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堀米トップ下考察

こんにちは、ニシザワです。久しぶりの更新になってしまいました。アルビレックスは直近の試合で3連勝!ここからのさらなる追撃に期待がかかります!

(*選手は敬称略です。)

さて今回考察してみるのはタイトルの通り「堀米のトップ下起用」です。普段とは違うポジションで起用される、いわゆるコンバートです。ただコンバートは日本はもちろん、欧州でもそこまで上手くいった例が多くありません。最近で一番良かったものだとバイエルン・ミュンヘンのアルフォンソ・デイビスをSBで起用した例ですかね。気になる人は検索してみてください。さてそんな堀米のコンバートですがかなり上手くハマっていました!京都戦の決勝点も生んだこの起用、どんな効果があるのか考察してみます。

まず初めに、堀米の長所・短所を考えてみます。長所としては、足元のテクニック、プレス耐性(相手のプレッシャーをかわす力)の高さ、サッカーIQの高さ、といったところでしょうか。昨シーズンの終盤を思い出してほしいのですが、左サイドに張った至恩の内側を走るインナーラップが非常に良いタイミングだったため、いくつもの得点チャンスを生み出していました。(これは今の左SBの荻原の課題だと思っています。)

一方短所としては、1対1の対人守備での弱さ(新井と比べて)、独力での突破力(荻原と比べて)といったところがあると思います。おそらくこのあたりがSBで起用されなくなった理由ではないでしょうか。左SBに攻撃曲面での打開を求めるなら荻原、攻撃的なサイドアタッカーへの対処や全体のバランスを重視する必要があるときは新井や史哉を左SBへと回す、このような考えがアルベルト監督にはあるのでしょう。

ではそんな堀米をトップ下で起用するという判断はどこから着想を得たのか、今回の京都戦を見てぼんやりと見えてきました。最近の試合では基本布陣は4-2-3-1、試合によってメンバーは変わりますが攻撃陣でファーストチョイスの地位を確立しているのが、ワントップのファビオと左サイドハーフの至恩です。そしてこの2人の好むプレー、至恩は左の大外に張ってからの仕掛け、ファビオは真ん中から少し右へ流れてのシュート、この2つのプレーを考慮すると、左のハーフスペース(相手の右SBと右CBの間、京都のように5バックの場合はさらに右CBと中央のCBの間も含む)が空いてきます。そしてここを使うのに最適な人材が堀米です。以下の画像を見てください。

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このようにファビオと至恩によって開けられた2つのレーンを堀米が使い、左利きであることを活かしてシュートかクロスの選択肢が生まれます。至恩の動きから堀米は動き方を判断し、その堀米を見て史哉が攻撃のフォローか裏のスペースのカバーリングかを判断するといった形でした。2人のサッカーIQの高さが垣間見えます。

ちなみに得点シーンは至恩がかなり中央へ入り、ファビオが左ハーフスペースに流れたことで空いた中央のスペースに突っ込んだ形なので、上の画像とは全く違う形でした(笑)

私の持論として「合理的な奇策は奇策ではない」というものがあります。一見すると堀米のトップ下起用というのは奇策ですが、ひとつひとつ事象を考察していくと合理性が見えてきます。例えば田上のSB起用も、CBとしてはポジショニングや判断に不安がある一方で攻撃時の積極性や空中戦で負けないSBといった長所を活かしたものでしょう。右サイドからのクロスに合わせにいく右SBなんて見たことないですからね(笑)

アルベルト監督の意図とこの考察が合致しているかはわかりませんが、采配で驚きを与えそれが合理的であるのは戦術分析好きとしてはとても面白いです。みなさんも選手がいつもと違うポジションに置かれたとき、監督の意図を考えてみてください。いつもとは違った試合の楽しみ方を見つけられると思います。


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