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アコギ回顧録 Vol.45 「ピックアップ」「マイク」「おススメ動画」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

「ピックアップ」
 “ピックアップ”というものがどのようなものであるか、ギターを弾いている人には簡単にわかると思います。ギターを弾かない人にはわかりにくいかも知れませんが、アコースティックギター(エレキギターも同様です)の音を電気的に増幅してアンプやPA(ライブハウスなどの音響機材)から音を出せるようにするものです。これにはいろんなメーカーからさまざまなタイプが出ていますが、本当の生音を(電気的に)増幅して再現するのは非常に難しいようです。

 先日久々にギターのリペアーをやっている友人に連絡を取ったところ、新しいピックアップを開発して商品化したとのことでした。彼は大阪にある音楽の専門学校でエレキギターの電気回路のことなどを教えていることもあり、以前から非売品の形でピックアップを造っていました。何人かのプロミュージシャンが使用しています。
 一人で手作りで造っていますので、量産はできませんが「ぼちぼちと売っていこうと思ってる。」とのことでした。ぜひ音を聴いてみてほしいというので、近いうちに彼の工房へ行こうと思っています。このピックアップのレポートはいずれまた報告します。
(この部分は10数年前の日記から抜粋したものですが、彼は今も元気でピックアップを製作しています。興味のある方は下記URLをご覧ください。ギターやアンプのリペア、音響工事の相談等もOKです。)
2nd factor(セカンドファクター):http://2ndfactor.jp/

 思えばアコギ用のピックアップも増えましたね。けれどアマチュアのプレイヤーがそれぞれを比べたりすることはなかなか難しいでしょうね。種類が少なく選択の余地がなかった頃が懐かしいです。あの頃は音質のことは二の次で、とりあえずアンプやPAから音が出せれば良いという感じでしたから・・・。それはそれでよかったのかも?

 今回はギター以外の話ばかりなので、ちょこっとギターの写真をはさんでおこうと思います。自分としては珍しいMorrisのギターです。

Mprris TF Custom 2001年製

 ピックアップを使うことでの一番大きな生音との違いは、レンジが狭くなることと音質が変わることでしょう。問題はプレイヤーそれぞれがどの程度まで許容できるか?という点に尽きるかもしれません。ただ、リバーブなどのエフェクターを使ってしまうとギター本体の音の差やそれぞれのピックアップの特徴もわかりにくくなってしまいます。逆に言うとリバーブやコーラスを使うことで少々ギターの音質が悪くても、ピックアップを通して出てきた音に不満があってもごまかせる可能性がありますが・・・。良くないことかもしれませんが、あまりお金をかける余裕がない方とかアマチュアならそれぐらいで十分かも?と思います。
 
 ピックアップに関してなんとなく好き勝手なことを書いてきましたが、えらそうに言えるほど詳しいのか?と聞かれると「ごめんなさい。」と言わざるを得ません。人にとやかく言えるほど詳しくはありません。ちなみに自分のギターに取り付けているピックアップは“M-Factory”です。(デュアルではなくピエゾだけの仕様です。)
M-Factoryのウェブサイト:https://shop.mfac-guitar.com/

M-FactoryのFacebookページ:https://www.facebook.com/M-factory-439029959529485/


 もうひとつ言わせていただくと、今現在のピックアップから出る音にも少し不満を持っています。音を聴くたびに、「やはり生音とは違う。」と思ってしまいます。あと最近よく思うことですが、タッチの微妙なニュアンスがピックアップでは出せないのではないか?ということです。逆に言うと、ええ加減に弾いてもそれなりに音は出てしまうということですね。生で弾いていると「全く鳴ってないな、このギター」と思っていても、ピックアップを通すと、ちゃんと反応して音が出ていることが多々あります。

 ピックアップに対する不満ばかりを書いているようですが、良い面がない訳ではありません。唄ものの場合ですとピックアップを使うことで、演奏者がマイクの位置を気にしなくてもよくなります。(その分唄うことに集中することができます。)マイクでギターの音を録る場合、マイクの位置は固定されています。ですので、演奏者が動けば動くほど収音が不安定になります。その点ピックアップの場合は、安定してギターサウンドを収音することができます。またフィンガーピッキング等ではエフェクターを使用して特殊な効果を出せたり、生音にはない世界観を作り上げることができます。うまく使えば、楽曲の世界が広がるのは間違いないと思います。

 自分も含めてあれもこれも試すことは難しく、またお金もかかります。音響設備によっても音質は大きく変わってしまいます。結局のところ前にも書いたとおり“どこまで許容できるか?”ということが選ぶ基準になってしまうのかもしれません。うまく使い分ければ、良い武器になるのではないでしょうか?

「マイク」
 ピックアップの話の続きになりますが生音にこだわるならピックアップではなく、もっとマイクに凝る(というかお金をかける)プレイヤーがいてもよいのではと思うことがよくあります。シンガーでマイマイクを持っている人はたくさん見かけますが、ギタリストでマイマイクを持っている人はほとんど見たことがありません。

 何年か前に知り合いのアマチュアギタリストがマイマイクを持ってライブをしていました。彼は非常にギターの生音にこだわっていましたし、当時すでにGreven,Somogyi等を使ってライブをしていました。もう30年以上前のことです。当時独身だった彼も今では二人のお子さんを持つお父さんになりました。さすがに最近はコロナウイルス騒動の影響もありライブをすることはないようですが、時々動画を撮ってYouTubeやSNSでアップしているようです。

 生音をマイクでひらう(集音する)ことは、音響さんにとってもものすごく難しい作業になると思います。またプレイヤーにとってもマイクの位置を気にしながらの演奏になるのでそれなりにリスクはありますが、ぜひやってほしいと思っています。
 別の観点から言うと、音響さんも演奏者もピックアップの方が楽!ということがあります。ピックアップの音を総合的にに見れば“音が良い!”ということより、「双方が楽になるから。」ということで使っておられる方の方が多いのではないでしょうか?

「おススメ動画」
 ネット上にアップされている動画等で生音の響きを伝えるのは、非常に難しいと思っています。(特にライブ動画では余計に難しいかなと)なので、ほとんど参考になるような動画は無いのですが、最近自分が関わったライブで「これは、なかなかええんじゃない!」と思った動画がありますので紹介させていただきます。
 演奏者は伊藤賢一さんと浜田隆史さん、アコースティックギターのインストゥルメンタルのライブ動画です。京都は伏見稲荷にあるスタジオ(Inari Studio)から、2022年6月14日に配信されたものです。配信後まだ半月ほどしか経っていませんが、今日現在(2022年7月1日)、再生回数は3,400回を超えています。(この数字は驚異的です。今まで何度もライブ配信のお手伝いをしてきましたが、はっきり桁が違うという感じです。)なぜこれほどまでに再生回数が伸びているのかわかりませんが、画質も音も非常に良いというのが一つの理由かもしれません。アコースティックギターの生音感がメッチャよく出ていますアコギファンの方々に、是非とも聴いていただきたいサウンドです。
動画のURL:https://www.youtube.com/watch?v=pGhAWQ58wYs
 
伊藤賢一さんのウェブサイト:https://kenichi-ito.com/
浜田隆史さんのウェブサイト:https://otarunay.at-ninja.jp/
Inari Studioのウェブサイト:https://inarist.com/?fbclid=IwAR2XzMOffRwfIAAp8eGE2rEPL5yOgEc-7ETpbO8OsRgy9Xv5_MszCPC2wac


最期に、珍しいギターの写真が出てきたので載せておきます。

Gallagher G-72 Customです。


 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
宛先 e-mail:mail@acogian.com または twitter(@acogibucho)にお願いします。

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