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ゲームマーケット2023春のマダミス出展状況を振り返る

ゲームマーケット2023春が無事に開催されました。マーダーミステリーやストーリープレイング作品や出展サークルを振り返ってみます。
大きなトピックは「大人数向けへの回帰」「謎解き団体の参入」です。
なおサークルや新作の出展数、価格の公式なデータは存在していないので、あくまで個人的な調査に基づくものです。多少のブレがあることはご了承ください。

ゲームマーケットの出展作品数と価格の推移

まず出展したサークル数と新作の数を過去と比較します。
サークル数は2021年秋以降は右肩上がりで、前回のゲムマ2022秋と比較しても増えています。
SCRAPやタンブルウィードといった謎解き団体がマダミスへ参入しましたし、KADOKAWAがカドアナレーベルで出展しています。
KADOKAWAは昨年末の『焚家』を皮切りにすでに4作のマダミスをリリースしています。TRPGを含めたアナログゲームに力を入れているので、今後はゲームマーケットの常連になりそうです。

一方で新作の点数は前回59作品に対して、今回は35作品と約4割減です。
業界最大手のStudio OZONが出展を見合わせたというのが大きいでしょう。OZONクリエイターはOZON主催で7月に開催されるマーダーミステリーフェスティバルへフォーカスしているでしょうし、マーダーミステリーブースが無くなったことで個人制作の作品の中にも見送られたものもあるでしょう。
ただしゲームマーケットは春から秋より秋から春の方が開催間隔が短いということもあり、春は新作の作品数が少ない傾向にあります。2022年春も新作の数は2021年秋から33%減でした。今回を前年春と比較すると作品数は増えています。

ストーリープレイングは2022春と変わらず、新作は4作品でした。
公演型のストプレは大人数用ですが、パッケージ作品はいまのところ2人用しか出ていません。大人数用の作品が出てくればパッケージ用のストーリープレイングも広がっていくでしょう。

マダミスフェスの事情も考慮すると、全体としてはパッケージマダミスはますます盛んになっているといえます。

金額面では全体的に販売価格が上がっていて、販売価格5000円以上の作品が過去最多数、平均価格も最高値です。
もちろんむやみに価格が上がっているわけではありません。
6人以上の大人数用作品の増加、コンポーネントのクオリティアップが要因だと考えられます。
人数の集めやすさ、マーダーミステリーミニの流行から前回のゲムマまでプレイ人数は減少傾向にあり、前回は4人用が主流になっていました。しかし今回は7人用の作品がいくつも出ています。たまたまかもしれませんが、大人数用の新作が出ないことへの反動もあるとみられます。
プレイヤー数が増えればハンドアウトやカードといった印刷すべき部材も増えるので制作費も上がります。
コンポーネントも以前は簡易な紙箱や封筒入り、プリンターでの印刷といった簡素なものが多かったのですが、装丁やデザインが作りこまれたものが増えています。

価格の上昇には一定の理由があるのですが、問題はそれがプレイヤーの満足度につながるかどうかです。
同人作品は企業が制作する商業作品よりも価格が高くなるということは、マダミスプレイヤーも理解しているはずです。また店舗公演と比べて1人あたりの負担額でみれば、多少値上がったとはいえ格安であることに変わりはありません。
とはいえ購入に充てられる予算には限りがあります。

今回のゲームマーケットで大きなトピックはSCRAP、タンブルウィードという大手謎解き団体のマダミスへの参入です。
謎解きゲームとマダミスは類似点が多くて近しいジャンルであり、実際、謎解き要素が含まれたマダミス作品は多数あります。
グループSNEはもともとTRPG畑、ノーミーツは劇団で素晴らしいマダミスを世に出しています。謎解き業界からのアプローチでどのような作品が生み出されていくのか期待が持てます。

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