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アコギ回顧録NEW ③「何のためのアコースティックなのか?」 「アコギツッコミ隊 」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

「何のためのアコースティックなのか?」
 あくまでも個人の主観、考え方ですので、これが正しいと言っているのではありません。そのことを踏まえて、このような見方もあるんだなという感じで読んでいただければと思います。

 現代のアコースティックギターのサウンドは、大きく分けて2種類に分けることができると思っています。生音とラインの音(ピックアップを使って出力する音)です。これも個人的な感想ですが、「ラインの音は電気の音」というイメージを持っています。これに対して、生音は「木の音」という感じです。 賛否両論あると思いますが、一般的なマイクを使用した時の音は生音のカテゴリーに入れようと思います。マイクを使って出した音を生音と呼べるのか?という疑問もあると思いますし、ほとんどの場合リバーブをかけていると考えられます。リバーブの“ある・なし”でも意見が分かれる可能性があります。そのあたりはあまりがんじがらめに考えなくてもよいのでは?と思っています。

 ラインで出力する音にもいろんな種類があります。ピエゾ、マグネット、コンデンサなどです。それぞれにさまざまなメーカーがあり、特徴があります。いずれにしてもこのようなピックアップを使って出力された音は、どうしても生音に比べるとレンジが狭くなり生音とは違う音になります。ただ、確実に一つ一つの音を満遍なく聴いている方に届けるという点では、間違いなく生音やマイクよりずっと確実です。そういう特徴がフィンガーピッキングの世界で、ラインの方が圧倒的に支持されている理由なのでしょう。
 あと、ピックアップの功罪と言ってもよいと思っているのですが、本当に音が良いと思って使っている人は少ないのではないでしょうか?ピックアップを使う一番大きな理由は、たぶん「楽だから。」でしょう。演奏スタイルにかかわらず、サウンドをコントロールしやすいからだと思います。マイクのように位置を気にしなくてもよいし、演奏者自身が動き回っても大丈夫です。この「楽だから。」と言う理由は、音響のオペレーターにも当てはまります。その楽さ、使い勝手の良さが音質を犠牲にしても良いほどメリットがあるという判断をしているのでしょう。もちろんその反対に曲の世界観を創るための一つの手段として(より効果的に曲の雰囲気を出すために)、きちん考えて使っている方もおられます。

 純粋な生音の場合は、会場の(演奏する空間)大きさに限界があります。(音の遠達生を考えると、会場の大きさは限られてきます。)マイクやラインで音を出す場合でも天井の高さ、内壁の材料などによって大きくサウンドが変化します。お客様の入り具合と服装によっても、大きくサウンドが変化します。マイク(PA)を使えば、ある程度大きな会場であってもそのサウンドを伝えることが可能になります。
 演奏する音楽のジャンルによっても変わってきますが、どのようなサウンドで自分の音楽を届けて行くのか?「何のためのアコースティックなのか?」あらゆる条件を考慮して、曲ごとに最適なサウンドを作り上げていくことをしっかりと考えていただきたいなと思います。

 自分で書いていても、まとまりのない文章になってしまったと思います。すみません。


「アコギツッコミ隊 」(時々このタイトルで、ツッコミネタを書いて行く予定です。)

 少し前のデジマートより。ほぼ同年代のGuildとMorris。この価格にはちょっとびっくりです。

 1974年にGuildのD-55SBを購入したことがあるのですが、その当時の定価が305,000円でした。写真のGuildは1978年製なので、この頃には少しは値上がりしているかもしれません。一方このMorrisは当時の定価が150,000円。2倍以上の価格差です。それが今はこの価格❗️ちょっと信じられない気持ちですが、これが現実なんですね。まさにハカランダの幻想という感じです。当時もこんな価格だったら、一も二もなくGuildを買っていたと思います。
 以前にも書いたと思いますが、当時の日本のアコースティックギターは、設計がまだまだ未熟であったという覚えがあります。良い材を使っていても、きちんとその良さを活かせているものはほとんどありませんでした。S.YAIRIやMorrisのカスタムモデル(最上級機種より高価なモデル。もちろんどちらもサイド・バックはハカランダ単板のD-45モデル)を所有していましたが、1970年代のMartinやGuildの鳴りには及びませんでした。もちろん個体差もありますし全ての個体を弾き比べたわけではありませんので、100%そうだとは言い切れませんが。ほぼ間違いないと思います。

 売る側からの観点で考えればハカランダというだけで付加価値が上がってしまうので、これを利用しない手はないでしょう。「ハカランダ=音が良い」というイメージが出来上がってしまっているので、この価格でも売れるという判断をしていると思います。今後もこういった価格設定は増えていくと思いますが、購入を考えている方々にはあらためて「弾いて、音を比べて、もう一度じっくり考えてみましょう。」と言いたいです。

もう一つ、ツッコミネタを書いておきます。モノはこれです。 

Jumbo J-85S サイド・バックはハカランダ単板

 Jumbo J-85S ジャパンヴィンテージと言われるカテゴリーに入るギターです。サイド・バックがハカランダの単板,製造は田原楽器。当時の最上級機種でDのSタイプです。レアということもあるのだと思いますが、さすがにこの価格はちょっと引いてしまいます。Dタイプの同じモデルが今年の春頃で14〜15万円ぐらいだったと記憶しています。
 型番からすると、おそらく当時の定価は85,000円。これも間違いなく、最近のハカランダのイメージから生まれた幻想ではないでしょうか?まぁ売れてしまえは、それが相場の価格になってしまうんですが・・・。

 「ハカランダ=音が良い → だから高い」というのを、すべて否定している訳ではありません。少し行き過ぎではないのかな?と思い、今一度考えてみようという気持ちです。逆に「やっぱりハカランダはすごい音やな!」とか「やっぱりハカランダでないと、この音は出ないだろうな。」と思ったこともたくさんありました。(というか、ほとんどがそうです。)
 次回は自分の経験をもとに、「やっぱりハカランダはスゴイ!」と感じた経験を書いて行こうと思っています。

おまけです。

過去に所有したことがあります。この3分の1以下の価格でした。

 最近Santa Cruzのギターが高騰中らしいです。(全体に値上がりしています。その中でも“特に”という感じです。)少し前までは100万円を切る価格だったと記憶しています。「いきなりすごい値上がりやな。」とも思いましたが、アメリカの相場からすれば全然普通ですね。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
宛先 e-mail:mail@acogian.com または twitter(@acogibucho)にお願いします。

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