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ゲームとことば#93「そちらにとっても、悪い話ではないと思いますが?」

メガネを「クイっ」てしながら言ってそうなセリフ。

昨年、最新作発売され盛り上がりを見せたロボットアクションゲーム『アーマード・コア』シリーズ。
そのシリーズ12作目が2008年に出た『アーマード・コア フォーアンサー』だ。
本作で繰り広げられる企業間戦争は、プレイヤーがどの依頼を受け、どの勢力を助けるかで情勢が変わっていく。
依頼内容は個性豊かな仲介人を通して、丁寧なブリーフィングにより伝えられる。
なかでも技術力に秀でた企業、オーメル・サイエンス社の仲介人はなんだか鼻につくしゃべり方が特徴的だ。

おそらく有能な人物なのだろうが、人を見下したような態度が随所に透けて見える。多分彼は近所の人から嫌われているだろう(偏見)。
会社とかでもこういう話し方する人いるよね、と感じる妙な嫌なリアルさである。
人間キャラのビジュアルがほとんど明らかにされていないため、声の演技がとても際立つのが本シリーズのキャラの特徴。
作戦前のブリーフィングは、本来、何が起きていて何をしてもらいたいかを説明する場所なはずである。
しかし、言葉の選び方ひとつやイントネーションの変え方で受け取る側の印象が大きく変化するものだ。
表題のセリフはしり上がりに放っているので、挑発しているように聞こえる。
考えすぎだろうか?
いや、煽っているに違いない。

ただ私は彼のことを嫌いにはなれない。
いや、何年も前にプレイしたゲームでここまで覚えているのだからむしろ好きなのだと言える。
そしてなぜ好きなのかもはっきりしている。人間臭いからだ。
人の存在を感じにくい、ロボット操縦者同士の戦争がメインの『アーマードコア』の世界において、あくの強い性格を持ったキャラクターは貴重だ。
今回のミッションのブリーフィングはどんな語り口かな?と楽しみにしている自分がいる。
別にさげすまれたいとかそういう趣味はない。
ただ、無機質で殺伐とした戦いの中に人間味を感じたいだけなのである。

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