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ゲームとことば#67「コヨーテ」

私が人生で初めてプレイしたゲームソフトは『高橋名人の冒険島』である。
セガの『ワンダーボーイ』のファミコン版で、主人公を高橋名人に変えてハドソンから発売されたソフトだ。
マリオのような横スクロール型のアクションゲームで、妙にワイルドないでたちの高橋名人が斧や火の玉を武器に、スケボーに乗って化け物から彼女を助けに行くお話。
敵やトラップの配置が絶妙にいやらしく、なかなかに高難易度なゲームであるが、なかでも印象深いのが「コヨーテ」だ。
そう、オオカミに似たスリムな犬型の生き物コヨーテ。主に北アメリカに生息しているらしい。
本作のコヨーテはなぜか二足歩行で後ろから突然現れる。
スタスタと一目散に名人に猛追するその様子は、かなり恐怖である。
子どものころは割と本気でビビっていた。

ステージ1-4に初めて登場するのだが、作中トップクラスのスピードと、右に進んでいく横スクアクションで左から現れるという意表を突いた登場が特徴的だ。
明らかにほかの敵キャラと違う雰囲気を醸し出している。
ステージ中に咲く赤い花を通りすぎたら必ずやってくるので、慣れればタイミングよくジャンプでやり過ごせばいいだけなのだが、会うたびに緊張していた気がする。(※後半に出てくるコヨーテは名人に近づくとジャンプしてくるのでちょっと手ごわい)
本作は右にスクロールが進むと左には戻れない仕様だ。
なのにコヨーテは完全にスクロールの外側である左側からやってくる。
これが怖いんだろう。
「やり過ごした」=「もう気に留めなくていい」はずの左側からの出現。
プレイヤーからは見えていても、"左"は"後ろ"と同じなのである。
後ろから二足歩行のコヨーテが走ってきたらそりゃ怖い。

おっさんになった今見ても、怖いとまではいわないが、やはり気味の悪さは感じる。
メジャーどころでいえば『スーパーマリオブラザーズ3』の「太陽」や『スーパーマリオUSA』の「カメーン」に感じる恐怖に近いかもしれない。
執拗に追いかけてくるわけではないので、その2つほどではないけれど。
ただボスを含め「右から攻めてくる」という敵のルールを破ってくるところに特別な存在感を感じる。
ところでなんでコヨーテなんだろう。

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