TENGAの広報になろうと思った理由
はじめまして。
株式会社TENGAという会社で広報宣伝の仕事をしている、西野芙美と申します。
TENGAというのは、言わずと知れた赤い瓢箪型のマスターベーションツールです。現在世界42ヶ国で売っていて、全商品累計5500万個以上を出荷してます。
irohaという、女性向けの電動アイテムもありますよ~。
アダルトグッズのメーカーで働いていると、世の中の人がどんなふうに性を取り扱い、楽しんだり苦しんだりしているのか、ほんの少し見えることがあります。
するとエロスやジェンダーや、諸々のことを考える機会が必然的に増えていくわけです。
元々は人文系の学問を修めて、人文系の本に強い出版社に勤めていたこともあり、性と人との関わり方を、理論と実践で自分なりに考えていくことが、これまでよりも楽しくなってきました。
ということで、noteでは、感じたことやら考えたことやら、ゆるく書いていこうと思います。
さて、初回の投稿なので、まずはよく聞かれる「なんでTENGAに入社したの?」ということを書きます。
会社のブログにも書いたのですが、ざっくり言うと「TENGAの考え方に共感した」という超単純な理由です。
TENGAの掲げてるテーマってご存知ですか? 実は、「性を表通りに、誰もが楽しめるものに」なんです。
この「表通りに」というところが重要で、というのも、「性的なことは恥ずかしいこと、隠しておくべきもの」という一般的な価値規範で生きてると、生きづらいことのほうが多くね? と、わたしは常々思っているからです。
わたしは「性的なことは恥ずかしいこと」という意識が薄いまま、これまで生きてきました。
まあ、性にまつわる価値規範というのは時代性や文化的なコードの影響を多々受けるので、そもそも「性的なことは恥ずかしいこと」という認識は決してアプリオリなものではないんですけどね。
そうやって生きていると、「こいつには性の悩みを言いやすい」と思ってもらえるのか、相談されることが多くありました。
たとえば、女性から「自分の欲求を彼氏に伝えたいが、伝えたら嫌われないだろうか」と打ち明けられたり。
彼女に振られたという愚痴を男性から聞かされ、何がいけなかったのかを精査していったら、「それって言葉のDVでは?」と思わず言ってしまうような問題行動が浮かび上がってきたり。
相談されたら、何か解決方法はないか一緒に考えるのですが、そのたびに思うことがありました。
「みんな、性について“こうあるべし”が多すぎじゃね……?」
女は貞淑であるべし、男はリードすべし、アダルトグッズは一部の好事家が使うものであるべし、性愛関係を結んだ相手は自分のものであるべし、女は持ち帰るのではなく持ち帰られるべし、そもそも持ち帰られるようなビッチは死すべし、等々。
自分の信条があること自体は素晴らしいのですが、“こうあるべし”に雁字搦めになって自分や相手を苦しめている人の、なんと多いことか。
そんなの、なんっっっっっにも楽しくないですよね。
ていうか、“こうあるべし”って、誰が決めたんでしょうか?
なぜ、それに従う必要があるんでしょうか?
繰り返しますが、自分の信条があること自体は素晴らしい。
でも、自分で考えないまま“こうあるべし”を持つというのは、論拠に乏しいですよね。
「なぜそう思うの?」「こうあるべしだからだ」という会話は、正直仕事でされたらお話になりませんよね。エビデンス示して解説して、話はそっからですよね。
性にまつわることだって、同じなはずです。
にも関わらずなぜ、建設的な考え方をして、自分や相手にとってよりよい道を探れないのか。
それは、「性的なことは恥ずかしいこと、隠しておくべきもの」という価値規範があるからだと、わたしは思います。
蓋をして自分だけのクローゼットに押し込めているから、問題が起こっても、誰も気づけない。自分の“こうあるべし”が他人に害をなすものであっても、そもそも害をなしていること自体に気づけない。
別に公衆の面前で下ネタを言うとか、性癖を露わにする必要なないんですが、せめて親密な仲同士でオープンに性の話をできる雰囲気があれば、性にまつわる問題も減るんじゃないのかな、と思っています。
そんなこんなで悶々としていた時に見つけたのが、TENGAの求人でした。
TENGAは、タブー視されてきたアダルトグッズをPOPなアイコンに変え、まさしくアンダーグラウンドな存在から「表通りに」引っ張り出しつつある企業です。
TENGAをきっかけに、性に関してカジュアルなコミュニケーションができるのではないか?
TENGAにはじめてふれた人は、驚きや好感や嫌悪や、さまざまな感情を持つはず。それによってその人の性に関する考え方が浮かび上がるという意味で、TENGAって優秀な媒体なんじゃないか?
であれば、TENGAを世に広めるためのお手伝いがしたいな。もっとオープンでフラットに性を語れる環境をつくりたいな。
ということを思って、TENGAの採用選考を受けたのでした。
とは言え、やっぱりまだまだ18禁商材って扱いが難しいですね。
できることを探りつつ、悩みつつ、よりよい広報宣伝ができるよう、精進している最中です。
……ですます口調疲れるので今度から断定口調で書きます。
こんなかんじで、エロス方面のことやら、腐女子なのでBLのことやらも書いていきたいと思ってますので、よろしくお願いします~。