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ゲームとことば#68「防壁があってよかったぜ!」

Wiiのアクションゲーム『斬撃のレギンレイヴ』でのモブキャラたちのセリフ。
体長が数十メートルはありそうなゾウの化け物「アウズンブラ」の進撃を防ぐため、か弱い人間たちは「防壁」を頼る。
ただこの防壁の高さ、どう見てもアウズンブラの膝丈ぐらいしかない。
鼻なんか砦の内側に入ってきちゃってるし。
無理だろう。
「防壁があってよかったぜ!」
「防壁万歳だ!」
前脚を高く上げ、いななくアウズンブラ。
「何をする気だ!?」
脚を振り下ろし木っ端みじんに砕け散る「防壁」。
「「「ぐわーーー!!!」」」
いわゆる丁寧なフラグ立てというやつであるが、このやり取りを何度か繰り返す。
人間たちには申し訳ないが、なんだか愉快な一幕である。

本作のストーリーは「わりと詰んでる神話」として名高い北欧神話をベースにしている。
主人公は神であるフレイとフレイヤを操り、人間とともに巨神族や魔獣、死霊と戦いまくる。Wiiリモコンをブンブン振り回す、実に爽快なゲームだ。私はずっとリメイクを待っている。
フレイとフレイヤのサイズは人間と変わらないが、敵はみんな超巨大&超大量。広大なステージをあっちに走り、こっちに走りとなかなかに忙しい。
敵は小さい奴でも4~5メートル。大きい奴だと先述のアウズンブラのように遠くから見ないと全身を把握できないサイズになる。
要するに怪獣に生身の人間が立ち向かっていくようなものだ。
ただし、フレイたちの武器は神の力が宿っており、離れた場所にも斬撃が届く剣や、光線を打ち出す杖なんかがある。
それで何とか戦える、といった感じだ。

各ステージに登場する人間たちは、勇ましく声をあげる立ち向かう者、恐ろしさに逃げ惑う者などさまざまで、怪獣映画やパニック映画のような雰囲気を演出してくれる。
このワチャワチャ感が本作の醍醐味だと思う。
主人公がただ超人的な力で敵をなぎ倒すのだけ、というのもいいけれど、それだけだと味気ない。やはり、みんながパニクっている『斬撃のレギンレイヴ』が好きなのだ。
モブキャラのセリフはプレイヤーの居場所によっては聞こえづらかったりするのだが、それもまた臨場感があっていいと思う。聞き逃しても、別のタイミングで聞けるとちょっとうれしいものだ。

終末へと向かっていく本作のストーリーだが、不思議とあまり寂しさは感じない。
共闘感があるからだろう。

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