予防接種②

予防接種 -なぜ接種が必要なのか?-

□ 個人防衛と社会防衛
ワクチンはウイルスなどの病原体や細菌のだす毒素の病原性や毒性を弱めたりなくしたものです。接種することにより病気にはならず、免疫反応の記憶だけを体内に残すことができます。病原体や毒素が体内に侵入してきた時、この記憶していた免疫反応が起こり病気にかからず体が守られるという仕組みになっています。
予防接種を受けた人はその感染症から守られますし(個人防衛)、より多くの人が予防接種を受ければ社会全体から感染症が減り、結果的にその予防接種を受けていない人たちも感染症から守られるという好循環が生じます。(社会防衛)

~天然痘をご存じですか?~
今の若者世代の方はご存じないかもしれません。おじいちゃん・おばあちゃんの腕を見てみてください。天然痘の予防接種の跡があるかと思います。
天然痘は紀元前より、伝染力が非常に強く死に至る疫病として人々から恐れられていました。天然痘ワクチンの接種が始まると発生数は減少し、WHO は1980年5月天然痘の世界根絶宣言を行い、以降これまでに世界中で新規の天然痘患者の発生はありません。
今では予防接種も行わなくてすむようになったわけです。

このようにワクチン接種が普及することによりすべてではありませんが撲滅させうる感染症もあります。ポリオももう少しで実現できるかもしれません。

□ ワクチン vs. 自然免疫
麻疹や水痘など、一度その病気にかかれば生涯免疫を獲得し二度と同じ病気にかからない!だから予防接種をせずに自然にかかれば、より自然だし強い免疫が得られるとお考えになる方もいます。昔は学級でおたふくの子がいれば、免疫獲得チャンス!とばかりにその子の家にみんなでうつされに行かされたものです。私の親もそうでした・・・ 
小児科医になってから自分の母子手帳をみて愕然とした記憶があります。予防接種歴『ゼロ』。麻疹も水痘も自然にかかりました。今のご時世ではありえない話で、ただただ私は運がよかっただけです。
感染症を発症すれば、一定の確率で合併症が起こります。肺炎や髄膜炎、脳炎などと、命の危険にさらされる場合、命が助かっても重度の後遺症を残してしまう場合もあります。私も長く小児集中治療の世界で仕事をしてきましたが、予防接種さえきちんとうけていればこんなことにならなかったのに・・・と命を落としてしまった子や重度後遺障害を残してしまった子を見てきました。本当に悲しい話です。
ワクチンvs.自然免疫は、ワクチンの圧勝です。

今回は、なぜ予防接種が必要か?に注目して記事を書きました。
皆様、受けるべき予防接種は時期を逸せずきちんと受けましょう。

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