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ゲームとことば#51「彼女は何の為に闘ってたのかな?僕は何の為に?スネークは何の為に?」

メタルギアソリッドという作品から名言・珍言を取り上げようとすると枚挙にいとまがないが、1つ挙げよと言われたら、私はこのことばが特に強く心に残っている。
彼女とはオタコンが好意を寄せた敵の狙撃手、スナイパーウルフのこと。
スナイパーウルフの死後、ムービーシーンで悲しむオタコンがスネークに表題の疑問を投げかける。
コマーシャルにも使われた名シーンだ。

本作はやさしくて芯の強いオタコンという存在が非常に重要で、スネークに次ぐ準主人公といえる。
おぞましい過去を持つ兵士、軍人たちの闘いが繰り広げられる中、オタコンのように兵士でない優男がスネークのそばにいることで、プレイヤーに別の視点をもたらしてくれていると思う。
戦闘能力は持っていないが、天才的な兵器工学の知識と技術、そしてやさしさと冷静さを持った彼がいたから、スネークも安心して敵地を進むことができたのではないだろうか。

そして表題のようにストレートな物言いで問いかけるところも、彼の実直さが表れている。
現実世界に住む我々も、ふと何のために学校に行って、仕事に行って、生きてるんだろうと思うことがあるだろう。スネークたちのように壮絶な闘いの中に生きてはいないけれど。

ただ、疑問に感じたからといって、誰にでも聞ける話ではないと思うし、答えを求めるにしても誰からでもいいというわけではないだろう。
オタコンにとってスネークという存在は、ぜひその答え(何の為に闘う)を聞きたい相手なのだ。
雪景色の中、スネークは「生きて逢えたら答えを教えてやる」と応える。
スネークもまた、闘いながら答えを探しているのかもしれない。
あるいはオタコンのまっすぐな問いに答えるために闘っているのかもしれない。

その後のシリーズでも行動を共にする彼らは、この作品で初めて出会っている。
にもかかわらず、その人にとって大事な行動理念を聞き、応えようとしている。この2人の信頼関係が、単なるドンパチのゲームにはならない、シリーズの持つ重厚さに貢献していると思う。

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