作品「遅い言葉」


遅い言葉            
 
 
詩は遅い言葉だと思う
読む人に届くまで
時間のかかる言葉
インターネット
テレビやラジオ
新聞、雑誌
そんな速いメディアに乗せても
詩の言葉は取り残されてしまう
だから
詩集は
遅さの価値を知る特別な本屋の棚に
ひっそりと眠っている
詩は
誰かの目に触れる時を待っている
そして
長い時間をかけて人々に読まれてゆく
すると
その人の心に
詩の言葉は
ぽたりぽたりと落ちてゆく
ゆっくり
じっくりと伝わってゆく
何よりも遅い言葉
どこまでも届く言葉
それが詩の言葉だと思う
 







『歩きながらはじまること』(七月堂)
『朝のはじまり』(BOOLORE)

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