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【表現評論】シンスメモリーズの感想6 全体を通して【ゲーム】

メモリーズオフシリーズとシンスメモリーズのネタバレが含まれます。

●メモリーズオフと共通した世界観
今までと同じ地名、同じ場所が出てくるので、世界観はわかりやすいですね。事故で身内がなくなる。幼馴染が二人。舞台は澄空。ちはやと彩花はちょっと似てる。唯笑と陽詩は全く共通点がないですが、原点回帰っぽさはあります。

●大学設定とか
設定が大学生だったのは、あまり意味はなかったですね。仕事や政治の話が多かったので、本当は社会人にしたかったのかもしれない。流石に商売考えると無理なんでしょう。ダメ親父の嵐という、シリーズの伝統もしっかり? 押さえています。当然母親はいつも空気です。結構薄味の作品でしたが、元々薄味が売りなので、これでいいんじゃないでしょうか。

●初見と最終評価のギャップ
最初始めた時はなんか棒読みだし立ち絵おかしいしこれあかんやろ、歴代でも下の方かと思いました。全然そんなことはなかったですね。家庭用恋愛ADVはこれでいいんだという作品です。最終的にはトップ3に入る作品でした。トップではないかな。やっぱりゆびきりが完璧。ゆびきり、それから、星天の三つがシリーズ上位作品ということで。イノサンフィーユはあれ想定科学シリーズなんで。ボールペンでナイフと格闘したり、多重人格だったり、登場人物がこの世から退場したり、そんなのやっぱりおかしいよ。

●令和最新版の主人公
リーダーシップを取って積極的に何かをするというキャラではなく、その場の状況に合わせて周りを動かしたり、利害を調整して対応していくということで、令和最新版の主人公でした。

●各キャラクターの感想
ちはやは決めきれない病が過去のトラウマとリンクしており、おまけに主人公が言った何気ない一言に囚われて、性格が変わったという、趣深いキャラでした。吹っ切れてからの我儘お嬢様っぷりも、ギャップがあって良かったです。なんか知らんけど、とにかく主人公が好き。理由などない。出会ってからずっと好き、という徹底っぷりが、昨今にない懐かしさを感じさせました。お互いに自分の課題を乗り越えて結ばれるということで、非常に王道な感じでした。

陽詩はちはや、主人公とは異なり、愛憎半ばで、なんなら優柔不断で見たくないものに蓋をしようとする主人公を軽蔑すらしているキャラでした。決めきれない病のちはやにも内心ブチ切れまくっているという。憎が爆発して愛に転化する辺りが見どころですかね。昔から主人公のことが好きとか、ちはやに遠慮しているとかいう感じでもなく、どこか変わった造形のキャラでした。毒舌だし。でも内心頼りにしてるのが憎めなかったですね。すぐ謝れる人だし。これもお互いの課題を乗り越えて結ばれるという王道でした。欠点を挙げると、メガネがないとモブキャラな点です。

英は謎解きキャラでした。造形的にあまり語るところは感じられなかったです。謎はあんまり大したことないですが、大したことあるとイノサンフィーユになるので、これで良かったと思います。木戸は小物すぎたけど、大物すぎると問題なので。星空の部屋を見つけた時に高揚感は、作品の中でもピカイチでしたね。

春玉はパーフェクトウーマンでした。キスして家訓に従って結婚しようとするという、30年前にありそうなレトロ展開です。一番イチャついてるルートでした。最初から考えると、一番一緒に行動してたキャラなんじゃないかという気がします。単純に多くの時間を過ごして惹かれ合うというのは、現実っぽいですね。特に課題を持たないキャラなので、ストレスなく楽しめます。

優梨子はメンヘラでした。起伏が激しいので、展開が落ち着かないという意味で、ジェットコースターのようです。鷹也君を連呼しまくるという、古傷を抉ってくるキャラなので、主人公までヘラっていくという、ヘラの連鎖が始まっていました。他のルートで出てきても感じが悪いことが多いのはなぜ。歌が好きなら歌ってみたでいいんじゃないのか、と思わなくもない。一番問題なのは記憶違いで、元々隼也に惹かれていたというところです。それやったら兄を乗り越えていくシナリオが台無しでは? 全てを金と権力で解決なのもどうかと。

一橋さんはなんだったんですかね。なんか意味ありげなキャラでしたけど、特に何もありませんでした。全てのエンディングを通ったわけではないので、全部見れば何かあったのかもしれませんが、すでに満足してしまっています。本当に彼女だったの?

木戸は爽やかイケメンと見せかけた醜悪な権力主義者でした。第一発見者がそのまま犯人みたいな展開だったので、もうちょっと捻りは欲しかったですが、やっぱり捻りはいらないですね。そっちは想定科学ADVシリーズでやってもらうということで。

●BGM
全く言語化はできていませんが、イノサンフィーユのBGMは全然メモオフっぽさを感じませんでした。一方、今作は打って変わってメモオフでした。タイトルBGMは神。日常BGMもシリアスBGMも全て神でした。星天はBGMが神です。

●次は出るのか?
出るとしてもすごく先になりそうな気はしますね。星天が素晴らしかったので、次も期待したいと思います。

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