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遺言に条件をつけてはいけない

2時間ドラマはよい教材


テレビドラマをはじめ、テレビ番組の低視聴率が叫ばれて久しいですが、新聞のテレビ欄に目を通すと気づかされるのが、「2時間ドラマ」の再放送の多さです。

サスペンス、ミステリーものの人気はやはり根強いのでしょうか?

2時間ドラマは、ミステリー好きに限らず、鉄道ファンや旅番組ファンも楽しめる要素がありそうですね。

さて、2時間サスペンスに欠かせないのが「殺人事件」。

しかし、その裏には必ず「お金」が絡んできます。横領、強盗、そして、「相続」です。

小説やドラマ(映画)では、作家が入念に取材や調査をして作成していますし、その道の専門家が監修をしているケースも多いので、多少の脚色はあっても、あまりに的外れな展開や突飛な展開はあり得ません。

今日のドラマでは、(最後しか見ていないので、ちょっと違っていたらごめんなさい)『家族が面倒を見てもらえず、施設に置かれる老親』のようなシチュエーションのドラマでした。

もちろん、老親の面倒を見るといっても、「介護」が伴うと、途端に家族の負担は増えます。そのため、施設に預けることが一概に悪いとは言えません。

むしろ、経済的にタイミング的にも施設に老親を預けることができるのは今後ますます困難になるかもしれません。


遺言に条件をつけてはいけない


これからは、病院でも施設でもない、まさに自宅での老親の世話をしなければならないご家庭が増えてくると思われます。

「在宅医療(訪問診療)」を行う医療機関や、訪問事業者も増えてきましたから、寝たきりの老親を自宅で世話するサポートは、今後より充実してくるでしょう。

しかし、自宅で寝たきりの老親の面倒を見るとなったとき、お子様全員が平等に~とはなかなかいかないものです。そこで、お子様が複数ある場合には、どなたかに世話をしてもらう代わりに、財産を多く残してあげたいと遺言書を書くことが考えられます。

実際、市販の書籍のサンプル文章でも、『妻の面倒を見てくれることを条件に長男Aには自宅と預貯金○○万円(ほかの子より多く財産を残す)を相続させる』とい文面が見られます。

ここで、長男がしっかりと面倒を見てくれればいいですが、たとえば、長男が体調を崩して以降、老親の面倒を見れなくなった。思った以上に大変で、施設に入居させた、などとなった場合に、他の相続人から「約束が違う」などと言って、トラブルになるケースが考えられます。


どんな対策をとればいい?


重要なのは、「事情は変わる」ということです。

そのため、事情の変化に対応できる対策が必要になります。

1.子供ではなく、配偶者の相続分を多くする

市販の書籍では、「2次相続についても考えておく」(とくに相続税対策)として、先に子どもに多く相続させる対策が掲載されています。

これは、方法としては正しいのですが、事情の変化により、多く財産を受け取った相続人が条件を果たせなくなった場合どうでしょうか?

子供同士が揉め、疎遠になるくらいなら、いっそ、相続税のことは考えずに配偶者の相続分を多くしておきます。

2.生前契約の活用

1.と併せて「財産管理等委任契約」や「任意成年後見契約」などを行い、配偶者の世話は、配偶者の独自の財産で行ってもらう。

3.家族信託

銀行などが主に取り扱っています。ただし、思った以上に費用がかかる、専門的な知識が必要(任せっきりにしないという意味で)なため、場合によっては弁護士などの力を借りることにもなります。


さいごに


相続分の分け方において、「平等」に分けることは不可能です。

遺言書を書く場合には、「平等」よりも「公平」であることを考えなければいけません。ただし、この公平を実現させるために下手に「条件」を付けてしまうと、それがもとで相続人間でのトラブルの原因になりかねません。




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