堀内の司法解剖の結果が出ました。
生きているうちに指が切断されたことが確認されました。
1人目の容疑者はパチンコ店の店員、店を辞める事になった原因。
2人目の容疑者は中古自動車販売業者、貸した車を勝手に売り飛ばされたことでトラブルになっていた。
そんな内容を確認する中、伊吹は捜査員にガマさんから聞いた情報(堀内の性格など)を説明します。

「ガマさんは手がかりになる何かを、思い出す」

『人は信じたいものを信じようとする』んですよね…その言葉が、頭をよぎりました。

ドーナツEPの売人になっている成川。
2ヵ月前に謎の男・久住がメロンソーダに混ぜて飲ませたのは、やはりドーナツEPだったのでしょうか…。
そこでモニターに映るハムちゃんを見た成川は、あることを知ってしまいます。
ハムちゃんには、1千万円の賞金がかかっていることを。

官舎で元気に暮らしているハムちゃんとゆたくん。
「悪い奴、捕まった?俺がパンチする!」と聞くゆたくんに志摩は「今皆で捜査してる。もうちょっと待ってくれ」と言います。
そんなゆたくんに頼まれピタゴラロボットを直しにいく志摩。

ハム「私がいなければ家を出なくて済んだ」
伊吹「ハムちゃんのせいじゃないっしょ」
ハム「だけど、いつまで迷惑かければいいの?」

そんなハムちゃんに、いきなり一緒に住む?と声をかける伊吹。
ガマさんと3人で暮らそうと元気に提案します。
さすがのハムちゃんもその勢いに笑顔になってしまうのが伊吹すごい。

志摩も、ゆたくんのピタゴラロボットを難なく修理。
「今度は自分で直してみな?」と言う志摩はどこか嬉しそうでキュルン。
そこへ電話がかかってきたのですが…相手はまさかの。

かかか、神倉さーーーん!!!!!

またしてもアンナチュラルから、最高のゲスト登場です。
UDIラボの所長、常に厄介事を抱えている苦労人。
お茶出しから解剖ヘルプまでなんでもこなす所長!大好き!!

「刈谷さんとうちの解剖医が揉めに揉めて」という神倉さん。
ええ分かります、中堂さんですよね…見えなくても存在する中堂さんw
「感じ悪い魔人」である刈谷に対し「感じ悪い、態度悪い、口が悪い」という中堂。
怪獣大決戦、どっちかというと中堂さんが勝ってる気がする…w

しかし中堂さん、勝手に過去の解剖結果を取り寄せて「過去の2件と比べて不自然な点がある」と指摘してくれたのでした。
3本の指の「切断された向き」が違うというのです。
堀内の場合は椅子に座った状態で手を固定されて、指を切断された。
(手首や肘の内側に表皮の剥離があった)
ところが、先の2件については床に仰向けで寝かされた状態で、指を切断された。
(背中や手の甲に擦り傷があった)
手口が同じようで、違う。連続殺人事件では…ない。

この流れ、完璧すぎて絶叫でした。
中堂さんは連続殺人事件に対して怨念とも言えるほどの思いを抱えており、そんな彼が法をぶっちぎって無視してでもこの矛盾に気がつく。
アンナチュラルを見ていた人なら、ここで中堂さんを思って涙を流しているであろう展開です。
あの時はミコトが辛うじて中堂さんを止めました。
けど、もしあの時にミコトがスイッチになれなかったら…と思うと、また改めてアンナチュラルを見たくなります。
そして脳内では米津玄師さんの「lemon」が流れましたね。分かります。

隊長はその話を豆治へ進言します。
しかし「でっかい山ほど捜査方針は覆らないからなあ」とぼやく陣馬。



◎本日の機捜うどん


機捜うどんは福岡うどん!
きゅーちゃんお手製、ごぼう天が美味しそうです。
陣馬「コシがねえんだよなあ」
九重「もちもちしてるんです、その差が分からんなら文句言わんでください」
きゅーちゃん、久しぶりに塩対応ですw



◎記憶の行方


「中の指3本って、キリシタン狩りみたいですね」
九重が長崎に行った時に見たようで、幕府に迫害されたキリシタンの話もよく聞いたのだとか。
俗説ではあるものの、その行為には「この物は人間に非ず、獣である」という意味があったと。

そんな分駐所に、招かれざる客が訪れます。
来て早々に「何から何までふざけてんな、この分駐所はァ!」と怒り心頭の刈谷。
どうやら伊吹に用があった様子。
「嫌味言いに来たんですか?暇だなぁ」って志摩さん、刈谷さんからかうのは日常茶飯事になってますねw

刈谷は連続殺人事件ではないという進言について何か言いたかったようです。
刈谷「1人だけ情報握って他の奴を出し抜いて。お前が昔、捜一でさんざんやってきたことじゃねぇか」
志摩「その節は…本当にすいませんでした」
刈谷「(驚いた顔からの)今度は…どんな魂胆だ?」
志摩「本心です」
刈谷「(志摩の胸ぐらを掴んで)これ以上、邪魔すんな!!!」
志摩「ほい」

軽っ!志摩さん軽っっ!!!w

刈谷「言われたこと以外はやるな!」
志摩「…息はしてもいいですか」
刈谷「そういう余計なことを言うなと言ってるんだよ!」

志摩さん、絶対に刈谷さんで遊んでますよねw

しかし刈谷は「蒲郡の言う事も当てにするな」と警告します。

刈谷は堀内の情報を洗いざらい教えろ!と、ガマさんの家に押しかけたようです。
しかし「ただのモウロクじじいだ」と吐く刈谷は予想外の言葉を吐きます。
「認知症の症状、そんなに出てましたか」と言う志摩に「事故だろ、事故でボケちまった」と。

伊吹はガマさんの家に行き、堀内のギャンブルの話を改めて聞きますが、ガマさんは「ギャンブル?…競艇だったかなあ、競輪だったかな」と噛み合いません。
その言葉に、凍りつく伊吹。
たぶん一番知りたくないものを見てしまったのでしょうから…。
それを払拭するかのように「俺と一緒に住まない?」と提案する伊吹。

その返答は「麗子は何て言うかなあ…」でした。
それは、亡くなったはずの妻なのです。

伊吹「麗子さんは、病気で死んだでしょう?」
ガマさん「…そうだっけな」

志摩はそんなガマさんの事故内容を確認していました。
妻・麗子は内臓破裂により即死、夫・慈生は頭部外傷により入院。
そして夫は「外傷による高次脳機能障害」と診断されていたのです。

「これからは、自分の人生もっと考えないと!」と訴える伊吹の目には、涙が浮かんでいました。
ガマさんは、穏やかな表情のままでした…。

容疑者の張り込みをしている捜一を横目に、つらっとその容疑者に接触する志摩w
「交通事故の件で」と、直球勝負です。

刈谷「…お前、ちょっと来い!(志摩を拉致w)」
志摩「休みの日に、たまたま近くを通ったもんですから」
刈谷「白々しいことをするな!邪魔をするなと言ったはずだ!!」
志摩「俺が調べているのは、別件です」
刈谷「別件?」
志摩「協力してください。手柄は、いらない」

刈谷までも巻き込んで成し遂げたい。
志摩のただならぬ覚悟が見えた気がします。




◎伊吹の休日


日常感がむんむんしていて、髪の毛もナチュラルで、服装もカジュアル。
物件を探す伊吹は本気でガマさんとの同居を考えている模様です。

というか…この段階で、事の大きさが見えているんですよね。
休みの日は絶対に会わないと言っていた志摩が、わざわざ伊吹に会いに来ている。
もちろん、先日の香坂の一件から親密度は増したとはいえ、それでもこの状況には違和感しかないんです。

伊吹は志摩に「ガマさんとハムちゃんと一緒に住む」という計画を話します。
普通にハムちゃんに下心も抱えている伊吹は本当に可愛いですw
それはそれとして、一人者同士、仲良く暮らせたらいいと。

志摩「伊吹、お前さあ…」
伊吹「はいバカだって言いたいんだろ」
志摩「…いい奴だなあ」
伊吹「……………ドッキリ?」

下心込みのハムちゃんはともかく、ガマさんは赤の他人。

伊吹「他人じゃねえよ、俺の恩人」

茨城の学生時代、貧乏で何かあると疑われ、隙を見せるとやられるという毎日。
そんなことから、毎日「負けねえぞ」とオラオラしていた伊吹。

伊吹「腐ってた。ちょー腐ってた」

喧嘩をふっかけられ補導され、俺のせいかと腐る伊吹を、ガマさんは信じてくれました。
キャッチボールをした日々で「納得いかねえ」と叫ぶ伊吹に、ガマさんはきちんと答えていました。
そんな中で、刑事になってみようかと思う伊吹に「お前ならなれる、向いている」と言ってくれた唯一の存在が、ガマさんだったのです。
伊吹が初めて見つけた、明確な道でした。
それがなければ、やくざになってチンピラになって、志摩に逮捕されていたと笑う伊吹。

しかし、ふっと伊吹の表情が消えます。

伊吹「何か言いてぇことあって来たんだろ?」

お前の勘って働く時と、ちっとも働かない時がある。
働かないときは、感情が蓋をしている時だ。感情のバイアス。
勘とか信じないスタンスだった志摩も、考えを変えていたのです。
伊吹は、動体視力や聴力や嗅覚が鋭い。人より多くの情報が脳に入る。
ところが思考力と語彙力が足りないせいで、論理立てて説明ができない。うまく言語化もできない。
その結果「俺様の勘だー!」みたいな、バカみたいなモノ言いになる。
…そこまで冷静に分析した上で、志摩はその「勘」を信じることにしたのです。

志摩「お前の勘は、今、何を感じている?」

感情と、昔の思い出で蓋をしたお前の勘は、何か感じてるんじゃないか。
そう問う志摩に、伊吹が微笑みます。

とてつもなく、感情の無い笑顔で。

伊吹「何が?むじぃよ」

志摩は気になっていたのです。
ガマさんの家の歩行器は「普通の力では考えられない」曲がり方をしていました。
奥さんが亡くなったのは今年の4月。伊吹もちょうど4機捜に異動した直後です。
伊吹はその頃ガマさんには直接会えずに、後から病気で亡くなったと聞かされたのではと。

志摩「奥さんは交通事故で亡くなった、ひき逃げで犯人はまだ捕まっていない」

ガマさんも頭部に損傷、事故の時の記憶は何ひとつ覚えていないと証言しています。
そして高次脳機能障害は、認知症と同じ薬を使って治療するのです。

志摩「本当に記憶を失ったと思うか?」

現場に残された車の塗料と、容疑者である峰岸の売り飛ばされた車は同じ色でした。
塗料の鑑定結果は一致。
堀内は車を売ったのではない、廃車にした。
そう指摘する志摩と目を合わせないまま、思いっきり机を殴る伊吹。

伊吹「…想像だろ?全部、志摩の想像!!!」

志摩「殺害する動機がある、ってことだ」
伊吹「動機があっても、ガマさんは刑事だ。な?」

伊吹は…笑いながら、泣いているように見えました。
辛すぎる…もう伊吹があまりにも純粋で、どれだけ葛藤しているのかが見えて…本当に、辛い。



◎それぞれの、赦し


ガマさんの妻・麗子さんはクリスチャンでした。
ガマさんの家を訪れ、麗子の写真を見ながら思い出話をする伊吹。
「キリスト教の教えは赦しだ」と話すガマさんは、とても穏やかでした。
しかし刑事は犯人を逮捕することで悪しき行動を止め、犯人は服役することで罪を償います。
それが「赦し」を与えることだ、と。
けれども伊吹が交通事故のことを切り出すと、ガマさんは表情をなくします。

伊吹「事故のことも犯人のことも忘れた、そうだよね?ガマさんは事故で怪我して、全部忘れちゃったんだよね?」

笑顔でガマさんに問う伊吹。
表情をふと緩め、笑顔で伊吹を見つめるガマさん。

退官してゆっくり夫婦で暮らそうと、家を買って過ごしていたガマさん。
出所した堀内から電話があった時も「俺は刑事じゃない」と言ってしまったガマさん。
「俺を裏切るのか」と言う堀内の言葉に「俺にも刑事じゃない余生を送る権利はある」という思いを優先してしまったガマさん。
足が不自由な妻は笑ってそれを受止め「外国人留学生の支援はどうか」と、新しい道を見つけました。

その最中の、ひき逃げ事故。
車の下敷きになった、妻。
その妻を踏みつけながら、逃走するひき逃げ犯…

その犯人は、あの時に電話を切ってしまった堀内でした。
笑いながら妻の死体を踏みつけ、ゆっくりと逃走する堀内。

気がついたら1週間が過ぎ、病床で何があったのか全く思い出せないガマさん。
もちろん妻が亡くなったことも忘れていたそうです。
しかし、ガマさんの脳は思い出しました…あの日のことを。

二度と笑わない、妻のことを。

警察に通報したとしても、目撃者がおらず、過失傷害にしかならない事件。

ガマさん「だが、あれは殺人だ」

処刑人にも、良心の呵責がある。
殺すつもりじゃなかった、驚かそうと思っただけだと叫び「赦して…あんた、刑事だろ!?」と赦しを請う堀内。

ガマさん「麗子は、お前を赦すだろう」

そのまま、ガマさんは刃を振り下ろしました…。

何度も赦しを請う堀内に、何度も「赦さない」と言ったガマさん。
刑事だった自分を捨てても、俺は赦さない。

伊吹「俺は…ガマさんがいたから、刑事になった。ガマさんみたいな刑事になりたかった。いや、なるんだよ。定年まで勤めあげてさ、俺見たいな奴を真っ直ぐな道に戻してやり直して、…誰でもやり直せるってガマさんが教えてくれたじゃん、俺に!!!」

伊吹「俺は、どこで止められた?いつなら、ガマさん止められた?どうすればよかった?!」

伊吹「ねえ………ガマさあん!!!!!」

地団駄を踏みながら、涙を浮かべて叫ぶ伊吹。
ガマさんはそれに答えず、盗聴している志摩と他の刑事に声をかけます。

首を振る伊吹。
認めないでと、泣きじゃくる子どものように。

ガマさん「逃げも隠れもしない、堀内を殺したのは俺だ。これは自首ではない、逮捕しろ。早いとこ死刑にしてくれ」

伊吹「ねえ、ガマさあん…」

ガマさんは自分みたいなものを収監して飯を食わせるのは税金の無駄だと言い、同じ場所にいけなくてごめんな…と妻の写真に謝罪します。

伊吹「ねえ…ガマさん…」

殺害現場は風呂場、凶器は洗面所の戸棚。
指示を的確に出していく姿は、刑事そのものでした。
泣きじゃくる伊吹に何も言わぬまま、ガマさんは手錠をかけられたのです。

志摩「ガマさん…何があっても貴方は、人を殺しちゃいけなかった。全警察官と…伊吹のために」

その台詞は、伊吹の台詞そのものでした。
理不尽に抗い、上司を殺害し、その元凶たる父親をも殺めようとした彼に向けた台詞。
それを、志摩は伊吹の代わりに伝えたのでしょうか。

ガマさん「あの子に…伊吹に伝えてくれ。お前にできることは何もなかった。…何もだ。」

そう志摩に伝えるガマさんの表情は、穏やかでした。

声をあげ、麗子さんの霊前で泣きじゃくる伊吹。
聖母マリアの像は、伊吹に救いを与えてくれるのでしょうか…。



◎いつもの、日常


いつもの東京。
事件や事故が多発して、眠ることなく動く都市。

そんな夜空を、伊吹は見上げていました。

志摩「ほい、休憩時間終わり。仕事の時間だ。朝の9時まで重点密行、俺一人で行かせるつもりか?」

そんな軽口にも、全く反応しない伊吹。
夜空を見たまま、身動きひとつしません。

志摩「…行くぞ。相棒」

手を差し伸べる志摩。
視界にその手が映ったであろう伊吹は、涙を滲ませながらうつむき…その手を握りました。

固く握った手は、捕まえられない。
けど、開いた手は…掴むことができる。

何も言わず、志摩は伊吹の背中を押しました。
伊吹とともに、その扉に向かって歩くために。



ガマさんと伊吹は、同時期に同じような分岐点にあったのだと分かりました。
ガマさんは、そこで人を殺しました。
伊吹は、そこで人を殺しませんでした。
けれども、ガマさんの横には伴侶がおらず、伊吹の横には相棒がいました。

お互いに訪れた分岐点、その道を選ぶのは意図的なのか、抗えない何かなのか。
個人的にはガマさんが「通常どおりの思考」だったのかと考えてしまいます。
高次脳機能障害というのは記憶障害だけではなく、感情のコントロールが効かなくなるような症状もあるからです。
あれだけ冷静に相手の罪状を予測し、自らの幕引きを完璧に引いたように見えるガマさんですが、根本的な間違いを犯しているのも引っかかる点です。
それは「たった1人殺した程度では、現行法令上は死刑になり得ない」ということ。
刑事ならそれくらいの認識はあったはずなのに、その根底が判断できていない。
そうでなければ「俺を死刑にしろ」なんて言わないのでは?とも思ったりするのです。
(まあ「言葉のあや」という話かもしれませんがw)

もちろん、どんな状況であったとしても、人を殺めることは罪です。
けれども「ガマさんはあの犯人を赦すべきだ」と言えるでしょうか。
「世の中の事象は全て赦されるべき」でしょうか。

赦しは、全ての救いになるでしょうか。

きっと答えのないことであり、いくら考えてもスッキリとした結論は出ないと思います。
ただ、どうか…どうか伊吹に、何らかの救いがあって欲しいと切に願うばかりです。



志摩がいれば、伊吹がその手が握れたのなら、きっと全部抱えて前を向けると信じて。


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