映画「Beyond Zero」-脱炭素を考える

米国で注目されている脱炭素推進企業の映画がある。タイトルは「BEYOND ZERO」。81分のこの映画は、カーペット業界の一企業Interface社の脱炭素推進の試練の日々を描き、多くの企業から賞賛されている。ちなみにInterface社が脱炭素の活動を始めたのは1994年である。映画鑑賞後、カーボンニュートラル推進の議論を参加者で行ったので、以下、要点を記す。

自社の環境負担を減らすトップの決意明示が重要
脱炭素推進活動においてまず行うべきことは、経営トップと経営陣の脱炭素へのコミットメントを得てこれを発信すること。トップのコミットメントがなければ、脱炭素の実行は不可能である。経営トップのコミットメントと取締役の合意、そして、そのメッセージの社内外への発信、これが最初のステップだ。

ロードマップの設定
90年代の後半から脱炭素推進を始めたInterface社の苦しみの一つは、ロードマップがなく手探りで活動を始めたこと。脱炭素推進に専門家を交えて実行計画を描ける点、今日はやりやすい。脱炭素の「ARM」つまり、AVOID「排出しない」、REDUCE「減らす」、MITIGATE「オフセットする」の組み合わせでアジェンダを築くことが必要だ。ロードマップなしに脱炭素推進メッセージだけを発しても意味はない。

脱炭素推進戦略の全社的徹底
脱炭素推進の経営コミットメントは全社で共有されなければならない。この点、プロジェクト推進チームの役割は最重要だ。現場の管理職と社員が一体となって脱炭素推進を踏まえた事業活動を行わなければ、ロードマップの実行は不可能である。

業界横断的な協働
脱炭素推進は地球規模のテーマである。競合関係にある同業他社も脱炭素推進の課題は同じだ。業界横断的に知恵を共有し上記のARM行動の知恵を出し合い、代替エネルギーの共同購入やロジの共同利用等の協調行動をとるメリットは大きいであろう。

企業活動は「財務資本」「人的資本」「自然資本」の三資本の最適活用によって行うものである。そのタイトルのとおり「BEYOND ZERO」に向けた早急な行動が急務だ。経営陣と推進を担うチームへの役割期待は大きい。

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