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“選ぶ”お店の話

皆さんのお住まいの地域にも、必ず飲食店はありますよね。

都心のお店のように、毎日知らない顔がやってくるお店もあれば、
ベッドタウンのような地域の、
常連までは行かなくても、どこかで見たことがあるお客が
テーブルやカウンターに座っているようなお店もありますね。

今回は後者のお店のお話を少しだけ。

「○○街道のとこにあるあのお店、
 次々とお客さんを出禁にしてるみたいよ。」
「あ、あのお店でしょ。私、何もしてないのに出禁になった。」
以前、近所のバーで聞いたお話です。

 “出禁”とは、“出入り禁止”の略で、
 お店側からお客さんに「もううちには来ないで」と
 伝えることを言います。
 酔っぱらって暴れたとか、他のお客さんに迷惑をかけるなどした人に
 「お代はいいからもう帰って。」など言われることも
 “出禁”にあたります。

私も話題になったお店は、冒頭のバーとは別のお店で聞いていました。
「○○街道のところに、新しいお店が出来てましたね。」と聞いてみると
バーのオーナーは苦い顔で
「ああ、『プランター(仮名)』ね。以前うちで働いてたA君のお店よ。」
オーナーの知り合いなら、見に行ってみようかと思った矢先
「A君には気をつけてね。」
何が注意なのかと聞くとオーナー曰く、とにかく若い女の子が好きで、お客さんにも手を出すので危ないんだ、とのこと。
正直手を出されるほどの年齢ではないような気がしましたが、
念のため、一人では行かないことに。
ただ、帰宅途中に前を通るお店だったので、
毎晩ちらっと歩きながら横目で見ていました。
料理は創作イタリアンで、お客は中高年8割、若い人2割。
そこそこ富裕層の方に好まれているようだという印象でした。

しかし、数年経って冒頭の会話になったのです。
お店にとっては、お金持ちのお客さんは大事にしたいはずですが
Aさんは次々と中高年のお客さんを出禁にしていきました。
私の知り合いも何人か出禁にされており、
それぞれ理由も言いがかりのような理不尽なものでした。
確かに私も毎日外から見かけていたので
客層が若くなっていることには気づいていましたが
まさかベッドタウンのこの狭い地域でそんな事をするとは。
仕舞いには、
「▲▲のお店(冒頭の会話をしていたバー)のお客は全員出禁」になり
行ったこともないお店に私も行けなくなりました。
いえ、元より行く予定が無かったのですが‥これは流石に理不尽。

個人経営のお店は、自分の好きなように出来る、ということなのでしょう。
(この辺りは三者三様のご意見あるかと思います。)
否定はしませんが、長年お世話になったお客に
不義理を働いてまで得るものは一体何なのか…私には未知の話です。
こんなに強引なケースは初めて聞きましたのでご紹介しました。
都心ではここまでしなくても、若者が集まるお店は作りやすいですよね。

Aさんを悪役とばかり考えるのはよくないと思いますので
ここで一旦Aさんの立場や思惑について薄い推測をしてみました。
経緯として、気の強い女性オーナーの下でバイトをしていたことで、もしかしたら年上の人間に苦手意識を持ったのかもしれません。
更に、理不尽に出禁にされた私の知り合いの女性は、
これまた我が強い女性でした。
せっかくお金を貯めて構えた自分のお店で、
そう言ったお客さんが集まるのが嫌になったのかもしれません。
かと言ってルールを破るようなことをする大人達でもなく、理由が作れず、
強引に入店をお断りするしかなかったのかもしれません。

つまり、その店で自分が一番年上で
兄貴みたいな存在になりたかったのではないか、と思いました。

…思っていたのですが、
更にその1年後、若い男性も次々に出禁にしていると聞きました。
こうなると、バーのオーナーの言葉が一番有力になってしまいます。

良い人であってほしい。
そう思いつつ、私は今日も彼の店を素通りするのです。

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