山うに漬け

北海道に帰ると僕は決まって『山うに漬け』の製造に取りかかる。

『山うに漬け』の原料は酒粕と香味野菜、そして大豆と麹。それら全て生の原料を一緒に発酵させてつくる。

塩分が控えめでも冷蔵保存なら2年間、品質を保持する事もある。

その味わいを自ら深めながら、ゆっくりと発酵し続けるから腐らないのだ。

程よく熟成すると『本当にウニが入っているかのような旨味』がじわじわと出てくる。

地元、栗山町の原料を出来るだけ使うようにしている分、とても愛情がある。

食感と旨味、そして色調さえも山の素材だけでウニを再現した。百回以上試作を繰り返して、この味ができた。


結果として褒めてもらえる事も多くなってきた。

だからこそ言える事だけれども、北海道のお酒とご飯のお供に最高の酒肴だと思える自画自賛の瞬間が好きだ。

数十年前に、当蔵で蔵人の先輩達に愛された、この発酵食品を復活させて今、伝える事ができている。

それが、僕のとてもとても嬉しい仕事の一つだ。

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