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平井に住む理由

【書けなかったこの2年間のこと⑦】

 横浜に住み始めて数ヶ月。
 体力が明らかに戻ってきた。      

 そして僕は、日本酒と伝統発酵食を融合した『お店のようなもの』を作りたいと考えるようになった。

 発酵の魅力や僕の身体に与えた効果などを取り入れて広い角度から日本酒を伝える事がしたいと思った。

 何より両親や故郷の人々、北の錦や、刺激を受け続けた全国の酒蔵の仲間達に学んだ事を無駄にしてはいけない。

平井駅にも駅前再開発の波が押し寄せ、古い酒場が一斉に退去したという。残念でならない。

そう想えば、自分の命が大切なのだと身に染みて感じられた。 

 僕は、江戸情緒が残る下町に住んで今の想いを叶えたかった。

 下町をくまなく散策して僕のやりたい事を実現する街を探すのだ。
 その条件は以下の通りだ。

①駅前ロータリーで缶チューハイを飲む人が少ない事。

②咬タバコでパチンコの話しかしないご婦人で賑わう喫茶店が少ない事。

③ヤンチャそうな人同士が商店街で謎の挨拶する風習の少なさそうな街。

 結果、僕は江戸川区の平井に移住した。  

 理由は『駅前ロータリーに酎ハイの空き缶が少なく、目立った立ち飲み屋もパチンコ店も無く、喧嘩の強そうな人にあんまり出会わないから』なのであった。

平井駅周辺には、やたら銭湯が多くて『湯上がりついでに』酒場で一杯やる人が多い。
毎日、ご近所の魚屋さんに寄る。
特に北海道産の新鮮な鮭が美味しくて安い。

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