YOASOBIのアイドルへの批判に「ちがうそうじゃない」と言いたくなってしまったんだ

私はYOASOBIのアイドルを非常に良くできたアニソンだと思っている。

が、SNSを見ていると、ちょいちょい「アイドル」微妙、、という意見を見かける。
それに対しておぬしらも信者になれと言いたいわけではない。
だが、その批判意見が的を射ているように見えて、根本的に射る的を間違えているので、
つい、「ちがうそうじゃない」と書かずにはいられなくなってしまった。

批判内容は大まかに以下のようなものが多い。
①変調が多くて嫌だ
②声を意図的に幼児的な方に寄せている感じがして嫌だ
③ラップパートが棒読みで嫌だ
④英語verの英訳がダサくて嫌だ

確かにミクロ視点で見るとあながち間違っていない気もするが、
そのような批判をする人が求めているのは曲の立体性だったり、ラップパートの洋楽に近いスタイリッシュさだったりするようである。
ただ、マクロ視点でこの曲はアニソンでアニソンというものはあえて打ち込みで平坦に音を作るものなのである。
これに関して、私は食品売り場であえてチープな曲を流すと購入ハードルが下がって商品を買いやすくなる狙いと同じような意図があると考えている。
もう少し言うと、アニソンというのは本編が始まる前の「らっしゃい!らっしゃい!」という呼び込みなわけで、耳に残るキャッチーさの方が音楽性よりもそもそも優先されているのである。
アニメ本編の前にリッチすぎるハイカロリーなものは置かない方がいい。そんなことをしたら、アニメを見るために気合を入れなきゃいけなくなってしまう。

ここで、「だとしたら洋楽のほうが優れているではないか!」という意見もあるかもしれないが、そもそもそういった優劣で捉えるべきではない。
この前ドラッグストアに買い物に行ったとき店内で「アイドル」が流れていた。なぜか妙に店内の雰囲気に合うなと感じたがこれは販促音源と曲の性質が似ているからだと気付いた。そういえばヤマダ電機の「ヤマーダマダマダ安いのかい!ヤマダの安さはハンパしゃない!」の曲にもなんとなく似ているなと個人的には感じている。
そしてそのような曲を作れるのは素晴らしいのだ。CMソングの王キダタロー的な良さ、つまりは有用性といった機能美を持った曲にもその良さがあるのである。

だから、YOASOBIのアイドルと洋楽的なリッチな曲を比較するのは、ジャニーズ的な中性的なイケメンとEXILE的なワイルドイケメンのどちらがカッコいいか議論するぐらい無意味なことなのである。(話はそれるがこれからはジャニーズで例えができなくなるのだろうか、、ああめんどくさい)

で、ここまで書いた後で、上で挙げたよく批判がある4項目について見ていこう。
①変調が多くて嫌だ
 平面的な打ち込みで曲に奥行きを出そうとするならば、変調を入れていくしかない。
 また、部分的に歌い方を変えるのもそれはそれで違和感が出てくるだろう。
 だから歌い方は一本調子で、メロディに変調を入れるのが最適解である。
(というより、あの譜面を歌い切る時点で相当凄い。)

②声を意図的に幼児的な方に寄せている感じがして嫌だ
 これもアニソンに寄せているからである。アニメ主題歌になって大衆に聞かれると流行るので、それに寄せて曲を作るのは必然。

③ラップパートが棒読みで嫌だ
 ラップパートの歌い方の前にアニソンとしての歌い方を優先することになるのでこれも仕方ない。

④英語verの英訳がダサくて嫌だ
 色々もっと良い翻訳はあるかもしれないが、むしろ変な訳し方があった方がミーム化される可能性があっておいしい。
 というより、日本のアニソンにそんな本格的な音楽性など海外の人も求めていない。ちゃんとしたものを出さなきゃいけないと思うのは日本の職人の悪い癖で、雑に、たくさん海外に発信していった方がいいのだ。
 加えて、海外のオタクがかわいい声で脳が溶ける状態になるのが素晴らしいのであって、これには平面的な打ち込みとキーから外れないまっすぐな歌い方が適している。あくまでもリアルに寄せるな、なのである。


というところで、YOASOBIのアイドルは日本のアニソンとして素晴らしく、これからもガラパゴス的な進化をさせるべきである。
また、下手に海外のエッセンスを取り入れて二番煎じになるのもよろしくない。と、個人的には言いたい。

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