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グレーな空間

『発酵さぎょう』の壁はやや暗い灰色の珪藻土にした。

 その昔、木灰を蒸米に撒くことで純粋に麹の花(種麹)を培養していた。

 実際『花咲か爺さん』は、枯れ木に木灰を撒いて(死んじゃった飼犬シロの)花を咲かせた。

 誰もが最期は灰になって、土の微生物に命を吹き込む。

 そして灰色は江戸でも『四十八茶百鼠』が基本の色。同じという事がない独自の着こなし文化になった。

 つまり百種類以上の鼠(ねずみ)色のグラデーションを使い分け、茶や藍と掛け合わせて粋なファッションに昇華させた。

 白でも黒でもないグレーゾーンにこそ江戸っ子の意気地がある。

 『答えがあったらつまらない』
 そんな趣きと駆け引きを(たまたま居合わせた他人と)真剣に考える。

 それこそが『遊び』だと僕は思う。

 『人と人が発酵する』に相応しい空間づくりをしたいと思う。

(日本酒の日。多くの人が日本酒で楽しく発酵しますように!)

この部分は厨房。カウンターの木材は北海道から送ってもらうことにした。
この暗さがいい。元来根暗の自分にピッタリだ。

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