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中殿皮神経(middle cluneal nerve)とその障害

中殿皮神経障害は殿部内側の臀部痛を引き起こすが、個人的には、仙腸関節障害を併発して起こしていると言って良いと思います。
神経の走行を理解するとわかりやすいと思いますのでそこから話し始めようかと思います。

中殿皮神経の解剖学

中殿皮神経はS1~S4の後根神経由来の純粋な感覚神経(筋肉は支配していない)です。
仙腸関節の下部を乗り越え、上後腸骨棘PSISと下後腸骨棘PIISの間にある長後仙腸靭帯をくぐる際に絞扼され、殿部内側に痛みを起こすとされています。

仙腸関節に近接する靭帯

後仙腸靭帯は、関節包後面を補強するもので、浅層と深層があります。
深層は、骨間仙腸靭帯に続いて、仙骨の外側仙骨稜と腸骨翼の内面後部をつなぎます。
浅層は、外側仙骨稜の下部から上後腸骨棘PSISに向かって上向し、浅層外足部の一部は仙結節靱帯の交じり合う。
仙腸関節周囲の靭帯の多くは仙腸関節の前屈運動で緊張するが、後屈運動で緊張するとも言われているが、これは寛骨と腸骨の動き次第なのであまり信用しない方が良い。
寛骨の前傾・仙骨の後傾をカイロプラクティックではAS腸骨と呼ぶが、この場合は、後仙腸靭帯は引っ張られ緊張する。逆に寛骨の後傾・仙骨の前傾では外側仙骨稜とPSISが近づくために緩む。
外方腸骨(EX腸骨・インフレア)では緊張し、内方腸骨(IN腸骨・アウトフレア)では緩む。

中殿皮神経と後仙腸靭帯による障害

後仙骨孔から仙骨神経の外側枝が後仙腸靭帯を貫通していく。
後仙腸靭帯の緊張を評価対象とし、仙腸関節の調整によって後仙腸靭帯を緩ませ、絞扼部位を解放させることができる。
中殿皮神経の絞扼原因となりうる後仙腸靭帯と仙腸関節の評価として大切なポイントを最後に紹介したいと思います。

後仙腸靭帯と仙結節靱帯・仙棘靱帯との関連

仙結節靱帯と仙棘靭帯についての詳細はまた別のページで説明したいと思います。
ポイントは、後仙腸靱帯は仙骨から上行して寛骨に付着しているのに対し、仙結節靭帯及び仙棘靭帯は仙骨から下行して寛骨に付着するため、前屈時と後屈時での緊張が逆転する。
仙腸関節の触診をより正しく読み取るためにもこれらの靭帯の緊張度を触診するのはとても大切です。

仙腸関節の安定 スクリューホームメカニズム Form closure

この仙腸関節の締まりのポジションと言われていた仙骨前傾・寛骨後傾時に仙結節靭帯が緊張し、安定に寄与する

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