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ゲームとことば#34「このカギはもう必要ないようだ すてますか?」

なぜわかるのか。

バイオハザードでカギのかかったドアを解錠した後に出る、ゲームシステム側からのプレイヤーに対する問いかけだ。
Yes/Noでプレイヤーは不要となったドアのカギを捨てるかどうか選べる。

私はこのセリフに対し「カギを捨ててよいかどうかなぜわかるのか」、という疑問を長年抱えていた。しかし、よくよく考えてみると一つのカギは一つのドアしか開けられず、ふつう使いまわせたりはできないから必要ないっちゃあ必要ない。
あたりはゾンビだらけで再度カギをかけられる心配もないだろうしね。
ただ緊急事態とはいえ、よそん家のカギをあっさり捨てるジルやクリス、レオンが大胆すぎる。
まあまったく人を受け入れる気のないカラクリ洋館やカラクリ警察署だからね。仕方ないね。

ところで「すてますか?」という言葉通り、カギを捨てるかどうかはプレイヤーが選べるようになっている。
このセリフが出たカギに関しては取っておいても仕方がないのだが、中にはコレクター癖が出てアイテムボックスにわざわざ保管した人もいるのではないだろうか?
私は以前の記事で「貧乏性でアイテムを捨てられない」と書いたが、こういうシステム側が気を利かせてくれる場合は迷わず捨てる。
「きっとなんにもやくにたたないから」である。

では、なぜこのゲームは不要なものに対して捨てるかどうかを一旦聞くのだろうか。「いらないと思うから捨てときました」じゃダメなのか?
私の勝手な解釈として、カギの入手に苦労したプレイヤーに対するゲーム側の思いやりではないかと考える。
廊下をただ歩くことさえ恐ろしいバイオ世界の建物の中を、迷いながら少しずつ進んでいく。
そうして、様々な仕掛けを解いて手に入れるカギ。
カギは、確かに一度ドアを開けたらもう使わないものかもしれない。
だが苦労して手に入れたものに、人はまた価値を感じるというものだ。
その愛着が強い場合、先ほど書いた通りアイテムボックスに保管することもあるだろう。

やっぱり捨てるかどうか聞いてくれるのはやさしさなのだ。
「いらないと思うから捨てときました」じゃあ、ちょっと待てと言いたくなるかもしれない。
「唐揚げにレモンかけときました」が禁忌であるということは大昔からの言い習わしだが、「買ってあったTCGのブースターパックを開封しておきました」、「ウォーリーを探して赤マジックで印つけておきました」もかなりの余計なお世話。何らかの罪に問われかねない。

自分の価値観を当然のことと思わない、って大切なことだ。

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