ゲームとことば#102「こちらが みがまえるまえに おそいかかってきた!」
モンスターから不意打ちを食らった時の表現。
「こちらが身構える前に襲い掛かってきた。」
臨場感にあふれ、テキストで状況を表すのにとても優れた表現だと思う。
単に「先制攻撃された」などというのもわかりやすくて良いのだが、どうせことばで説明するのならキャラクターが生き生きと感じられる表現にしたい、という心意気を感じる。
ウィザードリィには「Monster surprised you!」という表現があるが、表題の場合は「こちらが」と、プレイヤー側に立った表現になっている。
より、ロールプレイの没入感が増す。
最近のドラクエはシンボルエンカウントでの戦闘が多く、ビジュアル的にどういう状況なのかパッとわかる場面が多い。
だが、ランダムエンカウントだった過去作は、歩ていると突然効果音が鳴り、画面切り替えのエフェクトが表示されて戦闘画面に移る。
ゲームだからそんなもんだと割り切ってしまえばそれまでだが、ロールプレイングゲームであるのなら、キャラクターの一挙手一投足も想像してみたい。
そこで、絵で表現できない部分はテキストで補完する。
当たり前だけど、彼らは戦闘前に剣や杖を手にして、ちゃんと身構えていたのだ。
モンスターの中には賢そうなやつがいる。
後方や物陰で息をひそめ、タイミングを見計らって噛みついたり、炎を吐いたりするやつもいるだろう。
そうすると、戦いなれた勇者たちでも不意を突かれてしまうかもしれない。
身構えていないのだから、敵の攻撃をまともに受けてしまう。
そんな様子がありありと目に浮かぶ。
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