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【Chrome拡張機能】JKX:ジャパンナレッジ・エクステンション

このたび、オンラインデータベース「ジャパンナレッジ」の表示を勝手に強化するChrome拡張機能「JKX」(JapanKnowledge Extension)を公開しました。

ダウンロード・インストールはこちらから:

Chromeウェブストアからインストールしてください。誰でも無料で使うことができます。

📌 念のため、拡張機能自体は無料ですが、「ジャパンナレッジ」の利用は有料です。

なお、インストール時に「この拡張機能は、セーフ ブラウジング保護強化機能で信頼されていません」と出ますが、これは拡張機能の公開を始めたばかりの開発者に対しては全員表示されてしまうようです。

機能説明

〈日本国語大辞典〉に用例年表を表示する

ChromeにJKXを導入した状態でジャパンナレッジの〈日国〉を開くと、画面下部にこのような年表のタブがオーバーレイ表示されます。

JKX表示サンプル

この年表は、開いている最中の〈日国〉から、JKXが記述を読み取ってビジュアライズしたものです。用例出典がある場合に、その成立・刊行年や時代を読み取ってバーを描きます。バーは、最も古い用例から最も新しい用例までを結びます。
バーは語義区分に対応しているので、どの語義が古く、どれが新しいか、ある程度視覚的に把握することができます。

📌 西暦や世紀が示されている場合はいいのですが、「室町後」(室町時代後期)や「幕末」などの時代区分しかない場合、具体的に何年から何年までを指すかは判断できず、バーの表示は多少アバウトになります。あしからずご了承ください。

用例に該当する部分はハイライト表示します。

用例の年号と対応する部分をハイライト

ハイライト部分にカーソルを重ねると、対応する出典と年号・時代を表示します。

カーソルを重ねると情報を表示

また、語義番号にカーソルを重ねれば語義を表示します。

使用上の注意:JKXではわからないこと(あるいは、〈日国〉ではわからないこと)

JKXの年表は、最古の用例から最新の用例までをバーとして表示します。この「最新」が要注意で、なぜと言うに、〈日国〉の「最新」の用例は、古いのです。
例えば〈日国〉で「走る」を引いてみましょう。

(1)のバーは2000年まで達していないが……

〈日国〉が掲載する語義(1)「人や動物がすばやく移動する」の用例で最新のものは、1914年。100年以上前の例です。(1)のバーも同年に途絶えています。では、1914年以来、「人や動物がすばやく移動する」という意味で「走る」とはもう言わないのでしょうか?
当然、そんなわけはありません。今でも言います。〈日国〉に載る用例が1914年までの分しかない、というだけです。
語義(2)の「乗物が動いてはやく進む」も、バーは1965年で切れていますが、言うまでもなく、こちらも現在普通に使われている意味です。

要するに年表のバーは――すなわち〈日国〉の用例は、あくまでも「この時点で、確実にこの意味で使ったという証拠がある」という範囲を示すものです。実際にはその外側の時代でも使われていた可能性が常にあります。バーの範囲は目安として考えてください。

📌 ちなみに、海外の辞書には語義が「今使われているかどうか」わかるものもあります。そういった記述が用意されていれば、読み取ってバーを右端まで伸ばしたり対応できますが、あいにく〈日国〉には書いてないのです。

開発者より

〈日国〉は、百万に及ぶ膨大な用例を集め、語について歴史的な記述を行う辞書です。特に、用例には年次が添えられているため、その語がいつ初めて使われたかという「初出例」を調べるのに重宝します。用例がなかったり、実は掲げられた例が初出でない場合もまあまああるんですが、それはそれとして初手は〈日国〉を引きます。
こうした〈日国〉の特長をもっと楽しめないかと考え、拡張機能JKXを開発しました。「拡張機能で年表を作れば面白そう」という思いつきはだいぶ前からあったものの、AIの力を借りて自分が作れるようになるとは想像していませんでした。

さっき見つけるまで存在を忘却していたモックアップ画像(2019年作成)

プロトタイプの開発に8時間(徹夜で一晩+α)、その経験から設計し直した今回のバージョンに同じくらいかかったと思います。開発にはChatGPTの補助を得ました。GPT-4 Code Interpreterですが、コードの提供を含めすべてチャット上で行われました。通常のGPT-4と性能差があったかはわかりません。
補助と言うより、ほとんどおんぶだっこだったのが実情です。これ以前にJavaScriptの開発経験なし。目的と熱意とデバッグ力とChatGPT、あと多少の時間と英語力(コードを読むのは苦ではない)があればできる。

本拡張機能は個人的なプロジェクトで、JapanKnowledgeの運営会社や〈日本国語大辞典〉編集部には一切関係ありません。

今後やりたいことメモ

表示のカスタマイズを多少できるようにしたいです。


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