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詩集『言の森』 全作品

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2012年刊行の詩集『言の森』収録の全作品です。上の作品から目次順となっています。
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記事一覧

作品「雨の日」

雨の日 雨がふる 雨がふる 今日はいちにち 雨がふる 何もできない 雨の日は 何もしない…

西尾勝彦
8か月前
7

作品「木の中に入る」

木の中に入る 木の中に 入ったことがある やむにやまれずのことだった 中は気圧が低いので…

西尾勝彦
8か月前
8

作品「襟」

襟 新緑の頃 林の中で 散歩屋さんを発見した ゆったりとした斜面に 腰を下ろし 自分を忘れ…

西尾勝彦
8か月前
4

作品「春のふくらみ」

春のふくらみ いかるの 鳴き声は おだやかで のびやかな 春のふくらみ 澄みきった くちぶ…

西尾勝彦
8か月前
4

作品「そぼく」

そぼく いつからか 素朴に 暮らしていきたいと 思うようになりました 飾らず あるがまま…

西尾勝彦
8か月前
13

作品「言の森」

言の森 言の葉が くちびるや ゆびさきから 一枚いちまい 現れる その 小さな 言の葉は …

西尾勝彦
8か月前
12

作品「ボンヤリ」

ボンヤリ            歳をとるのも悪くない 三十六になって ようやく珈琲が飲めるようになった 喫茶店で独りボンヤリすることも覚えた 奈良、京都、大阪 そして東京に それぞれいい店を見つけた 歩き疲れてちょっと休憩 一杯の珈琲で 質の高い ボンヤリを得る それは 店の雰囲気と 珈琲の風味に 支えられ つくられている 店は少し狭いぐらいが良いし 珈琲は渋いめが好みだ いちいちうるさい客だが たいてい 黙ってボンヤリしている

作品「水田で目玉焼きを食べる」

水田で目玉焼きを食べる 京都の東 白川通りの喫茶店 中は店主の 数十年にわたる放任主義に…

西尾勝彦
8か月前
8

作品「進化」

進化 のんびりしている人は だいたい 上を向いている 流れてゆく雲を 眺めたりしている あ…

西尾勝彦
8か月前
5

作品「粥彦の句」

粥彦の句 夏亀や丘に登りて待ち伏せす 『言の森』(BOOKLO…

西尾勝彦
8か月前
2

作品「返事」

返事 シトシト社から メールが届いた  西尾粥彦様。こんにちは。  Webチームの柏木…

西尾勝彦
8か月前
8

作品「R君からの伝言」

R君からの伝言         三年前 R君から葉書をもらった 正確に書き写しておく …

西尾勝彦
8か月前
5

作品「ひきだし」

ひきだし  彼の職場の机のひきだしには、拳銃が一丁かくされている。かくされているとい…

西尾勝彦
8か月前
7

作品「意味論」

意味論 「意味に意味なんてないよ」 以前 誰かに言われた 言葉の意味なんて すべて 後付けされたもの それよりも 新たな意味を 生み出す行為をなせ 意味づけされないうちに 迅速に動け 意味から逃れる意味は きっと あるはずだ 『言の森』(BOOKLORE) 『歩きながらはじまること』(七月堂)