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さよなら大ちゃん

お借りした店舗はもともと『大ちゃん』という焼き鳥屋さんであった。

そしてその2階部分には『大ちゃん』の大看板が掲げられていた。

当たり前だが僕は『大ちゃん』と呼ばれた事が一度もない。

(あのダイアナ妃でさえ『ダイちゃん』とは呼ばれてはいなかった筈だ。)

知り合いの『大ちゃん』に譲渡を申し出たが、表札にはスケールがデカ過ぎるという。

悔しいので、油性ペンで一画加えて最後の可能性を考えてみる。

『犬ちゃん』・・・けんちゃん
『太ちゃん』・・・ふとちゃん
『天ちゃん』・・・てんちゃん
『夫ちゃん』・・・ふーちゃん

ダメだ。一度もそう呼ばれたためしがない。

そう。小林である僕はどちらかと言えば『小ちゃん』なのだ。

今さら『小ちゃん』と呼ばれても全然嬉しくないし、ここは潔く撤去することにしよう。

さよなら!大ちゃんの看板。
さよなら!撤去料。

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