よく焼くのとサッと炙ったのでは素材は同じでも味は全然違う
こんばんは。
昨日の記事の最後のほうで「そのあたりはまた明日」という感じで含みを持たせて終わったので、今日はさくっとその続きの話に突入したいと思います。
ちなみに昨日のメンバーシップ部分のほんの一部をネタバレさせるとこんな感じです。
日頃、口外禁止と言いつつ今日のコア部分の入り口として分かりやすいので、たまにはこういう導入の仕方もアリかなと思いセルフネタバレを遂行してみました(メンバーシップの皆さまご理解ください)。
では本題です。
焼き方、握り方でこんなにも違うよ
※昨日の記事の延長でお話しするので、もし昨日の記事をまだ読まれてないという方が居たらまずはそちらから読んでいただければと思います。
さて…
お肉を焼くだけなら誰でもできる。
そして昨日のコメントでお寿司の話題もあったので、そういえばお寿司もそうだなあと思って、握るということも小見出しに入れ込んでみました。
お寿司もきっと握り方で全然味が変わるんでしょう。
誰でもできそうなものをプロの作品に昇華させるための技は確実に存在しているという話を昨日の最後のほうにしました。
「具体的にそれはどういうこっちゃい?」っていう部分の皆さんの解像度を明瞭にしてさしあげましょうというのが本日のコアです。
今後、僕が曲を作っていく中で絶対に何度も何度も迷ったり一度白紙に戻したりっていうことがたくさん起こり得る部分の話なので、アトリエという空間としてはその知見は共有しておいたほうがいいなと思ったので。
今日はあくまでその知見を共有してもらうための「例題」という感じです。
なので今まさに誕生しようとしている曲とかじゃないよってことだけ共通認識として持っておいてください。
「誰でもできる」ってのがこういうこと
まずはこちらをお聴きください。
今日の素材としてメロディを作ってみました。
聴いていただけたら分かると思いますが二つの音(ソとド)を行ったり来たりしてるだけです。
これも立派な作曲です。
メロディを産んでいるので。
どうでしょう?
それでいいならご自身でも作曲できそうじゃないでしょうか。
これが昨日の話で言うところの「お肉を焼く」という行為の部分です。
道端で酔っ払ったおっちゃんが大声で適当な鼻歌歌ってたりすることありますね(とはいえ時代が進むにつれてあんまり見かけなくなったな)。
あれも立派な作曲です。
ただこれを作品と呼べるかと言えば全くもって論外です。
ただ鉄板に乗せて焼いただけで「料理です」と言っているようなもの。
これをプロが提供する作品にまで持っていくために、とても重要になってくるのがピアノで言うところの「左手」。
いわゆる伴奏パートです。
さきほどの2音を行ったり来たりするメロディが「肉を焼く」という部分だとしたら、左手は焼き加減だったり塩、こしょう加減だったりという部分。
もっと言うと、0.1度単位で調節する鉄板の温度だったり、このお肉はレアで焼くのが一番美味いとか、ウェルダン向きだろうっていう見極め部分も含んでます。
百聞は一聴にしかずっていうことを昨日言ったので、さっさと聴いていただきましょう(引っ張ってるの僕ですけどね)。
焼き方ひとつでこうも変わりますよ
もう一度先ほどのメロディを思い浮かべてください。
(リプレイしてもらっても大丈夫です)
名曲要素の欠片もない作品とも呼べない代物です。
僕が「曲ができました!」って言ってあれを発表したって怒るでしょ?
ではこちらをお聴きください。
鉄板で焼いてみました。
いかがでしょうか?
最低限、お客様に味わっていただけるレベルにはなったと思います。
つづいてこちら。
先ほどと同じくお肉は変えてません。
焼き加減を変えただけです。
楽しくなってきたんでもうひとつ。
しつこいですがお肉は変わってません。
こちらも焼き加減を変えただけです。
単純明快な話ですが、どう焼くかで同じ素材でもこんなにも味が変わるっていう話です。
同じお肉を3種類の焼き方で並べて提供してみました。
それぞれに好みの味があると思います。
単純に「この焼き加減が好き」っていう感想もあれば、「このお肉だったらこの焼き加減がマッチしてる」っていう相対的な感想もあると思います。
こうやって3つ聴いていただけたらその差異は歴然でして、作品として皆さんに届ける場合はどれかひとつに絞らないといけません。
良く焼いても美味しいし、さっと炙っただけでも美味しい。
実際のお肉だったらば、一切れごとに焼き方を変えていろんな味わい方を一回の食事の中で堪能できるでしょう。
しかし作品として世に出すとなったら、皆さんに味わってもらうまでにひとつに絞らないといけない。
ここが一番苦悩する部分です。
今回は「焼き方ひとつでこうも違うよ」っていう解像度を共有するために素材としてかなり適当なメロディを用意しましたが…
実は今、自分のピアノ曲の制作を進めるにあたって、いい感じのメロディがワンフレーズ僕の中で既に生まれているんです。
しかし、さてこれをどういう焼き方で持っていくかっていうところで四苦八苦しています。
3つのパターンを聴いていただいたことで分かってもらえると思うんですが、同じメロディでもあんなに曲の雰囲気が変わるからこそ「これでいっか」で通り過ぎては行けない難所だったりするんです。
曲そのものがボツになるっていうこともあるんですが、それよりももっともっと前の段階で「この焼き方はボツ」っていうたくさんのボツが生まれるプロセスが存在します。
自分の中で今浮かんでるメロディの一番の焼き方を何度も試行錯誤しています。
これだ!とひとたび決まっても、次の日味わってみたら「なんか違うな」ってなることも多々あります。
試作段階くらいまで持っていけたらアトリエ限定で公開するので一度味わっていただければと思います。
幸いなことにお肉と違って何度焼き方を間違えても資源や食料を無駄にすることはないので、とことんこだわり抜こうと思います。
こんなに連日連夜、お肉お肉言われたらお腹空きますよね。
アトリエというよりキッチンの模様を呈してまいりました。
骨の髄まで味わっていただければと思います。
ハラミが好きな西村でした。
(未体験のシャトーブリアンに興味があります)
ではまた。
【追伸】
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