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ゲームとことば#66「女神のハープを手に入れた! けど今はそれどころじゃない!!」

それどころじゃないんだってさ。
忙しいんだよ勇者は。

緊迫した場面に、ちょけたメッセージ。
いかにも『ゼルダ』といったテキストである。
『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』は2011年にWiiで発売。のちにリメイク版がニンテンドーSwitchでもリリースされた作品だ。
本作のリンクは、突如黒い竜巻に巻き込まれ、姿を消したゼルダを助けるために旅に出る。
険しい森や溶岩まみれの火山を踏破し、ようやくゼルダを見つけたものの、魔族長ギラヒムによって邪魔をされてしまう。
ゼルダは魔族長の魔手から逃げながらも、とっさの判断で重要アイテム「女神のハープ」をリンクに投げて寄越す。
しっかりとキャッチしたリンクは、いつものSEをバックににっこり。
そこで画面上に出るのが表題のことばだ。
確かに喜んでいる場合ではない。
だが、キーアイテムを手にしたのなら、やはりあの「ごまだれ~」を聞きながら高らかに掲げたいではないか。

こういうマジメな場面でのギャグは、許される世界とそうでない世界があるだろう。
漫画やアニメにも言えることだが、作品ごとの不文律があって、それはその作品が生まれながらにして持っているものだと思う。
ギャグシーンは必ず分けて描かないといけない作品と、たまにならまじめなシーンにも混ぜてよい作品という感じに。
それでいうと『FF』は前者で『ドラクエ』は後者だろうか。
どっちがいいとかの話ではなく、作品全体に染みわたっている空気感のようなものだろう。
ドラクエとゼルダは主人公がしゃべらないという共通点がある。
自然と天の声が必要になるので、そこに遊びの余地がある。主人公に妙なキャラクター付けをしない程度に、だと思うが。

淡々と状況を説明するだけだと思っていた天の声の裏切り。
不意打ちをかけてくる作品は油断できない。

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