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「バブルなのか?インフレなのか?それとも、まだこれからなのか?」

 「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
 アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
 そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。


「バブルなのか?インフレなのか?それとも、まだこれからなのか?」
 ほぼ毎日のルーティンと言ってもよいぐらいにデジマートやJGuitar.comを見ていますが、価格の上昇は止まっていないようですね。概ね落ち着いてきたように見えていたんですが、モノによってはまだまだという感じです。今まで「意外と上がってないな。」と思っていたモデルも、ここに来て上がり始めたかな?というのもあります。
 あともう一つ感じていることが、「タマが少ない。」ということです。人気のあるモデルはタマが少なく、選んで買うことが 難しくなってきました。出てきたものを買うしかないと言ってもよい状況になっています。価格が高いとしても、選ぶ対象がたくさんあれば納得するものに出会う確率が高くなります。選べない状況というのは購入する側からすれば辛いですね。

この価格でSoldになっていました。さすがは人気のあるJ-45、としか言いようがないですね。

 商品説明の中には、「過去にセンター割れ接着(パッチ打ち)、サウンドホール周りのピックガード付近の割れ接着(パッチ打ち)、バック割れ接着(パッチ打ち)、ブレーシング剥がれの接着、指板の凹み部分補修、ネックヒールのストラップピン跡埋め補修、ブリッジプレートの補強が見られます。」というのがありました。けっこうな修理歴です。コレクターズアイテムとは言えないですね。それでも売れてしまっています。

 「今買っておかないと・・・。この次と思っていたら、出てこないかもしれない。出てきたとしても、この次はいくらになっているかわからない。」そんな思い、恐怖感のようなものが購入に走らせているのかもしれません。もしかしたら、とんでもなく音が凄くて!という理由で売れてしまった可能性もないとは言えませんが。

この時はHoldでしたが、すでにSoldになっています。これもなかなかのリペア歴がありました。

 ざっくりとしたリペアの内容は下記のとおり
ピックガードと、ブリッジの交換。トップ、サイドバック、ネックのクラック補修。ブリッジプレートのダメージの補修を整備しています。
 トップは、ブリッジ上部のマーチンクラックの補修。ブリッジ下のクラック補修があり、トップは、塗装がオーバースプレーされていますので、写真より、自然なルックスです。オーバースプレーは、MARTINのファクトリー修理ということで、ナチュラルな仕上がりです。

 さすがは1968年製のD-45としか言いようがありません。これだけのリペアやパーツの交換があってもこの価格で売れてしまうのですから。勝手な想像ですが、おそらくほとんど弾かれることはなく(普通に使われるようなことはなく)大事に保管されて行くのだろうなと・・・。

 個人個人の懐事情によって変わってくるので具体的な数字で表すことは出来ませんが、あまりに価格が高くなってしまうと「使うギター(弾いて楽しむ)というよりは、所有することに喜びを感じるモノになってしまうのではないか?」そんな懸念を抱いています。おそらくそうなってしまうでしょう。可能な限りきれいなままの状態を保存しておく、それが将来価値を上げることになる。それはギターを弾く人(使う人)にとっても、ギター自身にとっても不幸なことではないのかな?
 過去に所有していたことがある、今となっては高額になってしまったギターたち。もし今も持っていたら、昔と同じような感覚で使えただろうか?
 同じように使っていたと思う。そう言いきれる自信がない今の私です。

Martin D-41 1972、この時期トップは通常ジャーマンですが、これは珍しくシトカです.

 1970年代初期のD-45(1974年までの、トップがジャーマンスプルースのモデル)も最近は見かけることが少なくなりました。もし販売されたとして、状態が良ければ400万円近い価格になるのではないでしょうか?モノによってはそれ以上の価格になる可能性もありそうです。それに比べるとD-41は人気があまりないようで、比較的リーズナブルな価格ではないかなと思っていました。トップがジャーマンのモデルが徐々に高くなってきたなと感じていたのですが、トップがシトカでこの価格はちょっと驚きました。状態が良くてサウンドも良さそうなので、これぐらいの価格になったのかもしれません。
 個人的にはD-45のサウンドよりもD-41のサウンドの方が好きなので評価(価格)が上がってくるのは喜ばしいことなのですが、使うギターとして見るならこれ以上高くなってほしくはないというのが本音です。

  人気の高いモデルで状態のよいものは、まだ価格が上がる可能性がありそうです。そもそも、状態の良いタマは元から少なく、待っていてもいつ出て来てくれるかわかりません。先になればなるほど、価格も高くなってしまうのでは?という懸念があります。本気で購入を考えている方にとっては悩ましい限りですが、決断するタイミングは難しそうです。

下記の2本は、自分の基準ではヴィンテージとは言えない年代のD-45です。

 どちらもMartin、D-45でカスタム、サイド・バックはハカランダです。その価格にビックリ!ですが、これが現実なのでしょう。(写真で見る限り、どちらもかなり良い材だと思います。弾いてみないと、それぞれの音はわかりませんが・・・。)
 価格もここまで来ると、もっと他の選択肢もあるのでは?そう考えてしまうのも無理のない事だと思うのですが、皆さんはどうでしょうか?
 同時にMartinというブランド、D-45=キングオブフラットトップというイメージ、ハカランダ=アコースティックギターにとって最高の材、そういったものが融合して創り上げられた価格だと推察しています。もし買ったとしても、おそらく損をする(将来値下がりする)ようなことはないでしょう。

 その反面、自分の中には疑問も生まれています。
 ・本当にその価格に見合うサウンドなのだろうか?
 ・Martinって、そんなに凄いんだろうか?(特に最近のMartin)
 ・D-45って音楽をする上でどう使うの?
 ・ハカランダにもいろいろあります。
 「楽器としての価値よりもそれ以外の付加価値」が、価格を決める要因になっているのは間違いないと考えています。自分としては不本意ですが、市場はそちら側の価値観で動いています。逆に言えば、楽器としての価値は高いけれど市場価格は安く設定されているものもあるということです。なかなか見つけるのは難しいですが、そういうギターを見つけることが自分の役割りだと、あらためて認識している今日この頃です。


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