フィルムエスト前史(2/2)
(この投稿は「フィルムエスト前史(1/2)」に続くものです)
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悲願叶って、ようやく始動したYouTubeチャンネル「フィルムエストTV」。しかし、動画をいくら作れど再生数は100回にも満たない惨状。そんな日々が、なんと2年も続いていました。
人間、失敗を繰り返すとさすがに方針を見直すものです。バラエティ番組風路線からシフトチェンジして、ひたすらトークする動画を上げるも不発。コント風動画を上げるも不発。ガチのニュースな現場へ撮影に行く動画も不発。
このチャンネル自体が、本当に公開されているのだろうか?
本気でそう思うほど、鳴かず飛ばずの日々が続いていました。
それでも「こんな動画が撮りたい!」といえば、協力してくれる仲間がいつも傍にいてくれました。メンバーは高校の同級生が主体でしたが、私と同じ大学に通う友人も徐々に参加するように。
少ない再生数でも折れずに続けられたのは、「映像が好き」「編集が好き」というシンプルな気持ちと、こうした人々に支えられていたからです。
(就活の自己PR文みたいやな…)
そんななかでフィルムエストに参加してくれたのが、大学の友人・秋山君。のちに「秋ちゃん」として、時空をさまようリポーターになろうとは…このときは1ミリも想像していませんでした。
初バズも…すぐに活かされなかった〝転機〟
2016年2月、それまでとは雰囲気の違う新作動画をアップすると〝異変〟が起きたのです。動画を公開するや否や、再生数はすぐに〝魔の100回〟を超え、300回以上再生されたのです。
その動画は…
「単位落としたから記者会見やってみた」
大学生になって初めて単位を落としてしまった(=落単)ので、記者会見を開いて謝罪する…というもの。フィルムエストとしては初めて「◯◯やってみた」というキャッチーなタイトルを採用。ニュース番組のような雰囲気の動画が当時のYouTubeにはもの珍しかったのか、最終的には、なんと58万回も再生されました。
これでようやく「底辺」から脱出できる!
そう思いながら、期待を込めて新作を上げると…またいつもと同じ数百回再生。登録者数もほとんど増えていません。チャンネル設計がしっかりされていなかったため、一時の「フィーバー」で終わってしまったのです。
爆発的ヒットには恵まれず…でも
それでも「落単動画」を入口として、1動画あたり数百回だった再生数は倍以上に増え、登録者も気が付けば1000人を超えていました。
もっと大きなチャンネルにできるかもしれない!
そう思った矢先に、タイムアップ。4年間の大学生活が終わってしまったのです。
「就職したら、フィルムエストは終わり」
いつからか、そう心に決めていました。
「東京って家賃も物価も高いやろ?お互いに忙しい仕事で、家空けることも多いし、それなら一緒に住まへんか?」
就職に伴い、秋山とともに関西から上京。少し大きい家を借りて、2人でシェアハウスとしての暮らしが始まりました。
終わらなかった、フィルムエスト
「就職したら、フィルムエストは終わり」
最終回の企画として、メンバーや協力者を招いて「フィルムエストの葬式」を盛大に行うコント動画を撮影しました。
ところが、撮影データが入ったハードディスクを編集中に落下させてしまい、故障。ついに復元できず、幻の企画となってしまいました。
さらに、家に帰ると秋山がいる。秋山を見ると、なぜか「こんな動画撮りたいな」という思いが再びジワジワと沸き上がり…
結局、自主制作は就職後も続きました。
以下、当時の作品から…
このころになると、動画にちらほらとコメントがつくように。「新橋」さん、「どこにでもいる人」さん、「迫りくる磁場」さん、「チエ」さん……etc.
あのころ、フィルムエストを応援してくださった皆さん。元気かなあ。
こうして、わずかな可能性を秘めながらも〝風前の灯火〟となっていたフィルムエストは、不思議な力をもつ秋山と、フィルムエストを熱心に見てくださった視聴者の思いを受けて、なんとか種火を残したまま更新を続けることができました。
その一方で、「VHSに録画したかのような映像」を再現する試みを、実は2016年の年末ごろから始めていました。なぜ「VHS風映像」を再現したかったのか?その詳細はこちらに…。
試作を重ねて3年…。2019年の冬になって、ようやく腑に落ちる「VHSっぽい映像」を作れました。
その1か月後、新型コロナ騒動が発生。
テレワークが声高に叫ばれる時代に突入し、
そして、「あのツイート」がバズったのです。
振り返って気付いた〝当たり前〟のこと
チャンネル設立から9年半。こうして振り返ると、本当に周りの人に助けられ続けて、ここまで来れたんだな…と痛感します。
まだ技も、知名度も、何もなかったころに、私の「やってみたい!」という熱意だけで制作に協力してくれた友人たち。有名とは言えない弱小チャンネルにもかかわらず、動画を上げるたびに面白がってくださった視聴者の皆さん。
そんな〝お力添え〟がなければ、フィルムエストはとっくになくなっていたし、その行く末に開発された「アナクロ映像」というジャンルは、もしかしたら生まれなかったのかもしれない…。
そうはいいつつも、フィルムエストはまだまだ「途中」にすぎません。なぜなら「最高の映画を撮る」という大目標が、まだ実現できていないですから…!
手を差し伸べてくださった方々にお礼ができるとすれば、たぶん「より良い作品」をつくって、チャンネルに上げ続けることだと思います。
ただ、フィルムエストはコスパ度外視の〝こだわりチャンネル〟です。弓矢を遠くへ飛ばすために弓を引き絞る時間があるように、作品制作には準備期間が不可欠です。
相変わらず更新頻度がまばらなチャンネルではありますが、動画が更新されないシーズンは「何かに向けて準備している期間なんだな」と心の隅のほうでお考えいただけますと幸いです。
フィルムエストは、今後とも独自の進化を遂げていきます!皆さまの変わらぬご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いします。