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踊る言葉 詩を書くには 静かな時間がほしい 静けさに誘われるように …
生まれて初めて 四月 堤防へ上ると 黄色のおだやかな氾濫 河川敷に降りると …
光の作りかた(老詩人の話 其の一) 先月 出会った老詩人は 次のようなことを…
言の葉 大切な人が 言葉を拾っている姿を見かけたら 声をかけないで…
フタを開ける 二一世紀は、二〇世紀の残像に一つずつフタをしながら…
独り占め 家に帰ると 九歳の息子が とうちゃん四ツ葉のクローバ…
文字 土という文字を 眺めていると 怖くなる 上の部分「十」が 下の部分「一」に 突き立てられた 墓標に見えるからだ 土 土 土 土 土 土 土 土 土 土 土 土 土 土 土 土 こうやって たくさん並べてみると 墓地に見える 地面の下には いくつもの 死体が埋まっている そもそも 土は あらゆる生命の還る場所なので 無数の墓場でもあるのだ 実際に 墓標は見えないが 文字にすると それが現れる ひとつの文字が
つかの間のこと 森の風雨に耐えかねて 一枚の看板が すっかり茶色く錆び付…
木辻町再訪 古い町並みが残る ならまち 西のはずれ 木辻町 六年前の夏 暑さ…
ひぐらしのうた ひぐらし 鳴いて 山響き ひぐらし 鳴いて 空開く ひぐらし …
青い夢 古いビルの 青く埃っぽい螺旋階段 そこを駆け上がっている夢…
待つ 自分を 待つことが できるようになった 以前なら 未熟な自…
ロケット 発想を ぽーんと 飛ばしてみるといい と教えてくれた人がいた …
人 大学には何も期待せずに入った。文学部だったので本を読んでいれば、それでいいと思っていた。人付き合いは、最小限にしていた。淋しかったが、それでも独りの方がよかった。他人のことは、よく分からなかったし、興味も持てなかった。何より、自分のことが、分からなかった。 ゆいいつ、アルバイト先で他大学の学生と友人になった。お互いのアパートを行き来し、一晩中、出口のない話をしていた。ある日、僕は、安ワインをしこたま飲んで、次の朝、友人のアパー