【読書メモ】〈叱る依存〉がとまらない(村中直人 著)

「叱る」必要性など、危険回避以外そもそも無かった。
「誰かを罰することで、脳の報酬系回路は活性化する」ことに衝撃を受け、まとめられたテキスト。

【読書メモ】
〈叱る依存〉がとまらない
村中直人 著(2022/2/4発行)
https://www.amazon.co.jp/dp/4314011882

●読後、自分の言葉で整理してみた。(随分ダサい^^;)
「叱る」とは、上下関係の存在に立脚して、負の感情をいただかせることによって、表面上の行動を変えさせること。
当人の内面的な理解に変化は無いので、次回以降の行動変化は起こらない。「叱る」のループが続いてしまう。そもそも、自分の考えや嗜好が絶対的に正しいという思い込みが「叱る」行為につながる。
また、「他人に罰を与える」行為そのものが快感をもたらすことが分かった。「叱る」行為によってアドレナリンが出る。このため、「叱る」のループが続いてしまう。これを「叱る依存」と名付けた。
「叱る依存」を治す方法は、以上の特性を認識した上で、人それぞれの感じ方、考え方(脳神経由来のダイバーシティ)があることを念頭に、コミュニケーションによる相互理解、擦り合わせをすること。
(具体的な方法は本書第4章を参照のこと)

●面白かった視点
ICTの発展により、コミュニティの大きさが大くなったことにより、バッシングの相手が多くなり、バッシングを受ける側も相手が多くなった。様々な社会課題の発生源も、人間が元々もっているこの性質にあるのかもしれないと筆者は想像する。

●マーカー引いた箇所の一部を抜粋
本書での「叱る」の定義
=言葉を用いてネガティブな感情体験を与えることで、相手の行動や認識の変化を引き起こし、思うようにコントロールしようとする行為。
(p.34)
トラウマティックボンディング
=過度な暴力などによって加害者と被害者の間に発生する奇妙な結びつき
加害者が時おり見せる愛情表現や気づかいが、被害者にとっての「報酬」になってしまう
(p.101)
生存者バイアス
=脱落したものや淘汰されたものを評価することなく、生き残ったものだけを評価する思い込み
(例)「成功している人の多くは、厳しく叱られたと言っている」
(p.106-107)
素朴理論
=人の実感や経験則によって信じられている素朴な(そして時に誤った)認識
(p.160)
「あるべき姿」は、「叱る人」が望んでいる未来でしかない
注意すべきなのは、「普通」「常識」「当たり前」という言葉とともに語られる場合
(p.174)

●グッときた表現
「叱られて、私は成功できた、強くなれた」は、うまくいかなかった多くの「犠牲」の上になりたっている可能性が高いのです。
(p.108)
「叱る」がやめられない人の多くには、そうならざるをえなかった背景がある
(p.166)

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