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水星の魔女-ガンダムといえばガンダムを破壊した特異点

 どうも、水星の魔女が話題にならない週がないことに喜んでいるにっしーです。正直1ガンダムファンとしてここまで水星の魔女が話題になるとは思っていませんでした。今回は水星の魔女がなぜここまで話題になったのか書いていきたいです。

◯水星の魔女はめちゃくちゃ紹介しやすい

 ここです。この点が水星の魔女が歴代ガンダムで最も優れている点です。仮に水星の魔女をガンダム知らない人に紹介するなら…

「女の子の主人公のスレッタがガンダムと共に学校に入学してそこで学園最強の男と決闘で勝って女の子と婚約が決定する話なんだよ。結構面白そうじゃない?」

 で終わるんです。正直これに比肩するほど紹介しやすいのってGガンダムくらいじゃないでしょうか。僕が好きなOOと∀で同じ短さに纏めると僕の文章力の低さもあってかなり難しいんですよね。OOなら…

「ガンダムマイスターの刹那が未知との対話のために世界を一つにするために世界と戦うお話で、その中で成長や人がわかりあう難しさが描かれてて見応えがすごいんだよ」

OOでも印象に残る回、このシーンがあるからこそ終盤での「言ってくれなきゃ…わからないじゃないか!」人と分かりあうことをテーマにしたOOだからこそ響くセリフ

 ∀なら…

「地球帰還作戦の選考調査員として地球にきて生活していたロランが月の人々と地球の人々との融和のために奮闘ん(以下略」

戦場となるから避難しろと言われても先祖から受け継ぎ人の命を繋ぐ小麦畑を守ろうと身一つで軍隊に抵抗するアニスお婆さん。僕が好きなエピソードの一つ。(画像は電撃オンラインの記事からhttps://dengekionline.com/articles/145502/

 だめだ!ストーリーの話をする前に設定の説明で潰れる!書き用は色々ありますがそうするとストーリーや設定の説明がおざなりになる…。
 水星の魔女って「えぇ⁉︎スレッタが女の子と結婚しちゃった⁉︎でもスレッタが知らないとこでやばそうな話が進んでるヨォ…」って言う風にスレッタの物語を面白いと思って見てる人が勝手に裏で起こっているガンダムらしい組織関係や重たいテーマの話を見てくれるんですよね。

 今までのガンダムは重たい話と主人公の行動はほぼセットみたいなものだったので、ぱっと見主人公の話と重たい話を分離させつつしっかり絡ませてくるのは作品の作りや設定がよく練られていると思います。

◯既存の掴みと新規への広告が上手い

 今作は新規の獲得が歴代ガンダムで最も多いと思います。僕の周りにもガンダムを全然見たことない人が水星の魔女面白いねって観てる人がとても多いです。(百合ものってだけで取り上げずオタクは食いつく)

 それ以外で特筆すべきはYOASOBIの起用ですかね、閃光のハサウェイではAlexandersを起用して更にそれを利用した偽マフティーによりネットミームと化し話題を呼びましたが作品が作品なだけに観たとしても楽しめる物では無かったと思います。

ガンダムは知らないけどこれだけは知ってるやつ


 ですが今作はYOASOBIや百合ものという広告に釣られた人が見てしっかり面白いと思える作品だと思っています。そう言ったカジュアルな人達はスレッタの話が面白いからスレッタの裏で起こっているガンダムらしい重苦しい話もしっかり観てくれます。1話が面白い→プロローグやゆりかごの星があるらしいか観てみようという感じです。
 新規ファンが本編を楽しめるからこそ新規ファン獲得の弊害であったガンダムらしさが受け取りやすくなっていると思います。導線が凄まじく上手いと思います。

 では既存ファンは放置なのかと言うとそんな事は全く無いと思ってます。既存ファンにはプロローグをイベントや配信サイトで先行放映しています。ガンドアーム、アーシアンとスペーシアン、企業間の話など既存ファンが求めるガンダムらしい物が散りばめられていて「本編は学園物らしいがこれは期待しても良さそうだ」と思わせる。そして新規ファン同様に本編に一喜一憂します。

一喜一憂するガンダムファン、ファンじゃなくてもこうなるよなぁ⁉︎


 例外としてオルガ・イツカというたった1人でガンダムを支え続けた偉大な男が存在しますが、オルガは知ってるけどオルフェンズは観てないって人多いと思います。(実際僕の周りでもオルガだけは共通言語のように通じやすいです)どれだけ面白かろうがオルフェンズもやはりガンダムらしさが前面に押し出された作品だと思ってはいるのでそう言うとっつきづらさが水星の魔女は他の作品より少ないのかなと思います。

 ガンダムはどれだけ面白くても結局ガンダムだからウケない。それが最も打ち破られた作品だと思います。

「オルガ ネタ」で検索すれば出てくるガンダムを支え続けたオルガミーム ネットのおもちゃ 異世界転生


◯ガンダムといえばガンダムを打ち破った水星の魔女

 個人的に知名度だけで言うとコードギアス、マクロス(世代的にはFが一番有名だと思ってる)がロボット戦闘物観ない人にも知名度が高い作品なんじゃないかなと思ってます。特にコードギアスはロボットものを見なくてもコードギアスは観てるというアニメファンが多数いて僕の中ではガンダムより凄いと思ってる作品でもあります。
 どちらの作品もガンダムに負けず劣らず骨太な設定や見応えのあるロボット戦闘、勿論様々な人間ドラマが展開されていく作品なのですがそれがガンダムよりもすんなりと受け入れられています。
 両作品ロボットや組織より先に他の物が真っ先に出てくると思います。コードギアスならルルーシュ、マクロスなら歌。どれもロボットとは関係ありません。ここだと思います。

VF-25メサイアよりもアルト、ランカ、シェリルが目につく
こちらも人物の方に目がいく

 ガンダムで真っ先に出てくるものはなんですか?アムロ?曲?そうじゃないでしょう。ガンダムなんです。ガンダムといえばガンダムなんですよ。

鉄血のオルフェンズ1期の公式サイトより。やはり人とガンダムそれぞれが目立つ構図。

 僕は小学生の頃にガンダムにハマって中学頃からAnother Centuries Episodeをやったりして他のロボット作品にも触れていきました。ある日クラスメイトのアニメ付きの女子がルルーシュとスザクが印刷されたファイルを使ってたので「ロボットモノ見るんだね」と意外なので声をかけたら「コードギアスってロボットものなの?」と返されて愕然としました。ロボットは知らなくても作品やキャラが気になる。これがガンダムには本当に足りなかった。

 これはもう初代から続くバンダイとの密接な繋がりや広告の仕方で作品として成り立っていたので仕方がない事だとは思います。
 むしろキャッチーでもないのにお台場や福岡など各地にガンダム立像を立て、果ては18mの巨大建造物を動かすというガンダムにしかできない夢のあるプロジェクトを成し遂げる偉大さがありますし、二足歩行のロボットは取り敢えずガンダムと印象をつける凄まじい功績がガンダムにはあります。

みなとみらいで展示されている動く実物大ガンダム めちゃくちゃ感動したし初めて行った時は展望台の都合もあるが6時間ほど滞在した。写真は2回目に行った時のもの。


 それでもガンダムといえばガンダムなんです。どれだけガンダムファン以外の目に触れようがガンダムを見てくれる人は微々たるものなんです。

 だからこそコードギアスやマクロスはガンダムより凄かった。ルルーシュとスザクという2人の主人公を軸に見る質の高いストーリーで魅了するコードギアス。歌という最もキャッチーなコンテンツで話題を広げ、ライブまで展開できる拡張性のあるマクロス。どれもロボットとシリアスな設定以外に勝負できてかつウケやすい要素が前面に出ています。
 しかし水星の魔女はこの2つの作品と似ていると思います。スレッタという1人の主人公を軸にした分かりやすいシナリオ。YOASOBIを起用することにより話題性を掻っ攫う。水星の魔女といえばなんですか?エアリアルですか?ベネリットグループですか?違いますよね?スレッタなんですよ。

 ガンダムなのにガンダムじゃなくてスレッタの顔が出てくる。ガンダムは漸く大胆な舵取りをしたのだと思います。

◯終わりに

 長々と読んで苦いただいた方、飛ばし飛ばしで読んでいただいた方。ありがとうございます。僕は水星の魔女放映前に今作は平穏無事に終了してくれと願い記事まで書きました。まだ水星の魔女は終了していないですが今の所はファンとして喜ばしい展開や反響が続き幸せなです。
 その記事でも書きましたが10年代ガンダムはガンダムファンから見てもあまりいい作品があったとはいえませんでした。AGE、Gレコ、鉄血。素直に面白いと勧めるにはちょっとなぁというのが僕の中の感想です。OVAや映画、ビルドシリーズなど番外的なガンダムは面白くてもテレビシリーズがどれもあまり面白くないのは商業から見ても致命的だと思います。

 だからこそ今作は(今の所)本当に素晴らしく喜ばしい作品です。このままいけば間違いなく「水星の魔女が面白かったし新しいガンダムも見てみるか」という人が増えると思います。色々な意見があるとは思いますが僕個人としては水星の魔女はとても面白いですし、ガンダムというコンテンツにとって間違いなく大きな存在になるんじゃないかと思います。

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