2目を安定させる

開設してから1年も放置してしまいました。すみません。
長文を書くとなると中々億劫になってしまいました。


この度、7月からヨークカルチャーセンター小杉店様にて新しく南部菱刺し講座が始まります。その講師を担当することになりました。

冬頃から水面下で準備をしてきました。
今も調布「南部菱刺しの会」で新しく入会した方に教えたり、先生から資料などをお借りして勉強中です。

そんな中で感じたことがありました。

普段、私が家で菱刺しをやっていると娘が興味を持ち、菱刺しをやりたいというので、今までに何度か教えながら一緒にやったりしています。
娘は今10歳。残念ながら手先は器用ではありません。(私には似なかった。泣)
6歳頃から年に1度くらいやってみたいという時に、教えながら一緒にやってみていますが、何度やっても難しいとイライラ、キーキー言って終了。仕上がらずに終わってしまいます。

何が難しいかって、2目を安定して刺すのが難しい。
1目になったり、3目になったり、一つ上の段を頼りにして刺すと、間違っているものですから、次の段も間違うわけです。

そして、これは大人でも起こります。
新しく入会された方にやり方を教えて「さあ!刺してみましょう!」となって
刺していただくと、やっぱり2目を安定して刺すのが難しいのです。
うちの娘が手が不器用だからではなかったのだな。と後から思ったのでした。


ある時、私が手に入れたこぎん刺しのモドコ集がありました。
娘はそれを見て、やってみたいというので、布と糸と針を渡しました。
やり方はもうなんとなく分かっているので自由にやってもらいました。

・・・・しばし静かな時間が過ぎます。

しばらくすると「出来た!」と言って得意顔。見るとちゃんと出来ています。
「こぎん刺しの方が簡単でいい!」とのこと。南部菱刺し完敗です。

こぎん刺しは奇数目で進みます。モドコを作るには1目ずつずらしていく。
この1目というのがとても分かりやすいのだと思いました。

南部菱刺しの古い文献があまり残っていないので何とも言えないのですが、
こぎん刺しに関しては古い文献がいくつか残っています。
界隈では有名な「奥民図集」には横長菱のこぎんの着物が描かれています。
最初はこぎんも横長の菱だったとか。

その昔、菱刺しのような模様が出始めた時に、
「それいいね。どうやるの?教えて。」と言ったような事が起こったと思います。
また、母から娘に、祖母から孫に教え伝えて行ったのでしょう。
その時も手先が器用な人ばかりではなかったはず。
あーもう!2目が難しい!と思った人もいたんじゃないかしら。
面倒だ!1目で進んでしまえ!と言って1目で刺した人もいたんじゃないかしらと
昔の女性達に思いを巡らせるとなんだか親近感が湧くなぁと思いました。
私の勝手な妄想ですけどね。

南部菱刺しもこぎん刺しも今は伝統工芸となっていますが、昔は農村の女性達が生活の中で工夫して段々出来上がって行ったもの。こうでなければいけない、というものではなく、すごく大らかなものだったのでは?と思います。
伝統も大切にしつつ、新しいものを生み出すことにもチャレンジ出来ればと思います。

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