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アコギ回顧録 Vol.46 「次は何処へ向かうのか?」「朝の雨」「ハカランダ」「D-18 Authentic」「エコロジー」

 ギターを道具(弾くもの、使うもの)として捉え、プレイヤーの視点から見た良いギターとはどのようなものか?その答えを追い求めて50年余り。所有したギター本数も3桁に届くぐらい?!
 その答えと言えるかどうかわかりませんが、過去~現在を振り返って自分なりの考え方をまとめてみようと思いました。アコギ好きの方、興味のある方にとって、少しでもお役に立つことができれば幸いです。

「次は何処へ向かうのか?」
 久々の投稿です。サボっていた訳ではありませんが、いろいろ考えるところがあり投稿を控えていました。アコギ回顧録を書き始めて1年余り、あと少しで終了というところまで来ています。終了後のネタがある訳ではありません。なので、次は何をすれば良いのか?あれこれ考えています。
 アコギ回顧録は、もともとはmixiで 日記のような形で気ままに書き綴っていたものです。読んでいただくことを想定して,きちんと起承転結を考えて書いたものではありません。17〜18年の歳月を経て、あらためて一から書き直していると言っても良いぐらいです。
 ですので、加筆・修正に毎回相当な時間を費やしています。時には後回しにしたり、飛ばしてしまったりすることもあります。そんなこんなで、今までnoteに投稿しなかった雑文をまとめてみました。

「朝の雨」
 今、この年齢(67歳です。)になって、あらためて“心にしみる唄”です。
 坂庭省悟さんと城田じゅんじさんのライブで、いつも最後に唄っておられた曲です。若い時から「ええ唄やなぁ!」と思ってはいましたが、歳を重ねるごとに心に沁みる度合いがどんどん増してきました。初老の男性の人生の悲哀が感じられる歌詞です。日本語の訳詞が秀逸で(個人の感想です。)、原曲以上に良いのでは?と思ってしまいます。ちなみに日本語の訳詞をされたのは、高石ともやさんだということです。
 
 この訳詞はもとの歌詞をほとんど変えずに訳されているということを、以前プー横丁のオーナーに教えてもらったことがありました。好きな歌なので英語でも歌ってみたいなと思っていたので、ネットで歌詞を調べてみました。「朝の雨」もともとのタイトルは「Early morning rain」、かっこええ!

 ふと見つけたブログの中にもこの歌のことが書かれていました。

In the early morning rain with a dollar in my hand 
With an aching in my heart and a pocket full of sand 
I'm a long way from home and I miss my loved one so 
In the early morning rain with no place to go 
朝の雨の中、わずかな金だけを持って、
心には痛みが、ポケットいっぱいの砂、
故郷を遠く離れて、愛する人を失い、
朝の雨の中 行くあてを知らない・・・

 1番の歌詞です。この歌はホンマにこの年齢になって初めて、ちゃんと歌うことができる歌やなという感じがします。PPM(ピーター・ポール&マリー)や、有名どころではプレスリーまでこの曲をカバーしています。
 
You tubeの動画をいくつか紹介しておきます。
https://www.youtube.com/watch?v=o9h7LVA3Nmo
https://www.youtube.com/watch?v=QrqWXzHao-M

坂庭省悟さんのDー28 1951年製



 

 以下の文章は、かなり以前に書いたものです。今現在のギターの価格と差がありますが、ギター全部がインフレ傾向にある昨今、共感していただける方も多いのではないかと・・・。

「ハカランダ」
 ここ最近とんとアコギの本などを読まなかったのですが、久々に何冊かぱらぱらっと読んでみました。(買うだけは買っておいて、読んでないパターンが多いです。)一番驚いたのはハカランダに関することですが、マーチン社のD-28 Authenticというモデルの価格でした。(日本ではまだ発売されていないと思います。)1937年のD-28のコピーモデルらしいのですが、カタログ上の価格が$39,999となっていました。スタンダードのD-45のカタログ上の価格が$9,299ですからその価格のすごさがわかると思います。(ざっと4.3倍。D-45の日本での定価は¥1,207,500)

 ワシントン条約が施行されてから輸出入禁止、伐採禁止と最も厳しい制約を受けていたハカランダですが、これほど価格を上げてくるとは思いませんでした。1990年代の後半あたりから徐々にハカランダ物の価格が上ってはいましたし、オールドギターは絶対増えることはないのである程度の予想はしていました。そんな中でマーチン社の値上げだけが群を抜いて大きく、それがオールドギターや他のハカランダ物のギター、しいては国産のハカランダ物まで影響を与えて行ったのだと思います。

 もはやプレイヤーにとっては馬鹿げた値段としか言いようがありませんが、本当にハカランダの音を求めている人にとってはこれ以上迷惑なことはないでしょう。

「D-18 Authentic」
 D-28 Authenticを先に書いてしまいましたが、D-18 Authenticというモデルはすでに発売されています。日本での定価はいくらなのか知らないのですが、ネットでD-28 Authenticの日本での定価を調べたら¥5,250,000でした。おそらくD-18 Authenticも100万円位の価格にはなっているんでしょうね。驚きました、参りました。って感じです。とても一般のギター好きが買おうと思える価格ではありません。本来の需要と供給の関係から生まれる価格とは別のところで、何か別の力が働いているような気さえします。

 ヴィンテージギターやハイエンドギターの価格が上昇することで、一番気になるのは若い方たちにそういったギターを弾く機会が少なくなってしまうということです。高額になればなるほど、おいそれと「弾かせてください。」とは言えなくなります。ショップのギターはもちろん、友人のものでさえ難しくなってしまうと思います。そうなることで良い音を聴く(弾く)機会が減り、ますます良いギターを求めなくなってしまうのではないかという懸念です。本当に良い音のギターと出会うことでその人の演奏そのものが変わったり、歌い手なら唄い方が変わってしまうことがあります。良い意味で触発されるということなのでしょう。それが本当に鳴るギターに巡り合わなければ、経験できることではありません。
 この先どのような形になるかはわかりませんが、出来るだけ多くのアコギファンに良い音のギターを弾いていただく機会を作って行きたいと思っています。これから先の、大きな課題の一つです。

「エコロジー」
 何年も前から自分のまわりでは時々話題になっていることですが、世界中でこれだけ環境問題やエコロジーを考えようとする動きがある中で今までのように新品のギターを造り続けることに無理があるのではないか?という疑問です。ギターの材料はほとんどが木材ですから、新品のギターを造るためには新たに木材を伐採することが必要になります。新品のギター製造を減らす方向に持って行き、できるだけ中古品や再生品を使うようにはできないのかなと思います。ほとんど使えないオールドギターもきちんと修理すれば新品と変わらない状態で使用することができると思います。
 当然それなりの技術と知識、経験としかるべき材料をもったメーカー、あるいは人でないとできませんが、そういった対象が無いわけではありません。ただまだ市場がそれを受け入れるような状況になっていないと感じています。

以下の写真は、以前FACEBOOKに投稿したものです。SOMOGYIのキルトマホ

どちらも「素晴らしい鳴り」でした。現在は、それぞれ別のギタ友の所有です。

 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
宛先 e-mail:mail@acogian.com または twitter(@acogibucho)にお願いします。

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