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ゲームとことば#64「イーグルダイブ」

歴史の裏で暗躍する「アサシン」を体験できるUBIソフトの人気シリーズ『アサシンクリード』。
プレイヤーのアサシンは何十メートルもある塔や教会の上によじ登り、任務遂行に必要な情報を得るため、周囲の地形を把握する。
景色を記録し終わったら一思いにてっぺんからジャンプ。
これがイーグルダイブだ。
そんな高さから落ちて大丈夫かだって?
でぇじょうぶだ!下が藁ならなんとかなる!

本作はリアルに作り込まれた中東や欧州の歴史的風景が魅力的で、ただ歩いているだけで海外の博物館を観光しているような気分に浸れる。
もちろん作中のアサシンは"おのぼりさん"ではないので、粛々とターゲットの追跡任務や盗聴、暗殺をしなければならない。
滞りなく任務を行うにはあらかじめ地理を頭に入れておかねばならず、そのためには高い建築物によじ登らねばならない。小窓や壁の小さな凹凸に手足をかけて。
降りるときは簡単だ。
重力に身を任せて落ちればいいのだもの。
ただし下には藁山があること、これだけがイーグルダイブの条件だ。

どう見ても藁程度では助からない高さだろうがアサシンは勢いよく飛び降り、落ちた後も涼しい顔でスタスタと歩き出す。
落下の衝撃をものともしないタフさも驚きだが、荷車に積まれた藁山程度の面積に向けてピンポイントに飛び込むコントロールもすさまじい。
それでも両手を広げ、優れた高飛び込みのメダリストのように迷いなく落ちていく。
「特別な訓練を受けています」という文句が思い浮かぶが、いくらなんでも限度があるだろう。
街並みの精緻なリアルさがうりの本シリーズだが、イーグルダイブに関しては思いっきりゲーム的アクションで、現実味はないもののすこぶる爽快である。

こういった落下に関するダメージの有無はゲームによりけりだ。
たとえば『ゼノブレイド』というRPGは、高い位置から地面に落ちたら死んでしまうが、落下地点が海や深い湖ならダメージを受けない。どんなに高くても。この辺は『アサシンクリード』と似ている。
真逆のパターンはいうまでもなく『スペランカー』だろう。
ひざ丈程度の高さから落下してもミスになってしまう、往年の名作アクションゲームだ。
ゲームジャンルやアクションの方向性によってダメージの有無や大小が決められるのだろうが、作品ごとに違いがあって面白いポイントだと感じる。

ちなみに『アサシンクリード』は映画化されている。
その映画のメイキング映像として、スタントマンが100フィート(約30m)の高さからワイヤーを使わずイーグルダイブする動画を見つけた。姿勢が美しくてかっこいい。


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