チュリトリスください

いきなり下ネタ？どうしたの？
と感じたアナタはおませさんですね。

初投稿をしてから結構な時間が過ぎました。
何か書かねばと思えば思うほど、書いては消し書いては消し・・・。

面白い文章が書きたい、洒落たエッセイとか。
でもカッコつけたくはない。

わたしが書けるネタは主に美大時代の話、会社員だった頃のエピソード、グラビアに関して・・・うん、面白いかと言われればそうかもしれないけど、わたし発のエピソードじゃなくてもわんさかあるようなネタだ。

わたしが出会ったこと、わたしが体験したこと。

ああ、そうだ。
学生時代のアルバイトで未だに忘れられない出来事がある。

当時わたしは某シネコンのコンセッション（映画館内でグッズや飲食を販売している部署）で働いていた。
簡単に言えば劇場スタッフという分かりやすい仕事だ。

その頃のわたしはハタチくらいで、色気もないし垢抜けてもいない情熱だけは人一倍のTHE☆映研女子といった見た目の貧乏学生だった。
※映研の女性部員には申し訳ないと思っている

担当したコンセッションの主な業務は劇場限定のドリンクや軽食の販売だった。
これが思っていたよりも重労働で、映写（劇場のスクリーンに映像を投影する仕事）を狙っていたわたしには地獄だった。

休日は売店前に長蛇の列ができ、上映時間に間に合わないと理不尽なクレームをいただくことも多々あった。
その日はたしか日中の一波乱が過ぎた夕方ごろだったと思う。

レジでぼうっと突っ立っていたわたしの前に一人の男性が近づいてきた。
売店の上に掲載されている商品一覧を眺めているようだった。
暫くして買いたいものが決まったのか、男性はわたしのレジまでやってきて

「チュリトリスください」

と言うではないか。

は・・・？
なんだって？

うちの看板メニューは某テーマパークのようなスイーツが売りだった。
中でもチュリトスは一番人気だった。

※チュリトスとチュロスの違い
某夢の国の商品がチュロス。
大手シネコンで販売している類似品がチュリトスである。
引用元：どこかのサイト

チュリトスをチュロスと間違えて注文されることは数えきれないほどあったがチュリトリスは初耳だった。

これはセクハラされているのか・・・？
疑いを男性に向けるも、

キラキラした無垢な視線。

吸い込まれそうなほど真っ直ぐな瞳！！！

これは本気だ。

「ちゅ、チュリトスおひとつでよろしいですか？」

震える声で聞き返すわたし。

「はい！チュリトリスひとつください！！」

おいおい。
やっぱりわざとなのか？
いや、ちょっとまて。

カウンターに隠れて見えなかったけど、
男性の隣にひっそりと小さい女の子が佇んでいるではないか。

こどもいるんかい！！！

教育上よくないって。
でもさ、チュリトスってちょっと言いにくいよね。

発音しやすい風に間違えただけかもしれない。
もしかすると下ネタに聞こえるわたしの方が問題有りなのか。

そう考えるとチュリトリスの方が正しい名称に思えてきた。

あやしい、チュリトリス。

ちなみにその男性（親子だった）は終始笑顔のままチュリトスを受け取ってドラ●もんが上映されているメインの１番スクリーンへ消えていったとさ。

10年近く経った今も、当時働いていた系列のシネコンに行くと思い出す。

そして探してしまうチュリトリス。

食べたことがない方は見かけたらぜひ買ってほしい。
わたしのオススメはシナモン味。
カリカリの外側と噛むとふわっと広がる中身が最高のハーモニー。

映画館ネタを書いたはいいが、今はどこも自粛で営業停止しているという。

映画館が存在しない世界がくるとは思ってもいなかった。
自粛が収束したら真っ先に買いに行こう。