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ゲームとことば#50「徳政令カード」

桃太郎電鉄のカードの中でもトップクラスの知名度を誇るカードだろう。
これを使用すると何億円だろうが何兆円だろうが、借金を抱えた全プレイヤーの所持金を0に戻してくれるというとんでもない効果を発揮する。

「徳政令」とは主に鎌倉~室町時代に幕府や大名が発令した、債権を破棄させてしまう法令だ。債務者からすると、借りた借金をチャラにしたり、売却した土地を返してもらったりできてしまうというもの。
なぜこんなことをするかといえば、さまざまな理由がある。
たとえば有名な「永仁の徳政令」は、元寇で苦労(奉公)したわりに見返りが(御恩)少なかった御家人への救済措置として鎌倉幕府が出したものだ。
しかし土倉とよばれる債権者からすれば、返してもらうはずの借金をいきなり帳消しにされたわけで、たまったものではない。
当然、多くの土倉が不満を持った。御家人の方としても以降は金を借りにくくなりさらに困窮、この「永仁の徳政令」は失敗に終わったと言われている。

ところで桃鉄の借金は誰に対するものなのだろう?
駅に止まっただけで不条理に大金をむしり取られる社長たち。
ゲーム序盤は数千万円だったのが、後半、さらに冬場に赤いマスに行くと何億ももっていかれる。
所持金を下回るとマイナス数値となり、そこからさらにマイナス数値が増えていくこともある。
この借金を徳政令カードでチャラにした場合、だれが困るのだろうか。

もちろんこれはすごろくゲームとしてどんでん返しを作るためのルールなわけで、お金の流れにすべて説明がつけられるものではない。
誰も損することなく「せーの」で再スタートを切れると、単純に喜んでいいものだ。
一度落ちてしまうと這い上がることが難しい世の中は世知辛い。
もちろんお金の貸し借りは慎重にするべきだが、桃鉄みたいにカード一つで大逆転も夢がある。

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