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芸術とAI

先日、Meta社からInstagramや Facebookに投稿された写真を使ってAI学習をさせているという発表がありました。
それに伴い、Instagramでフォローしていた海外アーティスト達が次々と「Cara」というAIイラストの投稿を禁止しているSNSへと移動していきました。

私は本業がエッセイ漫画ということもあり、インスタからの撤退はまだ考えていないものの、好きなアーティストを追いかけるためにアカウントをつくりました。
今のところカラースケッチ、ジェスチャードローイング、フィルムスタディーなど練習絵やファンアートを中心に投稿していこうと思っています。

Caraは日本語に対応していないので、中学英語レベルの私はアプリではなくブラウザからログインして日本語翻訳を使いつつ操作しています。
インスタ同様、サムネイルで作品一覧を見れるのでポートフォリオとして扱っていきたいです。

黒いインスタって感じ

子どももAIを使う時代

SNSではAIが危険視されていますが、全てが悪い訳ではなく、むしろ生活を豊かにしてくれると思っています。

ChatGPTはチャットでさまざまな悩みに応えてくれ、和訳や英訳、ビジネス文書の見直し、キャッチコピーのアイディア出しなど、私もよく利用しています。

アレクサには手が離せないときに単語検索や音楽再生を頼んだり、他のアプリと連携して買い物情報や本日のスケジュールを音声で確認してもらったり。ときには息子の話し相手やゲームの相手になってくれたりもします。

AIは面倒な事務作業などを代わりに担ってくれ、私たちは余った時間を他の有意義なことに使えるようになりました。効率化です。

最近SNSでは小学生の子ども達にAIを教えるという「AIアートスクール」なるものが話題になりました。
実は、わが家にも「AIアートでトートバッグなどのオリジナルグッズを作ってみよう」という子ども向けのイベントのチラシがポスティングされていたことがありました。
(オリジナルとは…?)

AIが子ども達の生活にも身近なものになりつつあるのだとひしひしと感じています。


芸術分野でのAIの危険性

AIイラストとは、既存の画像やイラストのデータを素材にAI学習をさせ、出力したイラストのことです。
イラストレーター業界では自身のイラストがAI学習に無断で素材として利用されていることが問題視されています。

著作権法第30条の4に基づき、著作権者の許諾なしで著作物を利用できることになっています。しかし、AIの技術進歩はめざましく、現在の著作権法は改善の余地があるのではないかと言われています。

私は、AIイラストを毛嫌いしているという訳ではないのですが、AIイラストと人間が描いたイラストを同じ土俵に上げることには違和感を覚えます。AIイラストは「描く」のではなく「出力」しているからです。

絵を作り出す上で描き手が養う必要のある知識や技術、感性、観察眼があると私は思っています。例えば、人体の構造やパース、配色やライティング、視線誘導を意識した構図や物体を立体的に捉えるための手法など、数を上げればキリがありません。

AIで誰でも上手なイラストが出力できるというのは、絵の練習や勉強などの努力なしで、機能が使えれば一定のレベルまで飛び級でき、とても魅力なものだと思います。
しかし、作り手がそう言った絵に対しての自己研鑽をせず、能力が伴わないままだと、絵の違和感、ノイズに気づかないまま発表してしまうのではないでしょうか。

だからこそ、AIイラストを「出力する」のではなく、どんなに下手でもまずはイラストを「描くこと」を通して学ぶ楽しさに気づいて欲しいなと思います。
その人の成長過程こそがアートだと考えれば、伸びしろがあればあるほど人を感動させられるのではないでしょうか。私はそう思いながら、練習をしています。


子ども達に学んでほしいこと

これからAIは子ども達にとってどんどん身近なものになるでしょう。恐らく学校の授業でも扱われるようになってくるのではないでしょうか。私が懸念しているのは、学校教育は準備が整ってないにも関わらず「とりあえず新しいものは入れておこう」と安易な導入をしてしまうのではないかということです。

デジタル教育では、AIなどの最新の技術よりも、著作権や犯罪に巻き込まれないための正しい情報リテラシーを教えることこそに意味があると思っています。

絵や音楽などの芸術の分野を「効率」という言葉で価値を決めず、作り手の人間味を味わうものだと子ども達は気づいているでしょうか。

「効率の良さ」で物事を測るのであれば、みんなアナログ絵ではなくデジタル絵を描いているでしょうし、そもそも絵を描かずとも一発で撮れる写真が生き残っていることでしょう。画材やペイントソフト、カメラという「機能」を使って、人間のオリジナル性を表現しているのです。
作者の意図やストーリーがあるから、アナログやデジタルの手描きの絵、写真が今日もちゃんと存在してあることの意味をわかってもらいたいです。

ぜひ子ども達には、情報と美術、音楽など分野を問わず横断的に考えてもらいたい、芸術分野の魅力も知った上でAIに触れてほしいです。

とても便利なAIが人間の敵にならないことを切に願っています。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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